世界を変えた「フラッシュメモリ」
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フラッシュメモリの歴史は「非常識なアイデア」から
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フラッシュメモリの開発者は「評価されない英雄」
世界を変えた「フラッシュメモリ」(1)開発者の実像
経営ビジネス
佐々木健一(NHKエデュケーショナル シニアプロデューサー(TVディレクター/ノンフィクション作家))
資産価値2兆円にも上る半導体事業の売却が話題となった東芝。その半導体事業の内実については、これまでメディアで詳しく報じられてこなかった。その中核である「フラッシュメモリ」は、個性的な開発者による“人類史上、最も重要な技術革新”の一つである。(全5話中第1話)
時間:17分17秒
収録日:2018年10月19日
追加日:2019年1月1日
≪全文≫

●メディア報道の“空白”だった東芝・2兆円事業の成り立ち


 こんにちは。NHKエデュケーショナルの佐々木健一と申します。今回は、私が作った番組をもとに、『世界を変えた「フラッシュメモリ」 日本発の革新的デバイスはいかにして生まれたのか?』というテーマについて、5回にわたってお話します。

 まず、このテーマについて話すことになった経緯を軽く説明します。私は『ブレイブ 勇敢なる者』という特番シリーズを企画・制作しており、2017年11月に、その第3弾として「硬骨エンジニア」という番組を作りました。これは、東芝フラッシュメモリに関する番組だったのですが、放送後、多くの反響がありました。

 この番組制作のために取材を始めたのは、東芝の経営問題に関するメディア報道がすごく多い時期でした。例えば、『週刊東洋経済』2017.4.22号や『週刊ダイヤモンド』2017.6.3号などのビジネス雑誌のタイトルは『東芝が消える日』『三流の東芝 一流の半導体』等で、原子力事業に始まり、東芝の経営問題が非常にクローズアップされています。

 その中で、半導体事業が売却されるといった話が起こっていました。東芝の半導体事業の資産価値は2兆円ほどで、これを売ることによって東芝は何とか会社として保たれる、という話がありました。

 当時、東芝の経営問題に関してはしきりに報道されていましたが、その資産価値2兆円はどのようにして生まれたのか、言い換えると、その価値を生んでいる東芝の「フラッシュメモリ」というものがどのように生まれたのかについては、意外にも“空白”になっていました。つまり、ほとんどのメディアがそのことに触れていなかったのです。

 経営問題ばかりに目を向け、そもそもどうしてこれほど大きな価値が生まれたのかということには、どこのメディアも注目していない。私はそのことが気になり、この件について調べ始めたのです。

 調べていく中で、面白い話がたくさん分かっていきました。まず、「フラッシュメモリ」といわれても分からない方がほとんどだと思いますので、それについて説明したいと思います。


●フラッシュメモリは人類史上、最も重要な技術革新の一つ


 フラッシュメモリは、「人類史上、最も重要な技術革新の一つ」と言えると思います。「人類史...

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