哲学から考える日本の課題~正しさとは何か
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
第1話へ
▶ この講義を再生
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
古代中国における「正しさ」とは何か
哲学から考える日本の課題~正しさとは何か(3)古代中国の「正しさ」
古代中国においても、「正しさ」は個別的な行為に対してではなく、何らかの努力をしていけば到達する、望ましい人間のあり方としてイメージされていた。こうした考え方は、近代以後の孤立した主体や人格において等閑視されがちな身体性や感情といった状況依存的な要素を重視するものである。(2019年10月26日開催・テンミニッツTV講演会「西洋哲学と東洋哲学から考える日本の課題」より全11話中第3話)
※司会者:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:10分53秒
収録日:2019年10月26日
追加日:2020年2月24日
≪全文≫

●古代中国においても「正しさ」は人に関わるもの


―― 中島先生、お願いします。

中島 中国の古代も、(西洋と)だいたい似たようなものだと私は思っています。「正しさ」というのは、古代中国においても、人に関わるものです。

 例えば「君子」という言葉があります。君の子と書いて「君子」です。この言葉は当初、新しい言葉として登場しました。それまでは「君主」、つまり支配者としての「君」があり、それを転換するわけです。「君子」とは別に支配者ではなくても良く、何らかの努力をしていけばなれる、「正しい人」の理想です。「君主」になる努力をしましょうということで、それを示すために、「君子」という新しい概念が導入されました。

 「本当に君子がいたんですか」というと、そんなことは分かりません。でも、それを目指し、人がより正しくあることで、社会は少しはマシなものになっていく。そうした発想があったのです。


●「正しい人」になるためにはメンターが必要


中島 そこでなされていたのは、行為を1個1個取り上げて、「これが良い、悪い」という議論ではなかったと思います。しかし、どうやったら正しい人、つまり君子になれるのでしょうか。これは最大の問題です。もちろん、何らかの行為を通じてではないと実現しません。先ほど納富さんがおっしゃったように、重要なのは、真似をすることを通じてだんだんそれを自分の中に身体化していくというか、内面化していくことです。そういったことは、とても大きいことです。

 だから、例えばメンター的な存在が重要でしょう。お師匠さんと言ってしまうと、いきなり上から目線になってしまいますが、そうではなく、ある種の人生の先達として、同伴してくれるような人を想定するといいでしょう。その人に、すごい知識があるわけではありません。その人の態度が、より開かれていて、君子であろうとしている。そうした人とともにいることでしか、人は正しくなるというのは難しいという発想が、古代中国にはあったと思います。

 こうした考え方からすれば、例えば私が単独でいろいろな知識を身につけ、「正しさ」の基準を見つけ、「正しい人」になるというのは不可能だということです。そうではなく、誰かと一緒に正しくなっていくというものです。


●状況依存的な感情が重要である


中島 そのとき、非常に大事なのは、各人の身体的な部...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「哲学と生き方」でまず見るべき講義シリーズ
「自分をコントロールする力」の仕組み(1)自制心と目標の達成
自制心の重要性…人間は1日4時間も何かを「欲求」している
森口佑介
「怒り」の仕組みと感情のコントロール(1)「キレる高齢者」の正体
「キレやすい」の正体とは?…ヒトの「怒り」の本質に迫る
川合伸幸
神話の「世界観」~日本と世界(1)踊りと物語
世界の神話の中で異彩を放つ日本神話の世界観
鎌田東二
プラトンの哲学を読む(1)対話篇という形式の哲学
ヨーロッパ哲学の伝統はプラトン哲学の脚注だ
納富信留
小林秀雄と吉本隆明―「断絶」を乗り越える(1)「断絶」を乗り越えるという主題
小林秀雄と吉本隆明の営為とプラグマティズムの格率
浜崎洋介
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ

人気の講義ランキングTOP10
編集部ラジオ2026(23)上半期人気ランキングBest30
【編集部ラジオ】令和8年上半期人気ランキングBest30
テンミニッツ・アカデミー編集部
老子の神髄(9)ウェルビーイングと東洋思想
ウェルビーイングを東洋思想でどう考えるか?…大事な二つの教え
田口佳史
AI時代と人間の再定義(1)AIは思考するのか
AIでは「思考の三位一体」が成立しない…考えるとは?
中島隆博
中国春秋戦国時代と始皇帝(3)戦国時代初期――戦国七雄と合従連衡
戦国七雄とは?合従連衡とは?…各国の勢力拡大と小国家の運命
鶴間和幸
教養としての「ユダヤ人の歴史とユダヤ教」(1)ユダヤ人とは誰のことか
ユダヤ人とは?なぜ差別?お金持ち?…『ユダヤ人の歴史』に学ぶ
鶴見太郎
日本の財政の真実を検証する(4)日本の台所事情と財政の本義
「1秒間に41万円?」…この数字はいったい何を意味するか?
宮本弘曉
小澤開作と満洲事変・日中戦争(1)少年時代の苦労と五族協和の夢
満洲で「五族協和」に命を懸けた小澤征爾の父・小澤開作
小澤俊夫
AI大格差~最新研究による仕事と給料の未来(1)最新研究から見えてくる未来像
AI大格差…なぜ日本の雇用環境では「ショックが大きい」のか?
宮本弘曉
これから必要な人材と人材教育とは?(1)人手の供給不足とマクロ経済への影響
ごく一部の人手不足が「致命的」になる…Oリング・セオリー
柳川範之
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ