日本のイノベーションのために
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
日本の再生のために重要なのは人と教育
日本のイノベーションのために(5)人材育成とリーダー
イノベーションを考える上で、政府の補助金がどのような形式であるべきかを考えることも重要である。現在の仕組みではうまく機能していないため、見込みある事業に効率良く出資していく判断力が求められている。しかし問題は、こうした日本の状況を正確に理解できる人をいかに育成するかだ。ある意味、鎖国状態ともいえる現在の日本に必要なのは、力のあるリーダーである。(全5話中第5話)
※インタビュアー:神藏孝之(テンミニッツTV論説主幹)
時間:14分30秒
収録日:2019年7月19日
追加日:2019年9月26日
≪全文≫

●出資型のお金の使い方のススメ


小宮山 この間、財務省のお役人の方たちに、意見を言う機会がありました。そこで申し上げたのは、麻薬のような補助金をやめるべきだということと、その代わりに出資型のお金を使えということでした。

 このことは林業を進めているとよく分かります。岡山県真庭市に、「銘建工業」という林業で成功した会社があります。やはりここには、最初に林野庁からお金が出ており、それがビジネスとして成長しています。これは出資型の良いお金の使い方です。

 今、林業というのは日本全体で3,000億円くらいの売り上げだと思うが、2,000億円くらいの補助金を出している。これは麻薬。本当は、資本主義というのは、効率の悪いところはつぶれて、効率の良いところがとって代わる、というのが一番のメリットなんですよ。ところが補助金が出ているから、そのサイクルが働かない。

―― 生産性が上がらなくなりますね。

小宮山 それで、なんとか生きていられるから、「自分の代につぶしたら、ご先祖様に申し訳ない」と言って、実質的に続いていないのに、麻薬(補助金)で続いているのです。国のやるべきことは、麻薬的補助金を止めることです。

―― 日本の中小企業政策も、同じだと思います。つぶさないといけないところに、つぶさないようにずっと800万円とか1,000万円とか、ただのお金をどんどん補填している。

小宮山 でもこれは役人も分かっている。私が今のように言うと「小宮山先生のように、麻薬的補助金とは言えませんが、何がそうした補助金で、何が正しい使い方なのか、自分たちだけではよく分からない」と正直に言っていました。そこを進めていけるかが、日本が全体として機能するために重要なことですよね。

―― 彼らも相当悩んでいるのでしょう。

小宮山 それはそうでしょう。彼らだけではできないからです。政治家が後ろにいるわけだし、政治家の後ろには、投票する人たちがいるわけです。要するに、それが日本全体の仕組みですからね。

―― そういう意味でいうと、まさにイノベーションのジレンマそのものですね。

小宮山 そのものですね。

―― 補助金を切れば、その分、票が逃げるわけですからね。しかしそう思って補助金を続けると、先生のように「麻薬的補助金をやめろ」と言われてします。そうして、何もできなくなってしまいます。


●「社会は変えられ...


スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「科学と技術」でまず見るべき講義シリーズ
進化生物学から見た「宗教の起源」(1)宗教の起源とトランス状態
私たちにはなぜ宗教が必要だったのか…脳の働きから考える
長谷川眞理子
生成AI・大規模言語モデルのしくみ(1)生成AIとは何か
10年で劇的な進歩を遂げた生成AIと日本の開発事情
岡野原大輔
五島列島沖合の海没処分潜水艦群調査(1)目的と潜水艦史
海底に突き刺さる旧日本海軍の潜水艦「伊58」を特定!
浦環
ブラックホールとは何か(1)私たちが住む銀河系
太陽系は銀河系の中で塵のように小さな存在でしかない
岡朋治
レアメタルの光と影(1)イントロ
イノベーションがレアメタルをコモンメタルにする
岡部徹
断熱から考える一年中快適で健康な住環境(1)日本の住宅の実態と問題点
なぜ日本は夏暑く、冬寒いのか…断熱から考える住宅の問題
前真之

人気の講義ランキングTOP10
「アメリカの教会」でわかる米国の本質(1)アメリカはそもそも分断社会
「キリスト教は知らない」ではアメリカ市民はつとまらない
橋爪大三郎
豊臣兄弟~秀吉と秀長の実像に迫る(2)秀吉の実像と「太閤神話」
秀吉・秀長の出自は本当は…実像は従来のイメージと大違い
黒田基樹
平和の追求~哲学者たちの構想(6)EU批判とアメリカの現状
理想を具現化した国連やEUへの批判がなぜ高まっているのか
川出良枝
戦争とディール~米露外交とロシア・ウクライナ戦争の行方
「武器商人」となったアメリカ…ディール至上主義は失敗!?
東秀敏
熟睡できる環境・習慣とは(1)熟睡のための条件と認知行動療法
熟睡のために――自分にあった「理想的睡眠」の見つけ方
西野精治
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
生成AI「Round 2」への向き合い方(1)生成AI導入の現在地
生成AIの利活用に格差…世界の導入事情と日本の現状
渡辺宣彦
「重要思考」で考え、伝え、聴き、議論する(1)「重要思考」のエッセンス
重要思考とは?「一瞬で大切なことを伝える技術」を学ぶ
三谷宏治
組織心理学とは何か~『武器としての組織心理学』と概論
なぜ組織に「心理学」が必要か?多様化と個の時代の処方箋
山浦一保
逆境に対峙する哲学(1)日常性が「破れ」て思考が始まる
逆境に対峙する哲学…西洋哲学×東洋哲学で問う知的ライブ
津崎良典