●独立自尊の生涯を全ての人が送れるような社会を作りたい
「民主主義を考えるための十二の根本原理」の第7番目に進みましょう。有名な言葉、「自由か、しからずんば死か」です。“Give me liberty, or give me death ”という世界的に流布した英語の言葉です。
今の日本人が聞くと「とんでもないこと言うやつ」と思うかもしれません。武士道の言葉にも似ています。これは民主主義に本当に憧れ、一番素晴らしいといわれたアメリカが独立する頃、命懸けでイギリスと戦って独立をつかみ取ったときのアメリカの上院議員の言葉です。アメリカの独立宣言を起草した(トーマス・)ジェファーソンの友人で、起草文も一緒に考えたパトリック・ヘンリーというアメリカ人が言った言葉です。
今回知ってもらいたいのは、キリスト教から生まれた民主主義とは何かについての根本哲学です。われわれが今、民主主義だと思っているものは、実は本当の民主主義ではありません。本当の民主主義がいいかどうかは、また別の話です。
でも、本当の民主主義は何かといえば「自由か、しからずんば死か」なのです。命など問題にならないほど、人間が本当に生きるための自由を求めた人たちの思想ということです。
自由の根本は何かというと、根本原理第6で言った「独立自尊、すべて自己責任」です。これが自由の根源中の根源です。その独立自尊と自己責任の生涯を全ての人が送れるような社会を作らなければいけないと考え、アメリカは独立したのです。そして独立宣言を作ったのです。アメリカ社会は、こういうことをやるためにできたのです。
だから西部劇でも、極端に言うと殺された人間が悪いのです。西部劇の映画で見ていて気持ち良いのは、殺された人間も殺した人間を恨む話はあまりないのです。ほとんどが「殺された自分が負けた」「ドジを踏んだ」と考える。「これはしょうがない」「不覚を取った」と。
日本も武士道はそうです。武士も試合で負けても、相手を恨みません。自分が不覚を取ったのです。西部劇も同じなのです。
これが民主主義を生み出してきた、本当の思想だと思います。一番最初の根本原理1に戻ると、偉大なる文明が爛熟してくると、偉大な思想を生み出します。それが民主主義を生み出すのです。
そして、民主主義が間違って捉えられると、どんどん滅びていきます。今は滅びの段階にあると私は思っ...