佐久間象山に学ぶ
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佐久間象山が考えた「道徳と科学技術の相互補完関係」
佐久間象山に学ぶ(2)道徳と科学技術の相互補完関係
佐久間象山が指摘した重要な点は、科学技術は常に道徳と相互補完的な関係になっていなければならないということだ。3.11の原発問題は、科学技術が先行してしまい、それを支える哲学がなかった。明治維新と同様の転換期を迎えている現代においては、新しい技術の基礎となる哲学が求められている。(全5話中第2話)
※インタビュアー:神藏孝之(テンミニッツTV論説主幹)
時間:7分37秒
収録日:2020年1月24日
追加日:2020年3月11日
≪全文≫

●幕末の混乱期と現在の問題は、本質が同じである


―― 佐久間象山は幕末の混乱時代の人物です。しかし同時に、彼の思想は今、起きていることに関して、ものすごく示唆的ですね。

田口 そうです。非常に共通項があります。問題の本質は、まったく変わりません。

―― すでに混乱が始まっていますが、ここから10年で起こっていく事象を見るために、ものすごく重要な視点になりますね。

田口 そうですね。当時は西洋列強がどんどん押し寄せてきました。今は、隣国の中国など、要注意の波に日本は取り巻かれています。国難という状況は、全く変わりません。


●技術革新の時代にどう対応するべきなのか


田口 さらに、明治で近代化した国家は、どうもうまく機能していないんじゃないかという状況になっています。そのため、これを直さなきゃいけません。新しい国家像を今、話さなきゃいけないのです。さらにそこに、AIや量子コンピュータのような第4次産業革命が到来しています。そうした技術がどんどん進んでいるときに、この技術をどう取り入れるかということです。


●道徳と技術の相互補完が求められている


田口 佐久間象山は、非常に重要なことを言っています。まず、東洋は道徳、西洋は技術と区別しています。そして、この両者が相まって初めて技術が生き、人間の社会も非常に快適なものになるといいます。要するに、両者が相互補完関係になっていかないとダメなんだと考えていたのです。

 こうした考えに従えば、東洋からは、人間のあり方や人間観をちゃんと世界中に発信し、西洋から先端技術が入ってきても、人間や人間がつくる社会はどうあるべきかを定めておくべきです。そうすれば、新しい技術がそこに入ってきても、両者が融合し、人間を苦しめることなく、人間社会を快適にすることができます。人間社会の持っている矛盾を技術によって解消するようなものが、人間サイドからもっと出てこないといけません。まず人間観や社会観が確立し、それに技術が後追いで出てこないと、ダメなんです。ところが現在は、技術がどんどん先行してしまい、「こういうのもできるんですよ。こういうことも可能なんです」と、そちらにばかり行っています。これはとても危ういことです。


●転換期に求められる、技術の基礎となる哲学・思想


―― 3.11で原発問題が起こった時、私の中ですごく印象的だったことがあり...

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