哲学から考える日本の課題~正しさとは何か
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シンギュラリティ後の世界を見据え、古典の役割を問う
哲学から考える日本の課題~正しさとは何か(11)質疑応答編4:古典の役割
哲学と生き方
少子高齢化や人口減少、シンギュラリティへの到達など、日本社会が迎える新たな状況に際し、どう行動していったら良いか。あるいはそのために古典はどんな役割を果たすのか。そこでポイントとなるのは「想像力」で、それを培うというところに古典の素晴らしさがあると納富信留氏はいう。(2019年10月26日開催・テンミニッツTV講演会「西洋哲学と東洋哲学から考える日本の課題」より全11話中第11話)
※司会者:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:11分00秒
収録日:2019年10月26日
追加日:2020年4月20日
≪全文≫

●少子高齢化時代、健全な子育てができる安定した社会をつくるために


―― 次も、非常に重要な問題だと思います。

「少子高齢化を先頭で進む日本には、世界に対して見本を示していかなければならないと思います。そんな時代に児童虐待の問題は、私たち個人、家庭や社会で力を合わせて取り組まなければならない課題だと思います。未来の財産である子どもたちを健全に育て、安定した日本社会をつくるためには、どう行動していったら良いか、お知恵を拝借したいと思います」

 かなり具体的なご質問です。いかがしょうか。

中島 例えば20世紀後半には、ポストモダンというものが議論されました。私はこれを非常に面白いと思っていたのですが、その受け止められ方のなかには、強力な相対主義がありました。要するに、何でもありです。ポストモダン哲学とは、結局何についても「あなたのおっしゃることも、もっともだ、もっともだ」というような相対主義になってしまったのではないかという批判です。

 そのときに児童虐待の問題も結構効いてくると思います。例えば、ある人が「私はね、児童虐待は正しいと思います」と主張する。それに対して、皆さんはそれで良いだろうと言えますか。私はそんなことは言えないと思うんです。そんなバカなことは、いくら相対主義だといっても、あり得ないと思います。

 この感覚が、ある種の普遍に向かっていくためのきっかけになると思っているんです。やはり児童虐待はまずいだろうと私は思うし、多くの人がそう思うだろうと、素朴に感じます。それをあまり、言葉の力でどうこうしないほうが良いだろうとさえ思っています。


●子どものための新しい学問共同体の必要


中島 その上で、重要なのは子どもに対するアプローチです。これは丁寧なものにしたほうが良いと思います。今回の講演会での議論でも出てきましたが、1人1人の子どもが持っているもの、あるいは持っていないものでも良いと思いますが、それを花開かせていく、そうした仕組みづくりをしてあげないといけないと思うんです。これこそが、まさに学問です。「学んで問う」ところまでサポートしてあげる、その仕組みが、絶対に大事だと思います。

 学校で先生が言っていることがまったく分からないという子どももいます。教科書を読んでも難しくて分からないという子どもは、実はかなりいるといいます。そうした子ど...

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