佐久間象山に学ぶ
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
ピョートル大帝をお手本に日本の近代国家建設を構想
佐久間象山に学ぶ(3)日本の近代国家を構想する
30歳ですでに一流の朱子学者になっていた佐久間象山は、その立場をあっさり捨て、外国語を学び、西洋近代技術を習得し、日本有数の蘭学者になった。ただ佐久間のすごさはその理論だけではない。今回は、日本の近代国家建設を構想した佐久間のすごさ、その秘密に迫る。(全5話中第3話)
※インタビュアー:神藏孝之(テンミニッツTV論説主幹)
時間:9分30秒
収録日:2020年1月24日
追加日:2020年3月18日
≪全文≫

●30歳を越えてから全てを捨て、外国語と新しい技術を学んだ


 佐久間のすごさがどこにあるのかというと、30歳の時にはすでに、江戸で評判の朱子学者になっていたという点です。―― 30歳で最初は朱子学者だったのですね。

田口 そうです。しかも江戸にはいろいろな分野の名家があるのですが、そこで一番の人、つまり儒家の思想という分野で1番になりました。名家として『江戸名家一覧』に書かれたということは、松代の田舎から出てきて、江戸で儒家の塾を出し、認められたということです。当時は人生50年ですから、そこまで行った人たちはみな、残りの20年間を「私は高名なる儒学者、朱子学者です」と言って生活します。

 ところが佐久間は32歳の時、それを全部捨てるんです。

―― すごい決断ですね。

田口 どうしたかというと、それこそ丁稚小僧のように、全てを捨ててイチから勉強したのです。蘭学塾へ入門し、オランダ語を勉強しました。それまでの名声は、全部捨てたということです。なぜそうしたのか。なぜなら彼は、「夷の術をもって、夷を制す」という考えを持っていたからです。「夷」とは外国という意味です。ここまできたら、「外国の術をもって外国を制す」ということしか、もう手がないと佐久間は考えました。

 外国の技術に精通するためには、何が必要か。外国人と同じように、外国語が堪能でなければ、原書が読めません。原書が読めないと、技術を習得することはできない。彼はそう考え、「アーベーツェー(ABC)」から、つまりイチから蘭語を勉強したのです。すごいのは、普通の人だったら1年かかるところを、佐久間は2か月ぐらいの単位で全部習得していったということです。7年たつと、日本有数の蘭学者になるわけです。


●佐久間象山のすごさは全て自分でつくるところから始めたこと


田口 彼には30歳にして、日本有数の儒学者になったという基礎があります。そう難しいことではなかったと思うのですが、それにしても彼には危機意識がありました。「自分の人生なんてものは、どうでも良い。日本を救うには、そうした人間がまず出なきゃいけない」と。「君どうだ、やらないか」と言うのではありません。自分からやらなきゃいけないということです。

―― すごいですね。

田口 そう、自分からやったんです。それがすごいんです。それで、本当に日本一になりました。どうして日本一になっ...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「哲学と生き方」でまず見るべき講義シリーズ
禅とは何か~禅と仏教の心(1)アメリカの禅と日本の禅
自発性を重んじる――藤田一照師が禅と仏教の心を説く
藤田一照
逆境に対峙する哲学(1)日常性が「破れ」て思考が始まる
逆境に対峙する哲学カフェ…西洋哲学×東洋哲学で問う矛盾
津崎良典
今こそ問うべき「人間にとっての教養」(1)なぜ本を読むことが教養なのか
『人間にとって教養とはなにか』に学ぶ教養と本の関係
橋爪大三郎
もののあはれと日本の道徳・倫理(1)もののあはれへの共感と倫理
本居宣長が考えた「もののあはれ」と倫理の基礎
板東洋介
死と宗教~教養としての「死の講義」(1)「自分が死ぬ」ということ
世界の宗教は死をどう考えるか…科学では死はわからない
橋爪大三郎
キリスト教とは何か~愛と赦しといのち(1)「イエス」とは一体誰なのか
「イエス・キリスト」という名前の本当の意味は?
竹内修一

人気の講義ランキングTOP10
戦争とディール~米露外交とロシア・ウクライナ戦争の行方
「武器商人」となったアメリカ…ディール至上主義は失敗!?
東秀敏
平和の追求~哲学者たちの構想(5)カント『永遠平和のために』
カント『永遠平和のために』…国連やEUの起源とされる理由
川出良枝
豊臣兄弟~秀吉と秀長の実像に迫る(1)史実としての豊臣兄弟と秀長の役割
豊臣兄弟の謎…明らかになった秀吉政権での秀長の役割
黒田基樹
逆境に対峙する哲学(1)日常性が「破れ」て思考が始まる
逆境に対峙する哲学カフェ…西洋哲学×東洋哲学で問う矛盾
津崎良典
生成AI「Round 2」への向き合い方(1)生成AI導入の現在地
生成AIの利活用に格差…世界の導入事情と日本の現状
渡辺宣彦
熟睡できる環境・習慣とは(4)起きているときを充実させるために
夜まとめて寝なくてもいい!?「分割睡眠」という方法とは
西野精治
渡部昇一の「わが体験的キリスト教論」(1)古き良きキリスト教社会
古き良きヨーロッパのキリスト教社会が克明にわかる名著
渡部玄一
健診結果から考える健康管理・新5カ条(1)血管をより長く守ることが重要な時代
健康診断の結果が悪い人が絶対にやってはいけないこと
野口緑
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
インテリジェンス・ヒストリー入門(1)情報収集と行動
日本の外交には「インテリジェンス」が足りない
中西輝政