編集長が語る!講義の見どころ
「一寸先は闇」の世界…トランプの真の狙いは、米中関係は?/佐橋亮先生【テンミニッツ・アカデミー】
2025/08/12
いつもありがとうございます。テンミニッツ・アカデミー編集長の川上達史です。
トランプ大統領の一挙手一投足に、世界が振り回されているようにも見えます。トランプ大統領は、まずは高めの要求を突きつけて譲歩を迫ったり、あるいは、あえて真意をぼかすような行動を取ることで交渉相手を翻弄したり……。
これぞまさに「ディール」ということでしょうが、そのペースに巻き込まれたら「一寸先は闇」。どうしても方向性を見失ってしまいがちです。
このようなときに、いちばんいけないのは、考えること自体を放棄してしまうことでしょう。むしろ、このような折だからこそ、本質を見極め、真の狙いを想定しておかなければなりません。
本日は、トランプ政権と今後の国際秩序について考えるうえでまことに有用な、佐橋亮先生(東京大学東洋文化研究所教授)の講義を紹介いたします。
いまの世界をどう見るべきか。米中関係の行方は今度どうなるか。世界が大きく変化するなかで、日本人はどのように考えるべきか。
その3点を、とてもわかりやすくご提示いただいた内容です。頭のなかに座標軸を打ち立てるためにも、ぜひご覧ください。
◆佐橋亮:トランプ政権と「一寸先は闇」の国際秩序(全3話)
(1)国際秩序の転換点と既存秩序の崩壊
経済秩序や普遍的価値観を破壊し、軍事力行使も辞さぬ米国
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=5885&referer=push_mm_rcm1
佐橋先生はまず、いまが「大きな世界秩序、国際秩序の転換点だ」と強調されます。
これまでの国際秩序は、予見可能性が高かった。しかし、いまや第2次トランプ政権は、世界に対してこれまでと全く違う関わりあい方をしようとしている。さらにいえば、これまでの国際秩序をあっさりと破って、決別しようとしている。
たしかに、そのとおりでしょう。
では、根本的に何がどう変わったのか……。その点については、ぜひ講義第1話をご覧ください。まことにわかりやすく佐橋先生が論点を整理くださっています。
第2話で論じられるのは米中関係です。
佐橋先生は、第2次トランプ政権では「ひたすら経済関係にフォーカスが当たっている」といいます。経済問題を中心に協議が継続しているあいだは、実は米中対立はある程度は制御されている。だが、中国からしてみると、トランプ政権は非常に不確実性が高い。その場合、安全保障の危機が高まってしまうリスクも……。
そのようななかで、では日本はどのように考えるべきなのか。
トランプ政権の外交は、ある意味では日本を含めた同盟国に「負担のシフト」を課すものです。同盟国からの注文は受け付けず、むしろ「もっと働け」と迫ったくる。道義的なコメントも、どこ吹く風。
実際に、欧州のNATO諸国は、軍事予算をGDPの5%にしようとしています(軍事予算がGDPの3.5%、安全保障に関わるインフラ整備で1.5%)。
そのように国際環境が急激に変わっていることに、日本は対応できているのか? 現在の日本政治の姿を見れば見るほど、不安でしかありません。
しかもトランプ政権は、北朝鮮問題や中国問題などについても、劇的な変化を起こしかねません。
このようなときこそ「底線思考」が大事だと、佐橋先生はおっしゃいます。これは習近平主席がよく使う言葉だそうですが、あえてそのような言葉に着目する「心」とは?
これもぜひ、講義本編でご覧ください。
佐橋先生は、次のようにおっしゃいます。
《私たちは、これまでの時代状況というものに、甘えてはいけないのです。そこが非常に重要だと、私は思っていることです》
この言葉が、とても身に沁みてくる講義です。ぜひご覧ください。
(※アドレス再掲)
◆佐橋亮:トランプ政権と「一寸先は闇」の国際秩序(1)
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=5885&referer=push_mm_rcm2
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