米中戦略的競争時代のアジアと日本
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
アメリカが経済安全保障として進める6つの管理強化とは
米中戦略的競争時代のアジアと日本(4)アメリカの安全保障戦略
政治と経済
白石隆(公立大学法人熊本県立大学 第3代理事長/国際政治学者)
中国の脅威が高まる中で、米中の覇権争いは激化している。2017年にトランプ政権の下で出された「国家安全保障戦略」や、2019年に施行した「国防授権法」から、アメリカが中国の戦略をどのように理解しているのか、そしてそれをもとにどのような対中戦略を取っているのかを明らかにする。(全7話中第4話)
(2021年11月24日開催島田塾講演「米中戦略的競争時代の アジアと日本」より)
時間:12分03秒
収録日:2021年11月24日
追加日:2022年3月2日
カテゴリー:
≪全文≫

●アメリカは中国の戦略をどう理解しているのか


 それに対してアメリカはどう対応しているのかというと、これは2017年の安全保障戦略に非常にはっきり出ています。中国は、アメリカに対抗する力を持つ唯一の現状変更勢力です。ロシアも現状変更勢力ですが、そこまでの力はありません。

 その基礎にある考え方は、中国は民主主義にもならないし、市場経済にもならないということです。それでは中国はどうやって「中国の夢」を実現しようとしているのかを地政学的にいうと、これについてはアメリカにいる中国研究者が非常にうまい言い方をしているのでそのまま書きますが、“Koreas in, Japan down, US out”です。つまり、北朝鮮と韓国は自分たちの勢力圏に引っ張り込み、日本は敵対しないように抑え込む。そして、アメリカは追い出す。これが地政学だということです。

 その中で、国内市場中心の経済成長を進めます。そして、「軍民融合」で軍事的な力をつけ、先端新興の技術分野でも優位を取り、中国中心の経済秩序を作ろうとしているのです。これがアメリカの基本的な判断だと私は思います。

 このあたりについてもしご関心があれば、特にドナルド・トランプ政権の初期に安全保障補佐官や次席をやった人たちのメモワールが最近出ているので、そういうものを見ると非常にいいと思います。ここ(スライド)には書いていませんが、特にハーバート・マクマスター氏のメモワールは、中国に対するアメリカの見方を非常によく示しています。


●中国の脅威に対するアメリカの戦略とは


 その中でアメリカの安全保障戦略はどうなっているのかというと、基本的にはドナルド・トランプ氏の下でもそうでしたが、現在のジョー・バイデン大統領の下でも同盟連携を基礎として「自由で開かれたインド太平洋」を維持するということです。

 しかし、中国の軍事力の強化によって、アメリカの空母機動部隊などは中国の周辺海域にはもう近づけない状態になっています。スライドの図は『エコノミスト』からですが、どういうことかというと、前方展開戦略は見直さざるを得ないということです。

 次に、先端新興技術における優位については、やはり研究技術開発投資を行って、同時に先端技術開発について...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
クライン『ショック・ドクトリン』の真実(1)ショック・ドクトリンとは何か
100分de名著!?『ショック・ドクトリン』驚愕の印象操作
柿埜真吾
外交とは何か~不戦不敗の要諦を問う(1)著書『外交とは何か』に込めた思い
外交とは何か…いかに軍事・内政と連動し国益を最大化するか
小原雅博
アンチ・グローバリズムの行方を読む(1)世界情勢の転換
強まるアンチ・グローバリズムの動きをどう見ればいいか
岡本行夫
自民党総裁選~その真の意味と今後の展望
「マスコミ報道」では見えない自民党総裁選の深い意味
曽根泰教
危機のデモクラシー…公共哲学から考える(1)ポピュリズムの台頭と社会の分断化
デモクラシーは大丈夫か…ポピュリズムの「反多元性」問題
齋藤純一
「新しい資本主義」の本質と課題(1)新自由主義と『21世紀の資本』
新自由主義からの時代背景から「新しい資本主義」を問う
柳川範之

人気の講義ランキングTOP10
海底の仕組みと地球のメカニズム(1)海底の生まれるところ
地球上の火山活動の8割を占める「中央海嶺」とは何か
沖野郷子
「集権と分権」から考える日本の核心(5)島国という地理的条件と高い森林率
各々の地でそれぞれ勝手に…森林率が高い島国・日本の特徴
片山杜秀
未来を知るための宇宙開発の歴史(9)宇宙開発を継続するための国際月探査
「国際月探査」とは?アルテミス合意と月探査の意味
川口淳一郎
経験学習を促すリーダーシップ(1)経験学習の基本
成長を促す「3つの経験」とは?経験学習の基本を学ぶ
松尾睦
トランプ・ドクトリンと米国第一主義外交(1)リヤド演説とトランプ・ドクトリン
トランプ・ドクトリンの衝撃――民主主義からの大転換へ
東秀敏
ヒトは共同保育~生物学から考える子育て(3)共同保育を現代社会に取り戻す
狩猟採集生活の知恵を生かせ!共同保育実現に向けた動き
長谷川眞理子
数学と音楽の不思議な関係(3)音と三角関数とフーリエ級数
フーリエ解析、三角関数…数学を使えば音の原材料が分かる
中島さち子
第2の人生を明るくする労働市場改革(1)日本の労働市場が抱える問題
シニアの雇用、正規・非正規の格差…日本の労働市場の問題
宮本弘曉
外交とは何か~不戦不敗の要諦を問う(2)外交と軍事のバランス
外政家・原敬とは違う…職業外交官・幣原喜重郎の評価は?
小原雅博
大統領に告ぐ…硫黄島からの手紙の真実(2)翻訳に込めた日米の架け橋への夢
アメリカ人の心を震わせた20歳の日系二世・三上弘文の翻訳
門田隆将