日本企業のグローバル戦略~外資系企業との比較
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企業が企業をつくっていく古河グループ
日本企業のグローバル戦略~外資系企業との比較(2)古河グループ5代の歴史と富士通の躍進
大上二三雄(MICG代表取締役)
なぜ、かつての日本では新しいイノベーションを次々に生み出し、世界を変えていく企業がたくさん出てきたのか。今はなぜそのような企業が出てこないのか。大上二三雄氏が古河グループ、中でも富士通に注目してその理由を分析する。
時間:16分04秒
収録日:2014年4月11日
追加日:2014年6月12日
≪全文≫

●日本には独自の企業生態系がある


 皆さん、最近入道雲のように世界を席巻していく日本の企業というと、どこを思い浮かべますか。前回お話しした、かつてのソニーのような企業です。なかなか出てこないのではないでしょうか。ソフトバンク、楽天、ユニクロなど、確かに元気な企業はあります。ですが、新しいイノベーションを次々に生み出し、世界を変えていく企業かというと、残念ながら今挙げたような企業もそうではないと思います。

 しかし、かつてはそのように世界を席巻していく企業が日本にたくさんありました。それらの企業は、日本独自の企業生態系の中で発展していきました。今日はその一例である古河グループ5代の歴史をお話しし、皆さんと共有していきたいと思います。


●企業が企業をつくっていく古河グループ


 古河グループは、もともとご存じのように明治時代の足尾銅山から始まりました。その足尾銅山を発掘した古河鉱業は、古河機械金属として今も残っており、銅などの精錬・販売や削岩機の製造などの事業を行っています。現在の市場価値(時価総額)は約720億円(撮影当時。以下、全て同様)です。古河機械金属から出た子どもが、古河電気工業という会社です。銅線から始めて今では光ケーブルにおける世界有数の会社となっています。市場価値は約1668億円です。

 次に、古河電気工業とドイツのジーメンスが合弁でつくったのが、古河の「ふ」とジーメンスの「じ」をとった重電メーカー・富士電機です。古河グループ3代目で、現在の市場価値は約3217億円です。そして、富士電機から1935年に電話部門が分社化されてできた会社が富士通で、今ではコンピューター事業が中心の会社となっており、市場価値は約1兆2379億円に上ります。さらに1972年、富士通の工作機械のNC(数値制御)の部門が分社化してできたのがファナックです。ファナックの時価総額は、なんと4兆3686億円にまで達しています。

 古河グループ5代、どの企業も今も元気にやっていますが、親より子、子より孫、孫よりひ孫が、より大きく、より元気に新しいビジネスをつくり出しています。これは古河グループだけではありません。住友、三菱、三井、日立、あらゆる日本の企業グループがこのような形で子を産み、孫を産み、子や孫を成長させてきました。それが日本の企業・産業のあり方なのです。

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