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通貨の変貌はテクノロジーの進化に合わせて起こる

貨幣・通貨の変貌(1)数千年の歴史を振り返る

高島修
シティグループ証券 チーフFXストラテジスト
情報・テキスト
通貨の歴史は、実に数千年におよぶ。その長い歴史の中、通貨はテクノロジーの進化に合わせて変貌を遂げてきたと、高島修氏は指摘する。その歴史の中で、仮想通貨はどのような位置付けになるのだろうか。数千年間の通貨の歴史とともに論じる。(全4話中第1話)
時間:12:24
収録日:2018/09/28
追加日:2018/12/19
タグ:
≪全文≫
●通貨には数千年間におよぶ非常に長い歴史がある

 シティグループ証券の高島です。ドル円相場をはじめ、主要国通貨は比較的落ち着いていることもあって、今日はいつもと違って、長い観点から通貨がどういうものなのかを、一緒に考えてみたいと思っています。

 一番始めに、通貨の歴史を、数千年間の時間軸で振り返ってみた後、2番目のテーマとして、金本位制がどういうものであったかを説明して、最後に通貨を考える上で、面白い事例が幾つかありますので、そういったことについてお話をしようと思っています。



 まず、通貨の歴史ですが、実は非常に長い歴史があります。為替相場と通貨には少し違いがあり、為替相場の歴史とは、たかだか50年弱ほどです。ドル円とかユーロドルなどの為替相場とは、通貨と通貨を交換するマーケットのことですが、基本的には今のような変動相場制(為替相場が変動する)の時代を迎えたのは、1971年のニクソンショック、すなわち金ドル交換停止以降です。ですから、為替相場の歴史というと、たかだか50年弱ほどしかないということになります。

 一方、通貨は、例えばドル、米ドル、日本円、ユーロといったものですが、そのものが通貨ということになります。歴史は、紀元前7世紀ほどまでさかのぼるといわれています。それより前の古代は、石や貝殻、べっ甲、赤銅といったものをいわゆる貨幣として使っていたといわれています。

 ところが、紀元前7世紀ほどに、リディア(今でいうトルコ)で、エレクトロン金貨というものが発行されました。大英博物館に行くと、通貨コーナーがあり、そこにこのエレクトロン金貨もちゃんと置いてあるのですが、これが世界最古の硬貨といわれていて、このあたりから通貨の歴史が始まるということになります。

 貨幣は、英語でいうと「money」です。通貨は、英語でいうと「currency」です。ではこの貨幣と通貨(moneyとcurrency)の違いは何かというと、moneyにいわゆる国王や国家の権威を与えることによって、それをいろいろなところで流通させることができるものが通貨(currency)ということになってきます。ですから、大体そうしたあたりから、この通貨の歴史が始まったといわれています。

 その後の重要なイベントを振り返ってみると、紀元621年に中国の唐で開元通宝というものが発行され、これは日本で初めての通貨といわれる和同開珎の発行に至っています。正確にいうと、和同開珎の前にも富本銭というものが発行されていたのですが、比較的しっかりとした形で発行されたのは和同開珎だと日本ではいわれていて、中国の開元通宝に触発されたということが、よくいわれています。


●宋で初めての紙幣となる交子が発行される

 その後、1023年に、中国の宋で「交子」という紙幣が発行されます。今われわれは、例えば1万円札や5千円札、千円札などを使っていますが、これは日本銀行券です。こういった中央銀行が発行する銀行券は、1661年にスウェーデンで初めての紙幣が発行され、その後1694年にイギリスのイングランド銀行が、近代的な銀行券を発行しました。このあたりから始まる、いわゆる中央銀行券(日本でいう日本銀行券)と異なり、1023年に中国で発行されたものは、交子といわれる、政府紙幣です。

 この後、元の時代になると、フビライ・ハンの下で、紙幣が、その帝国の領域で使われる唯一の通貨ということになって、中国では従来、銅とか鉄でできた通貨のようなものが使われていたのですが、そういったものが禁止されることにもなりました。

 ただ、いずれにしても何が言いたいのかというと、われわれが使っている紙幣の原型が、1023年に中国で発行されたということです。そこからかなり時代が下って、スウェーデン、イギリスといったところで、中央銀行券、または銀行券が発行されるようになってきたということです。

 こういった紙幣、銀行券で発行されるようになってからも、長い期間にわたって、基本的には通貨価値を最終的に担保していたものは、金や銀、銅であったわけですが、こういった通貨価値というものを、物質的なものから、最終的に解放するきっかけになったのが、1971年の、先ほどもお話しした、ニクソンショックです。

 それまでは、アメリカの中央銀行に当たるFRB(米国の連邦準備制度理事会)にドル紙幣を持ち込めば、金と交換しますという約束事があったわけですが、ウォーターゲート事件で失脚することになるニクソン大統領が、これ以降はアメリカのFRBにドル紙幣を持ち込んでも、金とは交換しませんという宣言をしました。ここによって、基本的には長らく金、銀、銅といったものによって、価値が担保されていた通貨が、その呪縛から解放されるということになります。


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