哲学から考える日本の課題~正しさとは何か
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
「世界哲学」は日本や世界の課題を解決する処方箋となるか
哲学から考える日本の課題~正しさとは何か(10)質疑応答編3:世界哲学
新しい時代に求められる哲学は、蓄積されてきた既存の知見を再構成し、新たな枠組みを創出することで生まれる「世界哲学」である。そこでは既存の哲学から離れていった「人間」の問題を再考し、新しい社会状況に適した概念を提示することが要請される。(2019年10月26日開催・テンミニッツTV講演会「西洋哲学と東洋哲学から考える日本の課題」より全11話中第10話)
※司会者:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:5分50秒
収録日:2019年10月26日
追加日:2020年4月13日
≪全文≫

●普遍的なものをもう1回問い直すための「世界哲学」


―― 次の質問に参ります。

「20世紀になって西洋哲学では、解釈学、現象学、論理実証主義が現われ、その後は構造主義も登場した。21世紀に入り20年近くになるが、新しい哲学の動きは出ているのか。また、そうした動きは、日本や世界の課題を解決するのに、有効な処方箋たり得るのか」

 こういう質問です。いかがでしょうか。

中島 これは少し手前味噌になりますが、納富さんと一緒に私は「世界哲学だ」と今、言っています。これはひょっとすると、1つのチャンスかもしれません。

 ここでいう「世界哲学」とは、何か「世界」というものを想定し、そこにさまざまな哲学があるから、それらをコレクションして眺めましょうというものではありません。そんなことは、もう前からやられています。あるいは、世界的に普遍的な哲学があり、それを深く探求していけばいいのだという考え方とも違います。

 そうではなく、私たちがここで「世界哲学」として考えているのは、「世界」という概念も「哲学」という概念も、私たちは実はまだよく知らないのではないかということで、その2つが合わさって新しい場所というものが開けるんじゃないか。世界と哲学に対して、もう一回“驚き直そう”と試みているのです。驚き直した上で、何かもう少し人間にとって重要な、個別なものに埋没するのではない、普遍的なものをもう1回問い直すチャンスを、取り戻したいと考えているのです。


●“human becoming”から“human co-becoming”へ


中島 ここまで私たちは、重要なのは「人」であるという議論を問題にしました。例えばミシェル・フーコーなどは、「人間なんていう概念は消えていくんだ」とまで言います。しかし、本当にそうなのかといえば、私はそうではないと思っています。人間という概念はまだ私たちには十分分かっていないし、これから改めて再定義し続けるしかないんじゃないかと考えています。

 当然、現在においてはAIやテクノロジーも進展しています。そうしたなかで、人間のあり方は、繰り返し問われていると思います。そうした問題に関して、ちゃんと答えられる人間、あるいは人のあり方を考え直したほうがいいんじゃないか。そうしたなかで、この講演会では「人が人になる」ということについてお話ししました。

 例えば、私の友人は、「人間とは“human being”...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「哲学と生き方」でまず見るべき講義シリーズ
キリスト教とは何か~愛と赦しといのち(1)「イエス」とは一体誰なのか
「イエス・キリスト」という名前の本当の意味は?
竹内修一
西洋哲学史の10人~哲学入門(1)ソクラテス 最初の哲学者
ソクラテス:「フィロソフィア」の意味を問う最初の哲学者
貫成人
ヒトはなぜ罪を犯すのか(1)「善と悪の生物学」として
ヒトが罪を犯す理由…脳の働きから考える「善と悪」
長谷川眞理子
老荘思想に学ぶ(1)力のメカニズム
老荘思想は今の時代に人類の指針となる
田口佳史
平和の追求~哲学者たちの構想(1)強力な世界政府?ホッブズの思想
平和の実現を哲学的に追求する…どんな平和でもいいのか?
川出良枝
世界神話の中の古事記・日本書紀(1)人間の位置づけ
世界神話と日本神話の違いの特徴は「人間の格づけ」にある
鎌田東二

人気の講義ランキングTOP10
編集部ラジオ2025(30)西野精治先生に学ぶ「熟睡の習慣」
熟睡できる習慣や環境は?西野精治先生に学ぶ眠りの本質
テンミニッツ・アカデミー編集部
平和の追求~哲学者たちの構想(1)強力な世界政府?ホッブズの思想
平和の実現を哲学的に追求する…どんな平和でもいいのか?
川出良枝
プロジェクトマネジメントの基本(4)スケジュール・マネジメント
スケジュール管理で重要な「クリティカル・パス法」とは
大塚有希子
熟睡できる環境・習慣とは(1)熟睡のための条件と認知行動療法
熟睡のために――自分にあった「理想的睡眠」の見つけ方
西野精治
葛飾北斎と応為~その生涯と作品(1)北斎の画狂人生と名作への進化
葛飾北斎と応為…画狂の親娘はいかに傑作へと進化したか
堀口茉純
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
中国共産党と人権問題(1)中国共産党の思惑と歴史的背景
深刻化する中国の人権問題…中国共産党の思惑と人権の本質
橋爪大三郎
禅とは何か~禅と仏教の心(1)アメリカの禅と日本の禅
自発性を重んじる――藤田一照師が禅と仏教の心を説く
藤田一照
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(1)サイバー・フィジカル融合と心身一如
なぜ空海が現代社会に重要か――新しい社会の創造のために
鎌田東二
習近平中国の真実…米中関係・台湾問題(1)習近平の歴史的特徴とは?
一強独裁=1人独裁の光と影…「強い中国」への動機と限界
垂秀夫