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骨・軟骨を強くするために増やしたい栄養素、運動法

老いない骨のつくり方(5)骨を強くするためにできること

鄭雄一
東京大学大学院工学系研究科 バイオエンジニアリング専攻教授
情報・テキスト
骨と軟骨の仕組みと健康常識の誤りが分かっても、日常に生かせなければ意味がない。そこで、「骨を強くするためにできること」には何があるか。東京大学工学系研究科・医学系研究科教授の鄭雄一氏の連続講義「老いない骨のつくり方」最終回では、今日から役立つ方法が熱く語られる。(全5話中第5話)
時間:11:03
収録日:2016/09/14
追加日:2016/11/14
≪全文≫

●日本人にはまだカルシウムが不足している


 今回は五番目ということで、いよいよ後半に入ってまいりました。では実際に、骨を強くするためにどんなことができるのかということです。骨と軟骨を強くするために、まず食事面でできることは、以下の栄養素に特に注意して、バランスよく摂取することです。

 具体的には、いっぱい書いてしまいましたが、まずカルシウム。これは乳製品に豊富に入っていますし、次いで魚類にも含まれています。牛乳、ヨーグルト、チーズもお勧めです。牛乳がたくさん飲めない人は、ヨーグルトやチーズを料理に取り入れるなど、ぜひ工夫してほしいと思います。

 日本人の栄養摂取を見ると、まだ不足している栄養素はカルシウムだけです。まだまだ取らないといけないので、意識的に取るようにしてください。

 次いで魚類からカルシウムを取るには、イワシの丸干しやしらすなどがいいです。他にも大豆製品、ゴマ、ヒジキ、小松菜などに、カルシウムは豊富に含まれています。

 カルシウムを取るときは、リンや食塩の取り過ぎに注意してください。リンや食塩は清涼飲料水やインスタント食品にたくさん入っています。リンは腸でカルシウムが吸収されるのを妨げてしまうので、いくらたくさんカルシウムを取っていても、インスタント食品を多く取っていると、体内に入ってこなくなるのです。また、食塩はカルシウムが体から出ていくのをどんどんと促進させるため、せっかく取ったカルシウムが無駄になってしまうのです。

 ビタミンDは、腸からのカルシウム吸収に重要です。これは皮膚でつくることができます。牛乳やシイタケなどにも入っていますので、普通に食事をしていて、適度に日光も浴びていれば、それほど不足することはないと思います。


●プロテインドリンクはがぶ飲みしても無駄


 たんぱく質については、何かがいいということではなく、穀類、豆類、肉類を組み合わせて、必須アミノ酸をきちんと取ることが大切です。「何か1種類だけ」というのは止めてください。というのは、必須アミノ酸のバランスがそれぞれみな違うからです。だから、混ぜて取ることが重要です。

 たんぱく質だけを取って炭水化物を全然取らない人がよくいますが、たんぱく質をアミノ酸にするにはエネルギー源も必要です。炭水化物を減らすのは構いませんが、全然取らないとかえって非効率です。ご飯も少しは食べてください。

 また、プロテインドリンクをがぶ飲みする人もよくいます。たんぱく質は貯蔵できませんので、たくさん飲んでも、余分として全部おしっこになって出てしまいます。たんぱく質を取り過ぎて、あまりおしっこが出過ぎると、腎臓に負担がかかります。たくさん取れば取るほどいいというわけではないことを覚えておいてください。

 ビタミンなどは、日本の食事をちゃんと食べていれば、不足することはまずありません。それよりも、カロリーの制限が非常に大事です。軟骨の最大の敵は肥満ですので、これは絶対に防がなければいけません。

 私のお勧めは、食事の最初に野菜を取ることです。伝統的な日本料理や韓国料理では、おひたしやナムルを食べますが、あれは理にかなっています。最初にサラダやおひたしなどを食べるのがよろしいかと思います。そうすると過食が抑制できますし、栄養素の吸収を遅らせます。焼肉屋へ行って「とりあえず焼肉」と注文することはやめていただいて、最初は野菜から入る方がいいのではないかと思います。


●毎日30分、汗ばむ程度の運動習慣を


 次に、運動です。先ほど言った通り、運動は中程度がいいです。汗ばむ程度で、あまり自由に会話ができなくなるぐらいです。よくぺちゃくちゃしゃべりながらウォーキングしている人がいますが、運動の強度としては足りません。もう少しきついのをやってほしいと思います。頻度は毎日30分ぐらいでいいでしょう。

 運動の種類としては、ウォーキングをお勧めします。簡単でお金がかからなくて、効果が実証されているからです。ウォーキングに関しては、歩く距離が長いほど長寿命で骨も増えることなどが実証されています。

 関節周りの筋肉をつけるためには、筋トレなども非常にいいと思います。日本整形外科学会では「ロコトレ」というのも出していますので、こういうものを見られるといいかと思います。

 わざわざジムに行く必要はあまりなく、通勤時間などを利用して、毎日ウォーキングを汗ばむ程度に30分されるといいのではないかと思います。

 こちらのイラストがロコトレになります。歩き方の解説、片脚立ちやスクワットのやり方が書いてありますので、これらも参考になさってください。


●たばこには止めた方がいい、いくつもの理由がある


 それから嗜好品です。ネガティブな言い方になりますが、喫煙はお勧めし...
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