佐久間象山に学ぶ
この講義は登録不要無料視聴できます!
▶ 無料視聴する
次の動画も登録不要で無料視聴できます!
佐久間象山が考えた「道徳と科学技術の相互補完関係」
第2話へ進む
「佐久間象山に学ぶ」本を書くときに抱いた日本の危機感
佐久間象山に学ぶ(1)第4次産業革命と危機感
『佐久間象山に学ぶ大転換期の生き方』を著した田口佳史氏が今、抱いているのは「日本はこのままで大丈夫だろうか」という危機感で、内憂外患のなか近代国家の建設を迫られた明治維新の頃と同じような状況に日本は直面しているという。当時、佐久間象山は、明治維新の直前まで理想の国家を構想した。根本が揺らいでいる現代日本の新たな道を考える上で、佐久間象山から学べるものは多いはずだ。(全5話中第1話)
※インタビュアー:神藏孝之(テンミニッツTV論説主幹)
時間:12分46秒
収録日:2020年1月24日
追加日:2020年3月4日
≪全文≫

●今の日本に危機感を抱いて、佐久間象山の本を書いた


―― 先生は山にこもり、長い時間をかけて史料も読みこまれ、ついに『佐久間象山に学ぶ大転換期の生き方』(致知出版社)という、先生が最も書きたかった人物についての本を上梓されました。特にそこでポイントとなっているのは、明治維新の際、その構想力を持って理想国家をつくるはずだった佐久間象山と横井小楠がいなくなってしまったという点です。その後、明治維新の実行部隊はいましたが、それが明治日本の限界としてその後につながっていき、昭和の悲劇を生んでしまいました。

 こうしたことについて、先生はわざわざ山にこもり、命懸けでこの一冊の本にまとめられました。そのあたりから、お話を聞かせていただいてよろしいでしょうか。

田口 そうですね。私が今、すごく感じているのは、「日本はこのままで大丈夫だろうか」という危機感です。その意味で、今は佐久間と横井の時代と全く変わっていません。しかし当時は、その危機感を抱いている武士が何人かいて、外圧に対してこれをどう防ぐかという防御策を練るために、猛然と頭をめぐらせていました。毎日、それこそ寝る暇を惜しんで考えていました。それに対して、今は、もっとひどい状況になっています。まさに内憂外患です。


●日本はなぜ敗戦国家になってしまったのか


田口 当時も内憂外患で、近代国家を建設しなければいけませんでした。さらに、産業革命も達成しなければいけない。こうしたことを同時に実現しようとすると、ちょっとやそっとじゃできません。当時の人は、それを成し遂げたでしょう。

―― すごいことだと思います。

田口 これ自体はすごい。しかし、そうしたすごいことを行ったのですが、1868年から1945年までの期間で見ると、どうだったのか。結末としては、国家として1945年に敗戦を経験します。あそこまでみんなが力を注いだのに、なぜ敗戦国家になったのか。この問題の追求は今、絶対しなきゃいけません。同時に今のような転換期において、どう転換すべきか、国の形はどうすべきかという問題が、いろいろな分野で迫ってきているわけです。

―― そうですね。けっこう追い詰められてきていますね。

田口 追い詰められてきています。われわれがまず考えてみなきゃいけないのは、なぜ敗戦国家になって、310万人余りの同胞が死ななければいけなかったのかということで...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「哲学と生き方」でまず見るべき講義シリーズ
小林秀雄と吉本隆明―「断絶」を乗り越える(1)「断絶」を乗り越えるという主題
小林秀雄と吉本隆明の営為とプラグマティズムの格率
浜崎洋介
「50歳からの勉強法」を学ぶ(1)大人の学びの心得三箇条
大人の学び・3つの心得=自由、世間が教科書、孤独を覚悟
童門冬二
もののあはれと日本の道徳・倫理(1)もののあはれへの共感と倫理
本居宣長が考えた「もののあはれ」と倫理の基礎
板東洋介
老荘思想に学ぶ(1)力のメカニズム
老荘思想は今の時代に人類の指針となる
田口佳史
「アメリカの教会」でわかる米国の本質(1)アメリカはそもそも分断社会
「キリスト教は知らない」ではアメリカ市民はつとまらない
橋爪大三郎
法隆寺は聖徳太子と共にあり(1)無条件の「和」の精神
聖徳太子が提唱した「和」と中国の「和」の大きな違いとは
大野玄妙

人気の講義ランキングTOP10
編集部ラジオ2025(29)歴史作家の舞台裏を学べる
歴史作家・中村彰彦先生に学ぶ歴史の探り方、活かし方
テンミニッツ・アカデミー編集部
歴史の探り方、活かし方(1)歴史小説と史料探索の基本
日本は素晴らしい歴史史料の宝庫…よい史料の見つけ方とは
中村彰彦
内側から見たアメリカと日本(6)日本企業の敗因は二つのオウンゴール
日本企業が世界のビジネスに乗り遅れた要因はオウンゴール
島田晴雄
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(5)『秘蔵宝鑰』が示す非二元論的世界
雄大で雄渾な生命の全体像…その中で点滅する個々の生命
鎌田東二
熟睡できる環境・習慣とは(1)熟睡のための条件と認知行動療法
熟睡のために――認知行動療法とポジティブ・ルーティーン
西野精治
習近平―その政治の「核心」とは何か?(1)習近平政権の特徴
習近平への権力集中…習近平思想と中国の夢と強国強軍
小原雅博
習近平中国の真実…米中関係・台湾問題(1)習近平の歴史的特徴とは?
一強独裁=1人独裁の光と影…「強い中国」への動機と限界
垂秀夫
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
古代中国の「日常史」(1)日常史研究とは何か
『古代中国の24時間』英雄だけでなく無名の民に注目!
柿沼陽平
戦争と暗殺~米国内戦の予兆と構造転換(1)内戦と組織動乱の構造
カーク暗殺事件、戦争省、ユダヤ問題…米国内戦構造が逆転
東秀敏