編集長が語る!講義の見どころ
(今を知る)名作で辿る「印象派」の誕生から終焉まで/安井裕雄先生【テンミニッツTV】
2026/03/13
いつもありがとうございます。テンミニッツ・アカデミー編集長の川上達史です。
春霞とあざやかな青空の対比、一斉に咲き誇る花々、どんどん変容していく木々の緑……。春はまさに光あふれる季節です。この季節に、ゆっくりと「印象派」の絵を味わい、学ぶのはいかがでしょうか?
印象派の絵は、いうまでもなく日本でも大人気。モネ、ルノワール、セザンヌ、ピサロ、マネなどの画家たちの名もよく知られています。
印象派とはいかなるもので、いかに誕生し、いかに高まり、そしてどこへたどり着いたか。
今回は、印象派解説の第一人者である安井裕雄先生(三菱一号館美術館上席学芸員)に印象派の流れを「全18話」にわたってお話しいただいた「印象派講義シリーズ」をピックアップした特集を紹介します。
名作の数々を動画で鑑賞しつつ、その歴史や、芸術家たちの人物像、さらに技法の秘密や浮世絵からの影響などまでを学べる、芸術の愉しみに満ちたシリーズです。
■今を知る講義まとめ:「印象派」を詳しく掘り下げよう
https://10mtv.jp/pc/feature/detail.php?id=282&referer=push_mm_feat
◆安井裕雄先生:印象派の誕生~8人の主要な芸術家
マネ、モネ、ルノワール…芸術家8人の関係と印象派の誕生
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=5594&referer=push_mm_rcm1
◆安井裕雄先生:印象派とは~画家たちの関係性から技法まで(全8話)
(1)印象派への誤解
風景画家だけの集まり…?誤解された印象派の本当の姿
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=5595&referer=push_mm_rcm2
◆安井裕雄先生:作風と評論からみた印象派の画期性と発展(全4話)
(1)セザンヌの個性と現代性
マネへの強烈なライバル意識…セザンヌ作品にみる現代性
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=5857&referer=push_mm_rcm3
◆安井裕雄先生:印象派の解体と最後の印象派展 (全5話)
(1)セザンヌと印象派
印象派の画家に大きな影響を与えたセザンヌの構築的筆触
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=6159&referer=push_mm_rcm4
■ピックアップ講義:シリーズの全貌を一挙紹介!(安井裕雄先生)
それでは、各シリーズを紹介していきましょう。
◆安井裕雄先生:印象派の誕生~8人の主要な芸術家
マネ、モネ、ルノワール…芸術家8人の関係と印象派の誕生
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=5594&referer=push_mm_rcm5
この講義は、印象派講義シリーズの「序曲的な位置づけ」となる全1話の講義です。まずこの講義を学んで、全体の位置づけを理解しておけば、この後に続く講義を視聴するうえで、非常に有意義であること、うけあいです。
安井先生はまず、次のようにおっしゃいます。
《有名な印象派なのですけれど、ひとくちに印象派といっても、実は定義が難しいところです》
はたして、どういうことか。それが、この全1話の講義を見れば、とてもよくわかるようになります。
印象派を語るうえで外すことのできない「印象派展」。1874年から1886年にかけて、パリで合計8回開かれた展覧会ですが、それはどのような位置づけのものだったのでしょうか。
印象派と称される有名な画家たちは、それぞれ何回くらい、その展覧会に出品したのか。そもそも展覧会の内実はどうだったのか。さらに、印象派の代表的な8人の画家の概略と、それぞれの特徴とは。
そのような大きな流れが、まず、この講義で把握できます。
◆安井裕雄先生:印象派とは~画家たちの関係性から技法まで(全8話)
(1)印象派への誤解
風景画家だけの集まり…?誤解された印象派の本当の姿
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=5595&referer=push_mm_rcm6
この《印象派とは~画家たちの関係性から技法まで」(全8話)》シリーズでは「絵画は絵画からしか生まれない」という言葉のとおり、名だたる画家の絵が次々に紹介されつつ、それが誰にどのような刺激を与えて、それがいかなる「新しい絵」に結びついていったのかの重層な物語が語られていきます。
第1話・第2話では、印象派ルーツをひもときます。ドラクロワが亡者の肌に見出した「白を挟む赤と青」のハイライト、クールベがナイフ一本で作り出した雪や波の質感、さらに自然描写に長けていたミレーが込めた象徴性などを絵で見ながら、技法的な「発明」がいかに次世代へと継承されたかを見ていきます。
第3話では、グループの柱でありながら対極の気質を持つドガとピサロに光を当てます。「できるだけ多くの線を引きなさい」というアングルの教えを重視し、踊り子、競馬、水浴する女性、サーカスといった近代的な風俗を描いていったドガと、どちらかというと風景を得意としていたピサロ。その両者の実像とは?
第4話~第6話では、当時、歴史画を頂点としていたサロンに《草上の昼食》《オランピア》を出品して画期をなしたマネと、それに刺激されつつ作品に挑んでいったモネの作品群が紹介されます。また、浮世絵の影響は実際にどのようなものであったかも見ていきます。
終盤の第7話・第8話は、印象派の代名詞「筆触分割」の解剖です。絵の具を混ぜれば濁るという物理的現象を、キャンバス上で色を「並べる」ことで回避したこの技法により、これまでとは異質の「明るい表現」が可能になってゆくのです。そしてモネとルノワールの2人が、ラ・グルヌイエールというパリ近郊の保養地で屋外に並んで描いた絵を見比べつつ、2人の技法の秘密に迫っていきます。
◆安井裕雄先生:作風と評論からみた印象派の画期性と発展(全4話)
(1)セザンヌの個性と現代性
マネへの強烈なライバル意識…セザンヌ作品にみる現代性
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=5857&referer=push_mm_rcm7
この《作風と評論からみた印象派の画期性と発展(全4話)》シリーズでは、印象派の画家たちがはいかにして「新しい絵」を生み出していったのかを、光と色への視点、さらにジャポニスムの影響などもふまえて見ていきます。
第1話では、セザンヌがいかにして古典的な模写を脱し、ボードレールが提唱した「現代性(モデルニテ)」をいかに表現していったのかがわかります。
第2話では、モネの《印象、日の出》を天文学や気象記録から再検証。この絵が単なる「印象」ではなく、特定の場所と時間を極限まで追求した結果であることが解き明かされます。
第3話は、サロンのヒエラルキーにおいて最下位だった風景画や静物画を、画家たちが戦略的に「前衛」へと押し上げ、自らマーケットを創出しようとしたのかのエピソード。
第4話は、興味深い技法である「脱固有色」と「ジャポニスムの影響」について深掘りします。「空は青、葉は緑」などのように決まった色があると考えるのが常識ですが、それを覆したのが「脱固有色」と、パレットで色を混ぜない「筆触分割」でした。
しかし、ルノワールやモネが到達したこの光の表現は、当時の批評家から罵倒されてしまいます。一方、ドガがいかに浮世絵の奇抜なアングルを「自家薬籠中」のものとしてサーカスの光景に転用したか。画家仲間同士で刺激しあいながら、それぞれが独自の境地を探究しったことが、彼らの絵とその解説から濃密に見えてきます。
◆安井裕雄先生:印象派の解体と最後の印象派展 (全5話)
(1)セザンヌと印象派
印象派の画家に大きな影響を与えたセザンヌの構築的筆触
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=6159&referer=push_mm_rcm8
「印象派講義」の最後のシリーズ《印象派の解体と最後の印象派展 (全5話)》は、印象派といううねりの終焉と「ポスト印象派」への流れが描かれます。
第1話では、セザンヌ独自の「構築的筆触」が後のキュビスムの礎となった過程を詳述。続く第2話では、ルノワールが「筆触分割」では人物の生命感を描けないというジレンマに陥ってスランプになるものの、古典への回帰とセザンヌとの再会を通じて再び立ち上がるドラマが語られます。
第3話・第4話では、卓越した観察眼で新技法を追求し続けたドガの実験精神や、対立するドガ派とモネ派の間で奔走したパトロン・カイユボットの献身に光を当てつつグループ内部の不和の実像を浮き彫りにします。
そして最後の印象派展となった第8回展。ここは、スーラやシニャックの「点描」に注目が集まり、ルドンの象徴主義が異彩を放つ場となりました。実質的な「ポスト印象派展」へと変貌していたのです。
新たな表現に到達した印象派の画家たちの活動が、さらに若きゴッホたちを生み出していく変遷を、多くの作品分析から解き明かしていきます。
以上の安井裕雄先生の講義シリーズは、本当に多くの絵が紹介されます。「美術展」をそぞろ歩きするような感覚で視聴しつつ、安井先生の解説に耳を傾けることで、まさに至福の時間を送ることができます。そして見終えたときには、印象派についての明確なイメージが、ご自身のなかにできあがっているはずです。
心を豊かにし、美術史への知見を高めてくれる、動画ならではの珠玉の講義です。ぜひご覧ください。
(※アドレス再掲)
■今を知る講義まとめ:「印象派」を詳しく掘り下げよう
https://10mtv.jp/pc/feature/detail.php?id=282&referer=push_mm_feat
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