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中国が欲しいのは不沈空母と新たなシルクロードだ!

激動する世界情勢と日本(4)習近平政権の世界戦略

島田晴雄
公立大学法人首都大学東京 理事長
情報・テキスト
中国が埋め立てた人工島から12海里内に進入航行した
米国イージス駆逐艦「ラッセン」(2015年10月27日)
中国の習近平政権は、アメリカに代わって世界の覇権を握ろうとしている。その「中国の夢」実現のため、南シナ海での軍事展開や21世紀のシルクロード計画、AIIB設立など、覇権獲得の目論見は確実に進行しつつある。千葉商科大学学長・島田晴雄氏が、現代中国を駆り立てている世界戦略を解説する。(2016年1月26日開催島田塾第131回勉強会島田晴雄会長講演「年頭所感 激動の世界経済と日本」より、全10話中第4話)
時間:11:46
収録日:2016/01/26
追加日:2016/05/02
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≪全文≫

●中国はアメリカに「太平洋の2国管理」実現を求めた


 ところが、成熟段階に入ったことが明らかな中国経済を背景に、習近平主席にはどうも世界戦略があるようなのです。習近平さんは2013年の春に国家主席になりましたが、その年の6月に、カリフォルニアに行ってバラク・オバマさんを訪ねた。パーム・スプリングスという、ゴルフ場のメッカのようなところです。そこで2日間、会談をしました。お互いにカウボーイハットをかぶったり、草に寝転がったりなどいろいろして、ネットで8時間も語ったそうです。その時に習近平さんは、一生懸命「新型大国関係を認めてくれ」と言ったそうです。それから、「広い太平洋は、2国で管理できるではないか」とも言いました。

 これはどういう意味か。確かに太平洋は広い。ハワイ辺りに南北に線を引いて、そこから西は中国が管理する。東はアメリカがやりなさい、ということです。「そこから西」と言った場合、日本が入っているなどそんなことは眼中にありません。「日本は中国の属国だ」というお考えなのでしょう。これは中国が覇権を非常に強く追求しだしたことだと、アメリカ側も十分に察知しているわけです。

 1990年代、鄧小平さんは、天安門事件で戦車隊が出て若者を轢き殺してしまったようなことを容認していたわけですね。鄧小平さんは直接の責任者ではなかったのですが、彼が一応最高トップですから、世界中から大変な非難を浴びて、もう本当に頭を低くして今はもう我慢我慢で、内に実力を貯めようということを主張したのです。これが、彼の安全保障外交戦略の基本になります。これを「韜光養晦(とうこうようかい)」と言います。才能を隠して内に力を蓄える。中国はこれでずっとやってきたのです。

 ところが、習近平さんになったら、何かが変わり出しました。習近平さんは、大演説の前に必ず「ヂョン グゥオ モン」と言うのです。日本語で「中国の夢」となります。いわゆる「アメリカンドリーム」のように、「きれいな奥さんで素敵な家に住めばいい」といった、そんな軽い話ではありません。もっと深いのです。「170年の汚辱を晴らし、いよいよ本当の中国になる」と言っているのです。


●中国の世界戦略に対するアメリカの警戒


 オバマ大統領は、さすがにこれには警戒しています。この「新型大国関係」を翻訳するにしても、絶対に「大国関係」とは言わない。“New Relations”とだけしか言わない。警戒したのです。また、「この広い太平洋を米中両国で管理できる」と習さんは言ったそうですが、その前に中国の海軍の幹部がアメリカで、「ハワイから東を米軍が管理し、西を中国海軍が管理しよう」という太平洋分割管理論を持ちかけていたそうです。それを受けて、中国の艦隊が西太平洋に頻繁に入って示威行動をしていた。その西太平洋の通路に、あの尖閣諸島があるのです。尖閣諸島は、資源というより、安全保障の要衝なのですね。

 習近平さんは、会談の時に地図を広げて、「尖閣と南シナ海の領有問題は核心的利益だから妥協はできない」とオバマさんに言ったそうです。それに対してオバマさんは何と答えたか。ある筋から聞いたことですが、日本の外務省にはリアルタイムで連絡を入れていたそうです。オバマ大統領は「“そんなことを言っても、日本は米国の軍事同盟国である。日本は、民主主義という価値を共有している”と言って、中国にくぎを刺しておいた」と、わざわざホワイトハウスから外務省にリアルタイムで連絡が行ったようです。

 ところ...
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