●通貨には数千年間におよぶ非常に長い歴史がある
シティグループ証券の高島です。ドル円相場をはじめ、主要国通貨は比較的落ち着いていることもあって、今日はいつもと違って、長い観点から通貨がどういうものなのかを、一緒に考えてみたいと思っています。
一番始めに、通貨の歴史を、数千年間の時間軸で振り返ってみた後、2番目のテーマとして、金本位制がどういうものであったかを説明して、最後に通貨を考える上で、面白い事例が幾つかありますので、そういったことについてお話をしようと思っています。
まず、通貨の歴史ですが、実は非常に長い歴史があります。為替相場と通貨には少し違いがあり、為替相場の歴史とは、たかだか50年弱ほどです。ドル円とかユーロドルなどの為替相場とは、通貨と通貨を交換するマーケットのことですが、基本的には今のような変動相場制(為替相場が変動する)の時代を迎えたのは、1971年のニクソンショック、すなわち金ドル交換停止以降です。ですから、為替相場の歴史というと、たかだか50年弱ほどしかないということになります。
一方、通貨は、例えばドル、米ドル、日本円、ユーロといったものですが、そのものが通貨ということになります。歴史は、紀元前7世紀ほどまでさかのぼるといわれています。それより前の古代は、石や貝殻、べっ甲、赤銅といったものをいわゆる貨幣として使っていたといわれています。
ところが、紀元前7世紀ほどに、リディア(今でいうトルコ)で、エレクトロン金貨というものが発行されました。大英博物館に行くと、通貨コーナーがあり、そこにこのエレクトロン金貨もちゃんと置いてあるのですが、これが世界最古の硬貨といわれていて、このあたりから通貨の歴史が始まるということになります。
貨幣は、英語でいうと「money」です。通貨は、英語でいうと「currency」です。ではこの貨幣と通貨(moneyとcurrency)の違いは何かというと、moneyにいわゆる国王や国家の権威を与えることによって、それをいろいろなところで流通させることができるものが通貨(currency)ということになってきます。ですから、大体そうしたあたりから、この通貨の歴史が始まったといわれています。
その後の重要なイベントを振り返ってみると、紀元621年に中国の唐で開元通宝というものが発行され、これは日本...