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アメリカ経済の変動が、戦後日本経済を生かしも殺しもした

激動する世界情勢と日本(5)戦後アメリカ経済史と日本

島田晴雄
慶應義塾大学 名誉教授
情報・テキスト
ジェイムズ・アディソン・ベイカー
日本は、どこよりもアメリカ経済に翻弄されてきた。千葉商科大学学長・島田晴雄氏によれば、ブレトンウッズ体制やプラザ合意、リーマン・ショックといったアメリカ経済の動きが、日本経済を興隆もさせ、衰退もさせてきた。さらに現在では、中国の思惑も重なり、日本経済は米中の確執の間で揺れている。(2016年1月26日開催島田塾第131回勉強会島田晴雄会長講演「年頭所感 激動の世界経済と日本」より、全10話中第5話)
時間:16:21
収録日:2016/01/26
追加日:2016/05/05
ジェイムズ・アディソン・ベイカー
日本は、どこよりもアメリカ経済に翻弄されてきた。千葉商科大学学長・島田晴雄氏によれば、ブレトンウッズ体制やプラザ合意、リーマン・ショックといったアメリカ経済の動きが、日本経済を興隆もさせ、衰退もさせてきた。さらに現在では、中国の思惑も重なり、日本経済は米中の確執の間で揺れている。(2016年1月26日開催島田塾第131回勉強会島田晴雄会長講演「年頭所感 激動の世界経済と日本」より、全10話中第5話)
時間:16:21
収録日:2016/01/26
追加日:2016/05/05
≪全文≫

●アメリカの金融政策出口戦略第二弾が開始された


 もう一つ、最大のテーマは、アメリカです。昨年(2015年)12月15日に、ジャネット・イエレンさんが連邦準備理事会の利上げをしました。これは、リーマン・ショック以来の超金融緩和政策の出口戦略の第二弾です。第一弾は、超金融緩和です。これはQE、“Quantitative Easing”と言っています。二つを合わせて日本円にすると、470兆円ほどのベースマネーを出しています。これはアメリカのGDPの20パーセントに相当するものであり、史上空前の規模です。

 日本は350兆円です。ただ日本はGDPの規模が小さいので、350兆円でも7割を占めます。これに対しアメリカは2割です。これを、一昨年10月にやめました。今度出されたのは、第二弾になります。今までゼロにしてきた金利をノーマルに戻していきたい。

 しかし急には戻せない。アメリカという国は、やはり世界最大の国なので、インパクトが大きいのです。これについては、もうベン・バーナンキさんの時からすごく慎重に言っていて、実施に2年ぐらいかかっているので、市場はほとんど織り込み済みです。したがって株価も、発表の後に少し上昇しただけで安定しました。なぜかと言えば、利上げ幅が0.25パーセントですからね。見えないような小幅です。ただ、これを数カ月ごとに上げていって、1年か1年半ぐらいで2パーセントぐらいにしたいとなると、世界の様子は相当変わります。


●イエレン総裁の利上げに見えた「気遣い」


 これがどういう影響を持つのか。一番影響を受けるのは国力が弱い国、えてしてドルペッグ制を採用している国です。こうした国は、おそらく金利を上げなければならなくなりますね。それから対米債務国はドルで払うわけですから、金利が上がると大変です。かつて南米やアジアがそうでした。現在では、南米とアジアは中身が相当良くなっており、反対に危ないのは東欧ではないかと言われています。いろいろあります。

 日本はどうでしょうか。日本は、対外資産をすごく多く持っていますから安定安心の通貨なのですね。だから、激変が起きると円買いになり、円が上がります。ただ「えっ、それっぽっちしか上げないの?」という状態だと、円が下がるだろうと言われています。今回日本は比較的、安全圏にいます。

 ただイエレンさんはものすごく慎重で、世界を見て、マーケットの様子を見ながら、徐々に徐々にやってくれました。アメリカという国は、本来そんな国ではないですよね。皆さんと、過去を振り返ってみたいと思います。というのも、アメリカの一挙手一投足によって、日本はもう吹っ飛ぶような目に何度も遭っているのです。それがどういうものだったか、さっと復習しましょう。これはやはり知っておいた方がいい。EUや中国など、確かにいろいろな競争国が出てきますが、依然としてアメリカの経済力は圧倒的ですから。


●戦後日本にとって「パックス・アメリカーナ」は福音だった


 まず、ブレトンウッズ体制が何かを考えましょう。1944年7月、日本が降伏する1年前に、ワシントン郊外にあったブレトンウッズという村で、連合国国際通貨金融会議が開かれました。その時点で、戦後体制をどうするかということが考えられ始めていたのですね。そこに、アメリカからハリー・ホワイト、イギリスからジョン・メイナード・ケインズ卿が出席しています。いろいろ、ちゃんちゃんばらばらやったのですが、結果的にホワイト案が通りまし...
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