印象派の解体と最後の印象派展
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大スランプに陥ったルノワール…どう活路を見いだしたのか
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印象派の画家に大きな影響を与えたセザンヌの構築的筆触
印象派の解体と最後の印象派展(1)セザンヌと印象派
安井裕雄(三菱一号館美術館 上席学芸員)
全8回行われた19世紀末の印象派展だが、そのどれにも当時の印象派の画家たち全員が参加していたわけではない。第2回と第4回以降の印象派展に参加しなかったセザンヌもその一人である。セザンヌは、出品からは遠かったものの、「構築的筆触」という独自の画法を編み出したことで、ルノワールをはじめ仲間の印象派の画家に大きな影響を与えた。(全5話中第1話)
時間:8分50秒
収録日:2023年12月28日
追加日:2026年3月13日
カテゴリー:
≪全文≫

●セザンヌの「構築的筆触」


 第4回の印象派展です。このときには、ルノワール、シスレーはともにもう出品していなかったのですが、もう1人出品していなかった重要な画家がいました。それがセザンヌです。

 セザンヌはピサロの教えを受け、ピサロに誘われて、第1回展、第3回展の印象派展にも出品しています。一般的には人間嫌いだったからだといわれるのですけれど、どうした事情からか、何らかの事情によって印象派展にも出品しなくなります。仲間の画家が嫌だったわけではなさそうです。というのは、1890年代にモネが連作を発表していたときに、セザンヌは生まれて初めての個展が開催されていました。1895年だったと思います。その個展の会場には行っていないのです。

 ところが、モネの個展を見に行って、大喜びでした。当時モネはジヴェルニーというところに住んでいたので、そこに行って、モネの家族ともつき合って何日か滞在していたということが分かっています。なので、必ずしも人嫌いとか、そういうような理由だけではなかったのではないかなと思います。むしろ自分の作品を発表するよりも、より良いものを描く努力をしていたのではないかなと――これは想像でしかないのですけれど――思っています。

 (こちらの作品は)そのうちの一端となる探求ですが、これは比較的早い時期、1870年代の最後の頃に行われています。この頃、セザンヌはピサロの教えからも完全に脱却して、独自の表現に至ります。

 比較的短い筆使いで、同じ方向に筆を並べていきます。(つまり)描くのに絵の具を置いていくのですけれど、そのときに微妙に絵の具の色を変えて、1つのグラデーションを作っていくのです。これをどんどん積み重ねることで、画面自体を作り上げていきます。積み重ねていくのです。「構築的筆触」、(つまり)構造的につくり上げていくとセザンヌは言っています。1970年代の後半、最後の1、2年からそういった表現が特徴的で典型的になっていくのです。この表現は後に大きな影響を与えることになります。

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