コロナ禍で問うべき「転換期の在り方」
この講義は登録不要無料視聴できます!
▶ 無料視聴する
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
新型コロナ問題で突き付けられたリーダーの「考え方の改革」
コロナ禍で問うべき「転換期の在り方」(2)陰と陽のバランス
哲学と生き方
一つの選択を追求する西洋思想とは異なり、東洋思想では陰陽のバランスを重視する。経済成長という陽の側面の追求だけではバランスを失するため、人々の心の満足という陰の側面も同時に追求することが重要である。そこで田口佳史氏は、企業経営者や行政の担い手である政治家などリーダーに対し、これまでの考え方を改革する必要性を説く。(全7話中第2話)
※インタビュアー:神藏孝之(テンミニッツTV論説主幹)
時間:9分28秒
収録日:2020年5月21日
追加日:2020年6月24日
≪全文≫

●経済成長と東洋思想は噛み合わない


田口 私もこれまで同様に学んできたのですが、真っ先に私の頭に入ってきたのは、私が前から指摘している次のようなことです。よく私に向けられる質問として、「東洋思想では経済成長をどのように扱っているのか」というものがあります。私はこの質問に対して躊躇することなく、「ぞっとする」と答えます。経済成長と聞いただけで「ぞっとする」ということです。

 それはどうしてか。この世は陰と陽からできていて、陰陽が合わせて初めて全てがうまくいくわけです。陽のみ、もしくは陰のみという状態は、一本歯の下駄のようなもので非常に不安定なのです。そうすると、何かの拍子に転んでしまいます。

―― 先生がいつも説明している八卦図はよくできていますね。

 はい。テンミニッツTVでもすでにお話ししてきましたが、西洋近代思想は二元論なので、ある選択肢を与えられたときには、一つの選択肢だけを選択してきました。今回突きつけられた課題は、経済成長とどう向き合うのかという、東洋思想に向けられてきた代表的な質問と同じです。これまでは陽の側面である成長や発展をとにかく追求してきました。そのツケがいよいよ回ってきたと考えたほうが良いと、天はわれわれに教えてくれているのではないか、とまず思いました。


●経済成長は心の満足とバランスを取る必要がある


―― 先生がおっしゃる通り、これまで成長・発展中心に進んできました。それがリアルの世界の行き詰ると、金融緩和に着手します。それも行き詰まれば、今度は財政出動に着手し、あげくにはヘリコプターマネーをばら撒くという過程で経済政策が取られてきました。しかし、その先に解決策はあり得ないですね。

田口 あり得ません。そのときには絶対に「陰」を考えるべきです。成長・拡大(発展)は「陽」ですが、「陰」とは充実・革新なのです。もう一息充実させて、自分の新生命を強化することです。もう一つはイノベーションです。この世は限りなく停滞がなく、刻々と展開しています。この意味で、停滞は全く世の流れに即していないのです。逆に積極的に変わっていかなければならないのです。

―― 変わり続けているということですね。

田口 変わり続けています。充実・革新とは、世の中にいける人間の暮らしの安定、そして安心、つまり安泰な暮らしの追求からくる精神性や心の満足を指します...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「哲学と生き方」でまず見るべき講義シリーズ
おもしろき『法華経』の世界(1)法華経はSFだ!
「法華経はSFだ!」というナラティブの神秘的体験
鎌田東二
「心から幸せになるためのメカニズム」を学ぶ(1)心理学研究と日本の幸福度
実は今、「幸せにも気をつける」べき時代になっている
前野隆司
ヒトは共同保育~生物学から考える子育て(1)動物の配偶と子育てシステム
ヒトは共同保育の動物――生物学からみた子育ての基礎知識
長谷川眞理子
西洋哲学史の10人~哲学入門(1)ソクラテス 最初の哲学者
ソクラテス:「フィロソフィア」の意味を問う最初の哲学者
貫成人
禅とは何か~禅と仏教の心(1)アメリカの禅と日本の禅
自発性を重んじる――藤田一照師が禅と仏教の心を説く
藤田一照
死と宗教~教養としての「死の講義」(1)「自分が死ぬ」ということ
世界の宗教は死をどう考えるか…科学では死はわからない
橋爪大三郎

人気の講義ランキングTOP10
経験学習を促すリーダーシップ(2)経験から学ぶ力
米長邦雄のアンラーニング、弟子の弟子になってV字成長
松尾睦
続・日本人の「所得の謎」徹底分析(1)各国の財政と国民負担
日本と各国の比較…税負担は低いが社会保障の負担は高い
養田功一郎
海底の仕組みと地球のメカニズム(1)海底の生まれるところ
地球上の火山活動の8割を占める「中央海嶺」とは何か
沖野郷子
外交とは何か~不戦不敗の要諦を問う(1)著書『外交とは何か』に込めた思い
外交とは何か…いかに軍事・内政と連動し国益を最大化するか
小原雅博
未来を知るための宇宙開発の歴史(9)宇宙開発を継続するための国際月探査
「国際月探査」とは?アルテミス合意と月探査の意味
川口淳一郎
数学と音楽の不思議な関係(1)だれもがみんな数学者で音楽家
世界は音楽と数学であふれている…歴史が物語る密接な関係
中島さち子
「アカデメイア」から考える学びの意義(2)プラトンの学園アカデメイア
プラトン「アカデメイア」の本質は自由な議論と哲学的探究
納富信留
「集権と分権」から考える日本の核心(5)島国という地理的条件と高い森林率
各々の地でそれぞれ勝手に…森林率が高い島国・日本の特徴
片山杜秀
大統領に告ぐ…硫黄島からの手紙の真実(4)百年後の日本人のために
百年後の日本人のために、共に玉砕する仲間たちのために
門田隆将
ヒトは共同保育~生物学から考える子育て(3)共同保育を現代社会に取り戻す
狩猟採集生活の知恵を生かせ!共同保育実現に向けた動き
長谷川眞理子