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限界を見せ始めた中国の高度成長路線の先にある展望とは?

激動する世界情勢と日本(3)中国高度成長時代の終焉

島田晴雄
公益財団法人日本国際フォーラム理事長/慶應義塾大学 名誉教授
情報・テキスト
上海証券取引所
現在の中国に求められているのは、高度成長路線からの大幅な転換と構造改革だと、千葉商科大学学長・島田晴雄氏は強調する。リーマン・ショックの経済対策は焦げ付き、重化学工業は供給過剰だ。この状況からうまくソフト・ランディングしなければ、中国だけでなく日本の経済にも大きな打撃を与えるだろう。(2016年1月26日開催島田塾第131回勉強会島田晴雄会長講演「年頭所感 激動の世界経済と日本」より、全10話中第3話)
時間:15:25
収録日:2016/01/26
追加日:2016/04/28
上海証券取引所
現在の中国に求められているのは、高度成長路線からの大幅な転換と構造改革だと、千葉商科大学学長・島田晴雄氏は強調する。リーマン・ショックの経済対策は焦げ付き、重化学工業は供給過剰だ。この状況からうまくソフト・ランディングしなければ、中国だけでなく日本の経済にも大きな打撃を与えるだろう。(2016年1月26日開催島田塾第131回勉強会島田晴雄会長講演「年頭所感 激動の世界経済と日本」より、全10話中第3話)
時間:15:25
収録日:2016/01/26
追加日:2016/04/28
≪全文≫

●上海市場暴落と中国政府の対応


 次は中国について、一体何が起きているのかを、皆さんと一緒にざっと見てみたいと思います。

 皆さんが覚えているように、昨年(2015年)6月を境に、上海株式市場が激落を始めました。それまで上海の株価は、もう急上昇していたのです。ロンドンに『エコノミスト』という雑誌がありますが、その表紙に気球の綱が切れてばーっと上がっていく絵を掲げ、5月30日に“Flying too high”というタイトルの社説を書いています。さすがにイギリス人はよく見ていますね。「多くの一般庶民が借金してまで投機してこんな状態になっているのは大丈夫か? それは危ないよ」ということです。それが、上海市場が急落する2週間前です。お見事だと思います。

 ピーク時には、上海の株式市場指数で5166ポイントです。そこからドーンと落ち始めました。中国政府は、これは大変だということで、とんでもないことを始めました。その日に利下げをして、新規上場は取りやめ。さらに証券各社に「2.4兆円を拠出しろ」、政府系ファンドには「ETF(株価指数連動型上場投信)を買い増せ」、保険会社、民間ファンド、国有企業には「自社株を買え」と、全て命令を出すのです。一時、全上場会社の半分以上が、取引停止になりました。こうなると、何て言うのでしょうか、計画経済以上ですね。中国政府は、市場原理を全く無視した行動を取ったわけです。彼らは大慌てだったと思います。加えて、5パーセント以上を保有している大株主の株主売却は、6カ月停止にしました。「売ったら逮捕するぞ」ということですね。

 これではまるで、20年前の中国に戻ってしまったような感じです。こういうことをやったので、株価も少しは反発したのですが、また崩れました。そこから止まらずに、8月26日にまた大暴落がありました。株式ポイントで言うと、2927ですから、6月の高値から43パーセントも落ちてしまい、年初来の半年分を全部失いました。ところが、さらに落っこちたのですね。今年の1月早々にもまた急落しました。

 実は、上海市場では、株価が一定以上動いたら自動的に止める「サーキット・ブレーカー」という仕組みを1月4日に用意していたのですが、すぐに作動させなければいけなくなった。1月7日には、前日比でいきなり寄付(よりつき)から7.5パーセントもどんと落ちたものですから、これは危険だといって、自動ブレーキがかかってしまったのですね。開始30分で、取引終日停止です。

 この事態は、いったい何なのかということです。一般投資家はもう大失望です。国民は、政府不信を強めます。政府は何やっても全部機能しない。海外投資家は、もうこの国は何をやっているのだと思う。株式市場に、まだ全然慣れていないではないか。そのため、投資資金がどんどん流出しました。

 実は、この間に流出した資金は、推計でなんと1兆ドルにもなると言われています。アメリカの機関が推計したようですが、日本円で120兆円です。『フィナンシャル・タイムズ』が今年の1月14日に書いています。元が急落したからといって、こういうことをやると、世界中が「今の中国どうなっているのか」と不信を抱く。今日まさにここで、中国はこうなっているという話をしますから、皆で勉強して理解しましょう。


●超大型経済対策が中国経済にもたらしたダメージ


 そこでやや歴史をさかのぼり、2008年まで一度戻る必要があります。2008年11月9日、リーマン・ショ...
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