哲学から考える日本の課題~正しさとは何か
この講義は登録不要無料視聴できます!
▶ 無料視聴する
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
「正しさ」とは?…古代ギリシャ哲学と現代の根本的な違い
哲学から考える日本の課題~正しさとは何か(2)古代ギリシャの「正しさ」
哲学と生き方
現代において「正しい」という形容詞は、個々の行為に対して付けられるものだが、古代ギリシャでは、人に付けられるものだった。そのため、成熟した市民は「正しい人」についてのモデルを想定しつつ、それに少しでも近づくよう実践していた。これは現代とは対照的な考え方である。(2019年10月26日開催・テンミニッツTV講演会「西洋哲学と東洋哲学から考える日本の課題」より全11話中第2話)
※司会者:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:8分49秒
収録日:2019年10月26日
追加日:2020年2月24日
≪全文≫

●「東洋」「西洋」という区別は大雑把かつミスリーディングなレッテル


―― ありがとうございます。今、言葉をめぐる問題について、非常に示唆的なお話をいただきました。実は私は、前職が本の編集者でしたので、納富先生のおっしゃった差別用語については、いろいろと経験しました。実際に編集者がどのように差別用語を考えているのかというと、大体A、B、Cといったランクを設け、先生の文章の校閲をする際には、「先生、この言葉はAクラスの差別用語なので、削ってもいいでしょうか?」とおうかがいします。言葉を、こうしたレベルで考えてしまっているんです。

 今の世の中では、レッテル張りをして、全てを判断してしまうところが非常に多いなという感じがしています。今日は是非、両先生に西洋ないし東洋の立場から、哲学において「正しさ」はどのように考えられてきたのかということについて、お話をいただければというように思っております。

 納富先生は、ギリシャがご専門です。ギリシャ哲学でいうと、「正しさ」はどう考えられてきたのかについて、ぜひ、お話をお願いできればと思います。

納富 今日の全体のテーマは、「西洋の哲学と東洋の哲学」とのことですね。東洋vs西洋で、中島さんが中国、私が西洋を担当するというように見えます。しかし実は、喋るわれわれとしては、これにはちょっと違和感があります。なぜなら、「東洋」「西洋」という区別自体がかなり大雑把かつミスリーディングなレッテルだからです。そのため、全部とはいいませんが、基本的に「東洋が…」、「西洋が…」ということを言い合っても、あまり意味がないんじゃないかなと思っています。

 例えば、同じ西洋哲学の中でも、私がやっているような古代ギリシャの哲学と、近現代の哲学の間にあるギャップは、かなり大きいものがあります。そのため、西洋も別に一枚岩ではないし、もっといえば、ギリシャ哲学の中でもいろいろな考えがありました。ですから、「ギリシャはこうでした。だから…」などと言うのは、ちょっと単純すぎるんじゃないかなという気が一方ではします。ただし他方で、時代によって、われわれと考え方の基本が大きく違うという部分はやっぱりあるので、それは見ていく必要はあると思うんです。このことは、中島さんから中国に関してもお話頂けると思うのですが。


●古代ギリシャでは、「正しい」は行為ではなく人に付...


スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「哲学と生き方」でまず見るべき講義シリーズ
西洋哲学史の10人~哲学入門(1)ソクラテス 最初の哲学者
ソクラテス:「フィロソフィア」の意味を問う最初の哲学者
貫成人
世界神話の中の古事記・日本書紀(1)人間の位置づけ
世界神話と日本神話の違いの特徴は「人間の格づけ」にある
鎌田東二
哲学から考える日本の課題~正しさとは何か(1)言葉の正しさとは
「正しい言葉とは何か」とは、古来議論されているテーマ
中島隆博
【入門】日本仏教の名僧・名著~総論(1)名僧の原著に触れる意味
「文は人なり」――原文を読んで名僧の思想の息吹に触れる
賴住光子
おもしろき『法華経』の世界(1)法華経はSFだ!
「法華経はSFだ!」というナラティブの神秘的体験
鎌田東二
禅とは何か~禅と仏教の心(1)アメリカの禅と日本の禅
自発性を重んじる――藤田一照師が禅と仏教の心を説く
藤田一照

人気の講義ランキングTOP10
数学と音楽の不思議な関係(4)STEAM教育でつくる喜びを全ての人に
世界で最もクリエイティブな国は? STEAM教育が広がる理由
中島さち子
続・日本人の「所得の謎」徹底分析(2)政府債務と預金残高の背景
なぜ日本の所得水準は低いのに預金残高は大きいのか
養田功一郎
経験学習を促すリーダーシップ(2)経験から学ぶ力
米長邦雄のアンラーニング、弟子の弟子になってV字成長
松尾睦
「集権と分権」から考える日本の核心(5)島国という地理的条件と高い森林率
各々の地でそれぞれ勝手に…森林率が高い島国・日本の特徴
片山杜秀
外交とは何か~不戦不敗の要諦を問う(1)著書『外交とは何か』に込めた思い
外交とは何か…いかに軍事・内政と連動し国益を最大化するか
小原雅博
未来を知るための宇宙開発の歴史(9)宇宙開発を継続するための国際月探査
「国際月探査」とは?アルテミス合意と月探査の意味
川口淳一郎
第2の人生を明るくする労働市場改革(1)日本の労働市場が抱える問題
シニアの雇用、正規・非正規の格差…日本の労働市場の問題
宮本弘曉
戦前日本の「未完のファシズム」と現代(8)満州事変と世界大恐慌
「100年戦争」と考えて戦争に突入した日本の現実
片山杜秀
弥生人の実態~研究結果が明かす生活と文化(1)弥生時代はいつ始まったのか
なぜ弥生時代の始まりが600年も改まった?定説改訂の背景
藤尾慎一郎
海底の仕組みと地球のメカニズム(1)海底の生まれるところ
地球上の火山活動の8割を占める「中央海嶺」とは何か
沖野郷子