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コロナ禍で進む「技術主導型」への転換には危険がつきまとう

コロナ禍で問うべき「転換期の在り方」(1)身体思考と天意

情報・テキスト
2020年に全世界を襲った新型コロナウィルスは、現代を生きるわれわれに転換を迫っていると田口佳史氏は語る。東洋思想に基づいて転換の必要性を語る田口氏は、頭での理解だけではなく、全身で理解する「身体思考」の重要性を強調する。この深刻な状況下でわれわれに求められているものは何か。(全7話中第1話)
※インタビュアー:神藏孝之(テンミニッツTV論説主幹)
時間:08:23
収録日:2020/05/21
追加日:2020/06/17
≪全文≫

●「技術主導型」への転換につきまとう、佐久間象山が指摘した危険性


田口 今、コロナ騒ぎで大変な状況ですが、私は、2000年前後から、「これからは転換期だ」と主張してきました。前から申し上げてきたのですが、私が社会に出たときは高度経済成長期でした。その前には、戦後の転換がありました。その後、高度経済成長期を経て、1973年のオイルショックから安定期に入りました。そして、2000年前後からまた転換期を迎えています。転換期の在り方が、後の成長安定期を決定付けてしまうのです。

 どのように転換するかが一番重要だと、テンミニッツTVでも何度か主張してきましたが、いよいよそのときが来たのです。私はそのようにして20年間待っていたのですが、日本社会は一向に転換しないのです。

―― 先生は、20年間待っていたのですね。

田口 どのように転換するのか、と待っていました。明治維新は「技術主導型」への転換でしたが、今回の第四次産業革命も同様に「技術主導型」だと思っています。しかし、「技術主導型」への転換には、佐久間象山が指摘する「技術にしてやられてしまう」危険性がつきまといます。

―― 人間が取り残されてしまうのですね。

田口 人間が技術に使われてしまうのです。佐久間象山は「技術に精神があるのか」といいましたが、私は「技術に慈悲心はあるのか」と問いたいほどです。精神や慈悲心がなく、とことん倒れるまで使い切るのが機械や技術ですよね。

―― 先生がよく指摘するチャップリンの『モダンタイムス』ですね。

田口 その通りです。非常に恐ろしい状態で、実現してはならないと思っています。


●新型コロナの危機は社会構造の全面的な改革を要求している


田口 どちらにせよ、うまく転換しなければならないという危機感を持って、『佐久間象山に学ぶ大転換期の生き方』(致知出版社)を書きました。そうして転換を待っているうちに、今回のコロナウィルスの問題が起こりました。「転換しなければ命の危険がある」という最後通告的なものを今、全世界が受けているわけです。

田口 そうしたときに、社会的ポジションの上の人は助かるが下の人は危ない、大富豪はお金にまかせれば逃げ切れるなど、富貴貧賤が影響する転換なのかと思っていましたが、全く関係がないようです。若い人たちからも犠牲者が出ていますし、社会的ポジションが高い人も同様です。これは、現在のポジショニングを全てガラリと変えろ、つまり現在の富貴貧賤という究極の社会階層を見直せというメッセージではないかと私は思いました。

―― われわれはそうしたメッセージを突きつけられたのですね。

田口 そうです。東洋思想は、ただ頭の中で理解するだけでは、人に講義できるものではありません。心底から東洋思想に従って生きていなければいけません。


●頭での思考ではなく、全身の理解を通じて「天意」を読み解く


―― 先生の場合、感化力が他と全く違うように感じます。

田口 まず、私が実感として感じて、そこから言葉がほとばしるという過程なのです。頭の中の思考だけではなく、全身で理解しなければなりません。体で考える「身体思考」は、東洋思想の基本として非常に重視されています。私が研究している、儒教仏教、道教、禅仏教、神道の5つに関しても、同じようにいえます。

―― 「身体思考」が鍵なのですね。

田口 そうなのです。体で考え、体で受け止める、つまり「体得」です。これを要求されて、私は50年近く生きてきました。そのようにして生きている人間は、今回のコロナウィルスのような大天災において、天が何かを啓示しているに違いない、と考えるのです。そして、その内容を徹底的に考えます。世界的に状況が深刻化してきた2020年2月以降、天の伝えたい内容を読み取る作業に、全身で取り組んできました。

―― このような大きい転換点は、天が何かを教えるためにもたらしているわけですね。

田口 「天意」、つまり天の意志があります。現代では、われわれは非常に人工的に生きているため、天、すなわち自然の啓示を見逃しがちです。私が研究対象としている易経、書経、詩経など五経の時代の人々は皆、古代人なので、純粋無垢な心を持って自然と共生していた人が多かったのです。彼らが気にかけていたのは、やはり「天は何を述べているのか」ということです。天命・天意を探り、それを読み解くことが重要なのです。

 したがって、国家や組織のトップにいる人は、いつも天意を探り、その解答として自分の行動の指針を得る必要があります。昔の人々は易経などを非常に尊重し、常に広い意味での宇宙の読み方というものを懸命に習得してきました。
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