編集長が語る!講義の見どころ
「心理学」を組織運営や・人付き合いに活かす/山浦一保先生【テンミニッツTV】

2023/11/07

いつもありがとうございます。テンミニッツTV編集長の川上達史です。

心理学というのは、とても興味深い学問です。「心理学実験」の例をご存じの方も多くいらっしゃることでしょう。被験者に対して、あるシチュエーションをつくり、仕掛け人が色々な働きかけをして、その反応や心の動きを探っていくものです。

ときに「気の毒だなあ」「残酷だなあ」と思ってしまう実験さえありますが、むしろそのような状況をつくることによって、人間の心理がまざまざと浮かび上がってくることも事実です。

そのような心理学は、やはり日々の生活に大いに参考になるものでもあります。では、人間の「組織」で考えたらどうなのか。本日は、その「組織心理学」について解説くださった、山浦一保先生(立命館大学スポーツ健康科学部・研究科教授)の講義を紹介いたします。

もちろん、現在、何らかの組織に属していらっしゃらない方にとっても、人付き合いなどの面で大いに参考になる内容ばかりです。

◆山浦一保:組織心理学とは何か~『武器としての組織心理学』と概論
なぜ組織に「心理学」が必要か?多様化と個の時代の処方箋
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=5009&referer=push_mm_rcm1

◆山浦一保:組織心理学~「妬み」との上手な付き合い方(全3話)
(1)いい妬み・悪い妬み
いい妬みと悪い妬みの2種類がある…「嫉妬」の本質に迫る
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=5125&referer=push_mm_rcm3

山浦先生がお書きになった『武器としての組織心理学』(ダイヤモンド社)は、とても話題になりました。また山浦先生ご自身が、立命館大学の運動部のメンタルサポートなどを重ね、様々な知見を重ねてこられていることも、最近の若い方々の感性を知るうえでも興味深いことです。

今回の講義は、以下の構成で進む予定となっております。

◆概論(全1話)
◆妬み・嫉妬(全3話)
◆温度差(全2話)
◆不満(全2話)

この切り口だけでも、心のなかで密かにドキッとしてしまいます。山浦先生の組織心理学の特長の1つは、普段であればついついフタをして隠してしまいそうなこのような問題に、真正面から取り組んでいることでしょう。

このメルマガでは、「概論」と「妬み」編について紹介します。

まず概論で、山浦先生は「妬み」などの心理を取りあげる意味について、次のようにおっしゃいます。

《なかなか見えないところ、なんとか見ないようにしてふたをしようとしているところが悪さをして、顔を出そうとしたときに、心が暗くなったり、組織がおかしな方向に向いたりすることはあるだろう。そういう見えにくいところこそ、もしかしたら一番根幹にあるのかもしれない。そう思い、最近はそういうダークサイドの部分を取り上げたいと思って、研究も進めているところです》

まさにご指摘のとおりでしょう。

また、山浦先生がご指摘になるのが、なぜいま、心理学がますます必要になってきているかです。山浦先生は、「今や積極的に人間関係を築きことが難しい時代になってきた」とおっしゃいます。それは1つは「多様化」が進んでいること、もう1つは「個性重視」といわれていることです。

かつてのような「お約束」が通用しない。だからこそ、心理学的な知見が求められるのです。

さて、では「妬み」編では、どのような話が展開されるのか。

実は山浦先生は、「妬みは、皆がなるべく隠そうとする。あるいはそれを認識しないように過ごす術を持っている」とおっしゃいます。だからこそ、対応が難しいのだと。

このようにあまり意識していない感情や心の揺らぎは、自分自身の身体的にも思いがけない悪影響を及ぼすこともあるのだといいます。

しかし山浦先生は、「妬み」のような悪い感情は、「なくせばいい」ものではないとおっしゃいます。そのうえで、妬みには「良性の妬み」と「悪性の妬み」があるとおっしゃいます。

そのうえで、妬みについて研究した心理学実験もご紹介くださいます。

それぞれ、どのようなことか。そして実験から見てくるものとは。それらについては、ぜひ講義本編をご覧ください。

では、具体的に、どのようにすれば「悪性」の妬みを「良性」に変えられるのでしょうか。

組織においては「公平さ、公正さ」をどれだけ担保するかが重要になります。しかし、これも「言うは易く、行なうは難し」です。

講義では、「どのように伝えれば妬みの感情をわき起こしにくくなるか」「年齢差がある場合にどうするか」「男性ばかりのチーム、女性ばかりのチームの場合は」「コミュニケーションの量と質のバランスはどうするか」などについて、具体的にご解説いただきます。

たとえば、「コミュニケーションの量と質のバランスについては」次のような具合です。

《量はやはり一定数必要だと思います。「いけすかん人だな」と思っても、接触頻度を増やせば増やすほど見慣れてくるし、聞き慣れてくるということは、人間の心理の基本原則にあります。ただ、その量が、全ての会話において、全ての情報伝達において毎回毎回言ってくると、「また」という話になります。基本的には、人間、3回程度が一番受け入れがよくなります。

説得をするときも3回をピークに、だんだん後は反発心が起きてくるケースがあることが多いともいわれています。2、3回を目安に、というのは、私自身が考えている分量ということになります》

では、2、3回ではまだ足りないと思うときはどうするか。これもぜひ、講義本編をご参照ください。

また、妬みの緩和剤は「感謝」だということが、心理学実験からも明らかにされているといいます。加えて興味深いのは「妬まれやすい人はどうするか」、さらに「全体を俯瞰する目をどう培うか」。そのようなことも心理学実験などで明らかにされているのです。

山浦先生のわかりやすいお話しに導かれつつ、さまざまなヒントを得られる講座です。ぜひご覧ください。


(※アドレス再掲)
◆山浦一保:組織心理学とは何か~『武器としての組織心理学』と概論
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=5009&referer=push_mm_rcm2

◆山浦一保:組織心理学~「妬み」との上手な付き合い方(1)
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=5125&referer=push_mm_rcm4


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編集部#tanka
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編集後記
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皆さま、今回のメルマガ、いかがでしたか。編集部の加藤です。

さて、先週金曜日にお送りした11月プログラムガイドのお知らせの際もお伝えしましたが、改めまして以下、今回の書籍プレゼントについてお伝えいたします。

『本当に役立つ経済学全史(テンミニッツTV講義録 1)』(柿埜真吾著、ビジネス社)
https://www.amazon.co.jp/dp/4828425691/

3時間で、経済論の「嘘と真実」が見えてくる! アダム・スミス、リカード、マルクス、ケインズ、ハイエク、シュンペーター、フリードマン……人々の生活を豊かにした学者は誰か? 40点の図表と50点の写真で、どんどん分かる 〈テンミニッツTV講義録1〉です。こちらを10名様にプレゼントします。
ご希望の方は以下よりご応募ください(応募締切は11月20日〈月〉までです)。

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※応募方法は、トップページ内に表示されている「今月のプレゼント」からご確認ください(応募前の方のみ表示されます)。

ちなみに、11月プログラムガイドはこちらから確認できます。
https://10mtv.jp/program_guide/?referer=push_mm_new_function

11月も見逃せない特集、講義が続きます。ご期待ください。