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レスリング練習でヤマハだけの強みを養う

清宮克幸の「監督術」(3)ベースからスタイルをつくる

清宮克幸
公益財団法人日本ラグビーフットボール協会 副会長
概要・テキスト
清宮克幸氏が監督に就任してから4年、悲願の「日本一」を手にしたヤマハ発動機ジュビロ。いま振り返ると、最初の2年間は個人個人のフィジカルとメンタルを鍛え上げる「ベース」づくりが続き、ヤマハならではの「スタイル」を求めることに集中したのは、その後の2年だったという。清宮氏による「監督術」シリーズ第3回。
時間:09:38
収録日:2015/04/09
追加日:2015/07/02
カテゴリー:
≪全文≫

●レスリング練習でヤマハだけの強みを養う


── レスリングを練習に取り入れたのは、何年目からですか。

清宮 あれは、1年目からやっています。

── 1年目からでしたか。身体能力を上げて、接点で強くするという狙いでしょうか。

清宮 そうですね。切り口はスクラムと同じで、やはり他チームにはないヤマハだけの強みを、ディフェンスの中につくりたかったのです。とにかくタックルしてもすぐに起き上がり、しかもダメージを受けずにそれを繰り返すことができるチーム。聞いただけで強そうではないですか。グラウンドに誰も倒れていないということです。背中を着かないことはレスリング選手のプライドではないですか。それをやりきったら、そのスタイルが身に付くだろうと思っていました。それまでも、レスリングの練習をするラグビーのチームはありました。でも、それは3カ月とか半年に1回ぐらいです。それを1週間に2回、毎週やるチームは世界にもないだろうなと思ったので、「これは、やったれ」となったのです。


●チーム変革へ本物の装備とコーチを準備


── レスリングの練習を常態的に持ってくるとは、選手も最初はびっくりされたでしょうね。

清宮 そのためにウエートルームを改造しました。ウエート室にあった機械を半分取っ払い、本物のレスリングマットを敷いたわけです。300万ほど掛かりました。そして、本物のレスリングシューズも発注しておきました。だから、練習スタートの日には、マット、シューズが本物で、教えてくれるコーチはオリンピックの銅メダリストです。もう想像するだけで楽しいではないですか。

── それは楽しいですよね。

清宮 何か中途半端にグラウンドの上でレスリングの真似をしたり、人工芝の上でやるといったことではなく、全部本物ですから、それはもうエキサイティングですよ。

── エキサイティングですよね。それはやはリ、最初からやるのだったら徹底的にやろう、と狙って考えられたのですね。

清宮 もちろん、そうですよ。

── そこで、メダリストまで連れてきて、シューズからマットから全部本物にする。

清宮 はい。それは、やっている選手たちが、「本当にきつい」と胸を張って言えるようにしたかったからです。記者や他チームの人から「どう? レスリングの練習は」と聞かれます。うちの選手たちは皆、「やばい」「もう、ありえへん...
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