10MTVオピニオン|有識者による1話10分のオンライン講義
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AIがもたらすチャンスに日本はどう立ち向かうべきか?

AIがもたらす社会・企業変革(3) AI発展に必要な条件

小宮山宏
東京大学第28代総長/株式会社三菱総合研究所 理事長
情報・テキスト
鼎談の二つ目のテーマは、AIの発展に必要な条件は何かだ。東京大学第28代総長で三菱総合研究所理事長・小宮山宏氏は、人口減少・高齢化によって日本が抱える課題を解決するコンペの開催を訴える。東京大学大学院工学系研究科特任准教授・松尾豊氏は、優秀な開発人材を揃えるための企業文化の変革を、パナソニック先端研究本部知能化モビリティプロジェクト室総括部長・岩崎正宏氏は、オープンソースを生かす方向性を、それぞれ提示した。(2016年11月30日開催三菱総研フォーラム2016鼎談「AIがもたらす社会・企業変革」より、全4話中第3話)
時間:09:20
収録日:2016/11/30
追加日:2017/03/07
≪全文≫

●「課題解決コンペ」でイノベーションを起こす


司会:実は私たちで、技術研究の長期未来予測という体系的な検討を行っています。このまま何もせずに黙っていると、2030年までに約780万人の生産年齢人口減少は自明です。しかし先ほどから申し上げているAIやロボットが産業化できれば、10年後のGDPは約50兆円、年率でいうと0.6パーセントの押し上げはあるだろうと思われます。さらに新しい雇用に関しては、およそ500万人の新規雇用が創出できるはずである。こういう検討結果を公表しています。

 とにかく、ブルーオーシャンが開きつつあるという認識はその通りだと思いますので、次のテーマに移りましょう。「日本は、このチャンスにどう立ち向かうべきなのか」ということです。これだけのいろいろなことが10年後には起こり得るとされる中で、このチャンスをつかむために、私たちは何をしなければならないのか。このテーマでご提案いただければと思います。小宮山先生、お願いします。

小宮山:今の日本の弱点をどうするかという話でいえば、二つのことが重要です。一つは、日本では大企業が強すぎることです。こういうところは、先ほどの防災ロボットをつくるにしても、リスクを取って思い切って前に進むことをあまりやらないのです。だから、若くてやる気のある人たちに、社外でベンチャーをつくらせてそこに出資するという形で、もっと思い切ったことをやっていけないだろうか。これが一つ目の提案です。

 もう一つ注目したいのは、コンペです。DARPA(国防高等研究計画局)がロボットのコンテストをやったり、アマゾンもコンテストをやったりしています。そういう海外でのコンペに参加するのもいいのですが、私は日本で賞金が付いたコンペをたくさんやればいいと思っています。

 一例として、北海道の上士幌町で2016年10月に行われたイベント(Japan Innovation Challenge 2016)があります。雪山で遭難した人がいるという前提で、マネキンを遭難した人に見立て、これを見つけると50万円がもらえるというものです。そこに、毛布や薬などの入った3キログラムのキットを届けると、500万円がもらえる。さらにそのマネキンを下ろしてこられたら(ずたずたになっては駄目ですよ)、2,000万円がもらえるというコンテストをやっています。2016年は10チームが参加して、2チームだけが見つけるところまでいきました。ドローンか何かで捜索したと思いますが、こういうイベントをいろいろな分野でもやればいいと思います。そうすると、日本が抱える、嫌というほどの課題に対する解決策も見えてくるでしょう。

 実際、歴史上の大きなイノベーションは、結構賞金絡みで発見されたものが多いのです。例えば、リンドバーグが初めてアメリカからパリに飛行機で飛んだことも、もともとは賞金がありました。現代に換算すれば、たかだか1~2億円程度ではないかと思いますが、投資と考えれば非常に安いものです。失敗したら払わなければいいのですから。反対に、イノベーションが起きれば前に進めるわけです。決して、DARPAがやったりアマゾンがやったりするニーズだけではありません。日本には、本当にたくさん課題があるのだから、そういう課題を解決するコンペを続々とやることです。これと、大企業がベンチャーを切り出すという二つの策に、日本が前に進めない問題を解決する方法があるかと思います。もちろん他にもあるかもしれませんが、そのためのアイデアをいろいろ出すべきだと私は思います。


●AI研究者には外資金融並みの高給を与えよ


司...
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