米中戦略的競争時代のアジアと日本
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
中国が進める「帝国的ルールメイキング」とは何か
米中戦略的競争時代のアジアと日本(3)「中国の夢」と自力更生
白石隆(公立大学法人熊本県立大学 第3代理事長/国際政治学者)
習近平は「中国の夢」の実現に向けて、一党独裁体制を強めている。欧米とは異なる帝国主義的なやり方で驚異的な経済成長を続ける中国だが、すでに労働力はピークを迎え、少子高齢化社会の未来は確実となっている。そうした中、中国経済が突き進んでいく「自力更生」とはどのようなものなのか。(全7話中第3話)
(2021年11月24日開催島田塾講演「米中戦略的競争時代の アジアと日本」より)
時間:9分41秒
収録日:2021年11月24日
追加日:2022年2月23日
カテゴリー:
≪全文≫

●「中国の夢」に向かって突き進む習近平政権


 非常に大きい文脈の中で米中対立は考えたほうがよいのではないかというのが、私が前回まで大きいコンテクストを申し上げてきた理由です。

 米中対立ということで、もうご承知の通り、習近平氏は「中国の夢」と言っています。もうすでに2017年の党大会ではっきり「強国」という言葉を頻繁に使うようになってきています。2018年には憲法を改正して、参戦規定も止めてしまいました。ついこの間の中央委員会総会(2021年11月)では、歴史の見方も変えてしまいました。ここには書いていませんが、習近平中心の歴史の見方になったのです。

 そこでの基本的な判断は、世界の趨勢は「中国の夢」を実現する好機であるという考え方です。この場合の「中国の夢」は“China Dream”であり、“Chinese Dream”ではありません。つまり、国が偉大になる夢です。中国はこれからも台頭しますが、米国は衰えると思っています。しかし、2040年あるいは2045年頃を見通すと、中国には少子高齢化の未来が待っています。そのため、「中国の夢」を実現する時間、あるいはそのウィンドウは限られています。たかだか20年ほどしかありません。だから、その間に何としても自分がやるというのが習近平氏なのだと思います。


●米中では、ルールメイキングにおける違いがある


 歴史的に見たときに、その転機はいつかというと、私はほぼ間違いなく2008年の世界金融危機だと考えています。その後、まだ胡錦濤時代ですが、中国の党と国家は「韜光養晦(とうこうようかい)」から自己主張へと動きました。習近平氏が主席になったらすぐにバラク・オバマ大統領にG2の提案をし、同時に周辺外交ということで、「一帯一路」を言い始めました。

 特に地域秩序について私自身が関心を持っていることですが、仮に自分を中心とした秩序を作ろうとすれば、何らかの原理が要ります。これは別に中国とアメリカだけではなくて、かつては日本もそういう秩序を作ろうとしました。そして中国の場合、原理は何かというと、「中国はどんな国よりも大きいのだから、小国は言うことを聞け」ということで、それがどうも中国の基本的な考え方であると私は思います。実はこれは帝国的ルールメイキングの...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
習近平中国の真実…米中関係・台湾問題(1)習近平の歴史的特徴とは?
一強独裁=1人独裁の光と影…「強い中国」への動機と限界
垂秀夫
デジタル全体主義を哲学的に考える(1)デジタル全体主義とは何か
20世紀型の全体主義とは違う現代の「デジタル全体主義」
中島隆博
トランプ・ドクトリンと米国第一主義外交(1)リヤド演説とトランプ・ドクトリン
トランプ・ドクトリンの衝撃――民主主義からの大転換へ
東秀敏
多数派が多数でなくなるとき
悩める多数派…なぜ「多数は少数の集まり」と考えるべきか
曽根泰教
緊急提言・社会保障改革(1)国民負担の軽減は実現するか
国民医療費の膨張と現役世代の巨額の「負担」
猪瀬直樹
グローバル環境の変化と日本の課題(1)世界の貿易・投資の構造変化
トランプ大統領を止められるのは?グローバル環境の現在地
石黒憲彦

人気の講義ランキングTOP10
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
徳と仏教の人生論(5)陰陽と東洋思想を知ることの意味
『孟子』に学ぶ、リーダーが過酷な境遇に追い込まれる意味
田口佳史
戦争と暗殺~米国内戦の予兆と構造転換(3)未解決のユダヤ問題
「白人vsユダヤ人」という未解決問題とトランプ政権の行方
東秀敏
学力喪失の危機~言語習得と理解の本質(1)数が理解できない子どもたち
なぜ算数が苦手な子どもが多いのか?学力喪失の真相に迫る
今井むつみ
経験学習を促すリーダーシップ(1)経験学習の基本
成長を促す「3つの経験」とは?経験学習の基本を学ぶ
松尾睦
認知バイアス~その仕組みと可能性(1)認知バイアス入門
誰もが陥る「認知バイアス」…その例とメカニズム
鈴木宏昭
〈続〉認知バイアス~その仕組みと可能性(1)概念のバイアス〈前編〉
非合理なのに誰もがハマる「概念のバイアス」とは
鈴木宏昭
エンタテインメントビジネスと人的資本経営(1)ソニー流の多角化経営の真髄
ソニー流「多角化経営」と「人的資本経営」の成功法とは?
水野道訓
習近平中国の真実…米中関係・台湾問題(5)恐るべき台湾への「浸透」
浸透工作…台湾でスパイ裁判が約70件、それも氷山の一角
垂秀夫
いま夏目漱石の前期三部作を読む(1)夏目漱石を読み直す意味
メンタルが苦しくなったら?…今、夏目漱石を読み直す意味
與那覇潤