DATE/ 2016.08.29
第22回 デビル・タバサ・キキ
ねず美ちゃんが2回目の出産をし、産まれた3匹の子猫と、子猫たちのお姉さんのたびちゃんと仲よく暮らしていましたが、子猫が育つのは早いので、そろそろ誰かにもらってもらわないといけません。
今回、ねず美ちゃんが産んだ3匹の子猫は、尻尾が長いキジ柄のメスと、同じキジ柄で途中でちょん切れたリスの尻尾みたいなメスと、オスの黒猫でした。
ねず美ちゃん一家。
黒猫は縁起がいいそうです。だいぶ前の話ですが、友だちの南伸坊さんのところで飼っていた猫が、3匹の黒猫を産んだそうです。1匹は赤瀬川原平さんのところにあげたのですが、赤瀬川さんはそのあと芥川賞をもらったり、『老人力』という本がベストセラーになったりします。
もう1匹は、ゲージツ家の篠原勝之さん(KUMAさん)にあげました。KUMAさんはその後、テレビや映画に出たり、鉄の作品を造ったり、最近では『骨風』という小説集が泉鏡花賞をもらったりします。
あと1匹は、状況劇場出身の小林薫さんにあげたのですが、小林さんの活躍はみなさんご存知の通りです。
だから、黒猫は貧しい人にあげようと思っていたら、ライターの島本慶さんがもらいたいと言ってくれました。そして、島本さん夫婦が子猫を見に来て、黒猫が3匹の中で一番最初にもらわれていくことになりました。
不思議だったのは、これから島本さんが黒猫を取りにくるというとき、ねず美ちゃんが黒猫だけにオッパイをあげていたことです。これでもうお別れだとわかっているかのように、いとおしそうにいつまでもオッパイをあげていました。
黒猫だけにオッパイをあげるねず美ちゃん。
黒猫は、島本さんたちが「デビル」という名前にして、デビちゃんと呼んでいるそうです。
南さんが黒猫をあげた人たちのように、島本さんにもいいことがあるといいと思っていたのですが、デビちゃんが行ったその日に、年間計算で2000万円になる連載が打ち切られたとか。島本さんは落胆のあまり、電車に飛び込もうと思ったそうです。なんだか申し訳ないことをしたような気になりましたが、デビちゃんはずっと島本さんのところで可愛がられています。
リスみたいな尻尾の子は、美子ちゃんの親戚がもらってくれることになり、名前は「タバサ」にすると言っていました。仕事で海外へ1ヵ月ほど行くので、戻ってから迎えにくるということになっていましたが、結局向こうの事情でもらってもらえなくなりました。他にもらい手の候補もなく、体もずいぶん大きくなってしまったので、タバサという名前でうちに残ることになりましたが、タバサは長いのでタバちゃんと呼ぶようにしました。うちにはたびちゃんもいるので紛らわしいのですが、仕方がありません。
もう1匹の尻尾の長い子は、美子ちゃんのお父さん、お母さんにもらわれることになりました。前にも書いたように、お父さんたちの住んでいるマンションは動物を飼ってはいけないのですが、なんとなく黙認されているようで、エレベーターの中で犬を抱いた方にも出会います。
名前はお母さんが「キキ」という名前にしました。蒲生さんの例もあるので、お父さん、お母さんも、猫効果でもっと仲よくなって、楽しい暮らしになるといいと思いました。
キキちゃんと美子ちゃんのお母さん。
そういう訳で、2匹はいなくなり、居残りのタバちゃんを入れて、3匹の猫たちと暮らすことになりました。猫のほうが多いので、わが家は人間のほうがマイノリティーになりました。
ねず美ちゃん一家は結束が強く、3匹で外泊することもありました。美子ちゃんは、タバちゃんが誰かに連れ去られたので、ねず美ちゃんたちが探しているのではないかと、一晩中心配していましたが、翌日3匹連なってタッタッタッと元気で戻ってきました。キャンプでもしていたのでしょうか。
タバちゃんは人間と接する前に猫社会にいたので、人間になつくというより、僕らを自分たちの下宿人や使用人とでも思っているような、人間と少し距離のある猫に育っていきました。
今回、ねず美ちゃんが産んだ3匹の子猫は、尻尾が長いキジ柄のメスと、同じキジ柄で途中でちょん切れたリスの尻尾みたいなメスと、オスの黒猫でした。
黒猫は縁起がいいそうです。だいぶ前の話ですが、友だちの南伸坊さんのところで飼っていた猫が、3匹の黒猫を産んだそうです。1匹は赤瀬川原平さんのところにあげたのですが、赤瀬川さんはそのあと芥川賞をもらったり、『老人力』という本がベストセラーになったりします。
もう1匹は、ゲージツ家の篠原勝之さん(KUMAさん)にあげました。KUMAさんはその後、テレビや映画に出たり、鉄の作品を造ったり、最近では『骨風』という小説集が泉鏡花賞をもらったりします。
あと1匹は、状況劇場出身の小林薫さんにあげたのですが、小林さんの活躍はみなさんご存知の通りです。
だから、黒猫は貧しい人にあげようと思っていたら、ライターの島本慶さんがもらいたいと言ってくれました。そして、島本さん夫婦が子猫を見に来て、黒猫が3匹の中で一番最初にもらわれていくことになりました。
不思議だったのは、これから島本さんが黒猫を取りにくるというとき、ねず美ちゃんが黒猫だけにオッパイをあげていたことです。これでもうお別れだとわかっているかのように、いとおしそうにいつまでもオッパイをあげていました。
黒猫は、島本さんたちが「デビル」という名前にして、デビちゃんと呼んでいるそうです。
南さんが黒猫をあげた人たちのように、島本さんにもいいことがあるといいと思っていたのですが、デビちゃんが行ったその日に、年間計算で2000万円になる連載が打ち切られたとか。島本さんは落胆のあまり、電車に飛び込もうと思ったそうです。なんだか申し訳ないことをしたような気になりましたが、デビちゃんはずっと島本さんのところで可愛がられています。
リスみたいな尻尾の子は、美子ちゃんの親戚がもらってくれることになり、名前は「タバサ」にすると言っていました。仕事で海外へ1ヵ月ほど行くので、戻ってから迎えにくるということになっていましたが、結局向こうの事情でもらってもらえなくなりました。他にもらい手の候補もなく、体もずいぶん大きくなってしまったので、タバサという名前でうちに残ることになりましたが、タバサは長いのでタバちゃんと呼ぶようにしました。うちにはたびちゃんもいるので紛らわしいのですが、仕方がありません。
もう1匹の尻尾の長い子は、美子ちゃんのお父さん、お母さんにもらわれることになりました。前にも書いたように、お父さんたちの住んでいるマンションは動物を飼ってはいけないのですが、なんとなく黙認されているようで、エレベーターの中で犬を抱いた方にも出会います。
名前はお母さんが「キキ」という名前にしました。蒲生さんの例もあるので、お父さん、お母さんも、猫効果でもっと仲よくなって、楽しい暮らしになるといいと思いました。
そういう訳で、2匹はいなくなり、居残りのタバちゃんを入れて、3匹の猫たちと暮らすことになりました。猫のほうが多いので、わが家は人間のほうがマイノリティーになりました。
ねず美ちゃん一家は結束が強く、3匹で外泊することもありました。美子ちゃんは、タバちゃんが誰かに連れ去られたので、ねず美ちゃんたちが探しているのではないかと、一晩中心配していましたが、翌日3匹連なってタッタッタッと元気で戻ってきました。キャンプでもしていたのでしょうか。
タバちゃんは人間と接する前に猫社会にいたので、人間になつくというより、僕らを自分たちの下宿人や使用人とでも思っているような、人間と少し距離のある猫に育っていきました。