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かかりつけ医の「ゆるやかなゲートオープナー機能」に注目

日本の医療を考える(4)「かかりつけ医」の2つの役割

今村聡
公益社団法人日本医師会 副会長
情報・テキスト
公益社団法人日本医師会副会長・今村聡氏が「かかりつけ医」を持つことの重要性について語る。「かかりつけ医を持つ」とは、自分の体調、体質をよく知っている医師による良質の医療体制を手にする、ということだけでなく、もっと大きな視野に立ったメリットがある。はたして「かかりつけ医」のメリットとは?(全6話中第4話)
時間:09:19
収録日:2016/08/18
追加日:2016/10/16
ジャンル:
≪全文≫

●「かかりつけ医」の2つの大事な役割


 今回は、「かかりつけ医」の重要性についてお話ししたいと思います。

 そもそも「かかりつけ医」とは何でしょうか。日本医師会では、「かかりつけ医とは、なんでも相談できる上、最新の医療情報を熟知していて必要なときに専門医、専門医療機関を紹介できる。そして、身近で頼りになる地域医療、保健、福祉を担う総合的な能力を有する医師」と定義しています。

 かかりつけ医は、診療所や病院といった就業形態や内科、外科といった診療科を問わず、2つの大事な役割を持つ必要があると、私は考えております。2つとは「医療的機能」と「社会的機能」です。

 まず「医療的機能」ですが、医師が自らの専門的医療を行うことは当然ですが、ここでいう医療的機能とは、患者の生活背景も把握し、医療の継続性を重視した適切な診療を行い、自分の専門を超える様々な広い分野においても、その地域における連携を駆使して適切な医療機関へ紹介を行い、患者にとって最良の解決策を提供することです。また、自らの役割を医師側の都合で規定せず、患者の持ち掛ける保健、医療、福祉の諸問題に、なんでも相談に乗ることができる医師として全人的視点から対応することが必要です。

 「社会的機能」とは、日常行う診療の他に、健康診断・がん検診、予防接種、乳児健診、学校医、産業医などとして地域における医療を取り巻く社会的活動、行政的活動に積極的に参加するとともに保健・介護・福祉関係者との連携を行うことです。また、地域の高齢者が少しでも長く地域で生活できるよう在宅医療に理解を示すことも必要です。

 この「医療的機能」と「社会的機能」の二つが備わって、初めてかかりつけ医といえます。


●患者との信頼関係から生まれる「かかりつけ医」のメリット


 まずは、かかりつけ医を持つこと、そして何かの際にはかかりつけ医を受診することで、患者さんにとってふさわしい医療を受けられるようになると考えています。かかりつけ医は、その患者さんが過去にどういった病気にかかっているかという既往歴や、体質、よくかかる病気、性格なども分かっていることで、信頼関係が患者さんと構築されています。そのことで、意志の疎通が図りやすく、適切な治療をしてもらえます。また、健康管理の相談やアドバイスを受けられ、必要に応じて病院や専門医を紹介してもらう事もできます。

 こうしたことにより、適切な受療行動が成され、また、重複受診といって同じ病気でいろいろな医療機関にかかるということを防ぐことができますし、薬もいろいろな所から複数重なってもらう重複投与の防止もできます。そのことが結果として医療費を適正化することにもつながります。

 かかりつけ医には患者さんの健康管理も期待されます。日本医師会が行った「日本の医療に関する意識調査」では、かかりつけ医師がいる人は、より多くがん検診を受ける傾向がみられました。また、健康状態が良いと回答した50歳・60歳代のうち、かかりつけ医がいる人の56.9パーセントが胃がんなどのいずれかのがん検診を受けています。それに比較してかかりつけ医がいない人は42.1パーセントでした。


●かかりつけ医によるゲートオープナー機能


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