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医療費の自己負担率を世界と比べると日本は割高?

日本の医療を考える(2)医療費を支える財源

今村聡
公益社団法人日本医師会 副会長
情報・テキスト
日本の医療費は、2013年度で約40兆円強。それを支える財源は、「自助」「公助」「共助」の三つの組み合わせで成り立っているという。社会連帯によって支えられてきた保健医療は、社会構造の変化に耐えられるのだろうか。その現状と問題点を公益社団法人日本医師会副会長・今村聡氏に解説いただく。(全6話中第2話)
時間:11:30
収録日:2016/08/18
追加日:2016/10/02
ジャンル:
≪全文≫

●日本の医療費財源は「自助」「公助」「共助」から


 今回は、日本の医療を支える財源がどのようになっているのかをお話しします。

 2013年度の日本全体で医療にかかった費用は40兆610億円でした。この医療費はどのようにまかなわれているのでしょうか?

 日本の医療にかかる費用をどのようにまかなうのかという基本的な考え方は、「自助」「公助」「共助」の三つを組み合わせた社会連帯の重視です。それぞれを詳しくお話しします。

 一つ目の「自助」は、患者さんが医療を受けた際に支払う負担のことです。医療費の一部を、医療を受けた患者さんが支払うことを、「患者一部負担」と呼んでいます。この患者一部負担は、2013年度は4兆7076億円で医療費の総額の10パーセント程度にあたります。

 二つ目の「共助」とは「みんなで助け合う」ということで、保険料のことです。2013年度は19兆5218億円の保険料でした。皆さんがそれぞれに加入している保険に支払う保険料の総額です。

 三つ目の「公助」は、税金です。2013年度は15兆5319億円の税金が医療費に投入されています。


●社会保険方式と税方式がある世界の医療費財源


 このように、日本の医療費の財源構成は、保険料が最も多く、全体の約5割を占めており、次いで税金が約4割、患者自己負担が約1割という構成になっています。

 日本では「医療保険」と呼ぶように、保険方式を基本としつつも、社会連帯を重視し国民皆保険を維持するため、税金の投入と患者負担を組み合わせています。

 イギリスのように全て国が税金で賄えばいいのでは? という考えもあるかもしれません。ただし、保険方式が優れている点は、一つ目には受ける医療の範囲が権利として規定されていることです。つまり、保険料を支払ったら、必ず医療を受ける権利があるということです。二つ目には、保険料として徴収することで、使途が医療に限定されることです。

 ちなみに、医療費の財源調達の方法は、国によってさまざまです。ドイツ、フランス、オランダは保険料財源を主とする社会保険方式です。一方、イギリス、スウェーデン、デンマークは税財源を主とする税方式です。日本は、健康保険制度の創設時にドイツの医療保険制度を参考にしたため、社会保険方式が中心になったという歴史があります。


●医療費財源が抱える問題 1.患者自己負担


 さて、日本に話を戻しましょう。日本の医療費の財源構成「患者自己負担」「税金」「保険料」は、それぞれに問題を抱えています。まず一つ目の患者自己負担についてお話しします。

 現在、患者自己負担割合は、義務教育就学前はかかった医療費の2割、義務教育就学後から69歳までが3割、70~74歳が2割、75歳以上は1割となっています。ただし、70歳以上で現役並みの所得がある方は3割負担となっています。また、自治体によっては、子どもの医療費補助を行い、患者負担をなくしている場合も多くあります。

 さらに、日本には「高額療養費制度」という大きな特徴があります。医療機関や薬局の窓口で支払った額が、一カ月間で一定額を超えた場合に、その超えた金額を支給する制度があります。例えば、70歳未満で年収が約370~770万円の方が入院して100万円の医療費がかかった場合、高額療養費制度により、実際の自己負担は約8万7000円ですみます。

 しかし、外来の患者一部負担割合は、公的医療...
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