コロナ禍で問うべき「転換期の在り方」
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
これからは東洋と西洋の知の融合が人類の規範とされる時代
コロナ禍で問うべき「転換期の在り方」(5)東洋と西洋の知の融合
2020年現在、新型コロナウイルスへの対応に各国は追われているが、自国ファーストを唱える国の対応も問題となっている。こうした転換期の在り方として求められるのは、東洋と西洋の知の融合である。西洋の考え方に、人を立て生かしてあげることで初めて自分が生きてくるという東洋の考え方を融合させることが重要だ。(全7話中第5話)
※インタビュアー:神藏孝之(テンミニッツTV論説主幹)
時間:11分29秒
収録日:2020年5月21日
追加日:2020年7月15日
≪全文≫

●東洋と西洋の知の融合を世界中に訴えかけていくときが来た


田口 アフターコロナについて非常に重要なのは、前回ほど申し上げたことですが、その前提として二点考えなければなりません。

 新型コロナウイルスが猛威を振るう前から、私は大転換が必要だと言ってきました。この大転換とは何なのか、もう一度指摘しなければなりません。まず、近代西洋思想の行き詰まりが前提にあることを、思い出していただきたいのです。現在は、近代西洋思想が行き詰っているわけです。もう一度そこに回帰しても意味がありません。その行き詰まりを打開しようと指摘しているのです。

 これからは、東洋と西洋の知の融合が、人類の規範とされる時代になるべきです。われわれは東洋人なので、東洋の知見を生かして、ビジネスでいえば産業で、行政でいえば日本の良さを押し出すような知恵を出していく必要があります。

 一方で、西洋からは積極的に西洋流の知見を出してもらうべきです。東洋はどちらかというと陰で、非常に内面を重視します。西洋はどちらかというと外面重視で外へと向かいます。

 相互補完関係になって、うまく自分の良さを出してくれさえすれば、第三の知が生まれます。東洋というテーゼと西洋というアンチテーゼがあり、その二つをアウフヘーベンすることで、第三のジンテーゼができるように、新しい世界が出てくるのです。この意味で、東洋と西洋の知の融合を日本が世界中に訴えかけていくときが来たのです。


●「自立」とともに他人への配慮を意識することも重要


―― ある意味では非常に大きなチャンスですよね。あまりにも東洋の知見が弱く、日本も中国もあまり存在感を示せず、その結果とんでもない状況になってきました。

田口 ここで、西洋でいうところの利他の心や慈悲心など、言ってみれば他人を慮るという考え方について話します。「自己の確立」という意味では、西洋の本当の意味での「エゴイズム」の確立がありますが、それと人を立てて生かしてあげることで初めて自分が生きてくるという東洋の考え方を融合させることで生まれる人間のありようが重要なのです。

 他人に頼って、依存して生きているのでは、よくありません。やはり「ジリツ」するべきです。「ジリツ」には、自分を律する「自律」と自分で立つ「自立」の二種類がありますが、ここでは「立つ」必要があるという意味です。

...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「哲学と生き方」でまず見るべき講義シリーズ
「50歳からの勉強法」を学ぶ(1)大人の学びの心得三箇条
大人の学び・3つの心得=自由、世間が教科書、孤独を覚悟
童門冬二
禅とは何か~禅と仏教の心(1)アメリカの禅と日本の禅
自発性を重んじる――藤田一照師が禅と仏教の心を説く
藤田一照
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
キリスト教とは何か~愛と赦しといのち(1)「イエス」とは一体誰なのか
「イエス・キリスト」という名前の本当の意味は?
竹内修一
北欧神話の基本を知る(1)世界でもっとも悲観的な神話
世界滅亡を予言!?人類史上もっとも悲観的な北欧神話とは
鎌田東二
西洋哲学史の10人~哲学入門(1)ソクラテス 最初の哲学者
ソクラテス:「フィロソフィア」の意味を問う最初の哲学者
貫成人

人気の講義ランキングTOP10
内側から見たアメリカと日本(1)ラストベルトをつくったのは誰か
日本でも中国でもない…ラストベルトをつくった張本人は?
島田晴雄
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(3)医療の大転換と日本の可能性
近代医学はもはや賞味期限…日本が担うべき新しい医療へ
鎌田東二
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(3)認知バイアスとの正しい向き合い方
知ってるつもり、過大評価…バイアス解決の鍵は「謙虚さ」
今井むつみ
「宇宙の創生」の仕組みと宇宙物理学の歴史(1)宇宙の階層構造
「宇宙の階層構造」誕生の謎に迫るのが宇宙物理学のテーマ
岡朋治
徳と仏教の人生論(1)経営者の条件と50年間悩み続けた命題
宇宙の理法――松下幸之助からの命題が50年後に解けた理由
田口佳史
経験学習を促すリーダーシップ(1)経験学習の基本
成長を促す「3つの経験」とは?経験学習の基本を学ぶ
松尾睦
『「甘え」の構造』と現代日本(2)日本人の自責意識と自由の限界
「Thank you」か「I am sorry」か…日本人の癖とは?
與那覇潤
歴史の探り方、活かし方(1)歴史小説と史料探索の基本
日本は素晴らしい歴史史料の宝庫…よい史料の見つけ方とは
中村彰彦
デカルトの感情論に学ぶ(1)愛に現れる身体のメカニズム
デカルトが注目した心と体の条件づけのメカニズム
津崎良典
AIとデジタル時代の経営論(6)暗黙知と判断力
AIは「暗黙知・常識に基づく高度な判断」が不得意
一條和生