佐久間象山に学ぶ
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
佐久間象山から学ぶべき最重要キーワードは「先憂後楽」
佐久間象山に学ぶ(4)「先憂後楽」と人材育成
吉田松陰をはじめ多くの人材を育てた佐久間象山。彼から学ばなければいけない一番のキーワードは「先憂後楽」で、政治に携わる者や国家を運営する者にとって大切な資質はそこにあると、田口佳史氏は言う。なぜ「先憂後楽」が重要なのか。(全5話中第4話)
※インタビュアー:神藏孝之(テンミニッツTV論説主幹)
時間:10分20秒
収録日:2020年1月24日
追加日:2020年3月25日
≪全文≫

●『海防八策』を書いた佐久間象山の危機感


―― 佐久間象山はものすごい弟子を育てたし、感化力もあったのですね。

田口 そうなんです。彼は本質を非常によく心得ていたので、短期間で一番重要なこと、つまり核となるべきものを教えることができたのでしょう。

 そして、彼はなんでも自分でやりました。そこから、「これはこうやって教えた方が良い」といった教え方を学びました。自分が習得することで、習得の方法が分かったのです。自分でやっているからです。

―― そこは苦労して見つけたからでしょう。

田口 だから非常に生きた教育をやっていたのです。そういうところがすごいのです。その根本には、このままでは日本が西洋列強に利用されてしまい、悲惨な状況になってしまうという危機感があったということです。そのため、1840~1842年のアヘン戦争の時に、彼は『海防八策』という意見書を建白しました。ペリーが来る10年ほど前のことです。彼はそのことを予測して、「このように(黒船が)来る。だから、こうしたことをしなければダメなんだ」と言って建策をしたのです。

 さらに彼は、その後も相変わらず続く危機感について、川路聖謨などに「ここはこうやらなきゃいけない」などと言って、『急務十条』などをどんどん建策していきました。これらは、明治近代国家が範として求めたものでした。

 1904年に日露戦争があり、1905年にはポーツマス条約が結ばれましたが、日露戦争はなぜ勝ったのかといえば、海軍です。海軍がどうあるべきなのかということについては、日露戦争よりもかなり前、佐久間が「こうあるべきだ」というものを建策していたのです。


●「先憂後楽」の資質を持っている人間がもっと出てこないと駄目だ


田口 私が考えている佐久間から学ばなければいけない一番のキーワードは、「先憂後楽」です。

 「先憂」とは、「民に先んじて憂う」ということです。政治に携わる人間や、国家を運営する人間にとっての一番大切な資質は、「先憂」にある、と。要するに、誰もがまだ心配しないことを心配し、ちゃんと手を打っておくことが重要だというのです。さらに「後楽」ですが、後楽園の「後楽」です。これは、民が「良かった、良かった、もう安心だ」といっても安心せず、その後もしばらく注意深く見て、「もう、これで大丈夫だな」と思ってから、1人楽しむべきだという考え方です。...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「哲学と生き方」でまず見るべき講義シリーズ
「50歳からの勉強法」を学ぶ(1)大人の学びの心得三箇条
大人の学び・3つの心得=自由、世間が教科書、孤独を覚悟
童門冬二
西洋哲学史の10人~哲学入門(1)ソクラテス 最初の哲学者
ソクラテス:「フィロソフィア」の意味を問う最初の哲学者
貫成人
ヒトはなぜ罪を犯すのか(1)「善と悪の生物学」として
ヒトが罪を犯す理由…脳の働きから考える「善と悪」
長谷川眞理子
「アメリカの教会」でわかる米国の本質(1)アメリカはそもそも分断社会
「キリスト教は知らない」ではアメリカ市民はつとまらない
橋爪大三郎
人の行動の「なぜ」を読み解く行動分析学(1)随伴性
「なぜ人は部屋を片付けられないか」を行動分析学で考える
島宗理
道徳と多様性~道徳のメカニズム(1)既存の道徳の問題点
多様性の時代に必要な道徳とは…科学的アプローチで考える
鄭雄一

人気の講義ランキングTOP10
中国共産党と人権問題(1)中国共産党の思惑と歴史的背景
深刻化する中国の人権問題…中国共産党の思惑と人権の本質
橋爪大三郎
プロジェクトマネジメントの基本(1)国際標準とプロジェクトの定義
プロジェクトマネジメントとは?国際標準から考える特性
大塚有希子
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
内側から見たアメリカと日本(7)ジャパン・アズ・ナンバーワンの弊害
ジャパン・アズ・ナンバーワンで満足!?学ばない日本の弊害
島田晴雄
歴史の探り方、活かし方(7)史料の真贋を見極めるために
質疑編…司馬遼太郎の「史料読解」をどう評価する?
中村彰彦
「重要思考」で考え、伝え、聴き、議論する(1)「重要思考」のエッセンス
重要思考とは?「一瞬で大切なことを伝える技術」を学ぶ
三谷宏治
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(1)サイバー・フィジカル融合と心身一如
なぜ空海が現代社会に重要か――新しい社会の創造のために
鎌田東二
戦争と暗殺~米国内戦の予兆と構造転換(1)内戦と組織動乱の構造
カーク暗殺事件、戦争省、ユダヤ問題…米国内戦構造が逆転
東秀敏
ChatGPT~AIと人間の未来(1)ChatGPTは何ができて、何ができないか
ChatGPTは考えてない?…「AIの回答」の本質とは
西垣通
熟睡できる環境・習慣とは(2)酒、コーヒー、ブルーライトは悪者か
ブルーライトは悪者か?近年分かった「第3の眼」との関係
西野精治