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がん対策推進基本計画、最初の5年間の成果

がん対策の現状と今後(2)第1期基本計画と新しい課題

門田守人
日本医学会 会長/地方独立行政法人堺市立総合病院機構理事長/大阪大学名誉教授
概要・テキスト
がん死亡率の低下と患者の苦痛の軽減という二つの目標を掲げた5年間の第1期がん対策推進基本計画が5年目を迎えたとき、門田守人氏はがん対策推進協議会の会長に就任した。第2期の基本計画を立てる上で、第1期の課題に加え、元患者の社会復帰ということが新たな課題となった。(全5話中第2話)
時間:09:17
収録日:2018/09/10
追加日:2019/02/26
カテゴリー:
≪全文≫

●がん対策推進基本計画の二つの目標


 改めて言いますと、がん対策推進基本計画の1つの目標は、がんによる死亡率の減少です。がんの死亡率は年齢調整しないと年齢構成によって全く変わってきますので、年齢調整した死亡率を10年で20パーセント減少させるというのが一つ。

 もう1つは、全てのがん患者およびその家族の苦痛の軽減、ならびに療養生活の質の向上で、これをもう1つの柱とするというように、この2つが始まったということです。それに派生するさまざまなことがありますけれども、初期の目標は、このようなことでスタートしました。これが第1期のスタートです。


●がん対策推進基本計画の5年間の成果


 そのようなことがありまして、それから5年間の計画が進んだわけです。その5年間の計画の中で進んでいったことは、がん医療です。がん医療を行うところを何とかするということだったので、全国で一気に多くのがん診療連携拠点病院ができ、二次医療圏に一つぐらいずつになりました。

 これは、指定するということだけですから、しようと思えばすぐ簡単にできるといえばそれまでですが、要するに、それを受け皿とすれば、うまく受けられるようになったということです。ですから、当然それをしただけでは駄目で、その当時問題になったことがありました。

 わが国のがんというと、外科でがん治療するのはよく知られており、頑張っていたということがいわれていた一方、放射線治療、あるいは化学療法という内科的な治療法などは、欧米と比べて遅れていました。第1期の時には、放射線治療あるいは化学療法を本格的にどんどん進めました。要するに、病院の中にそういった部署をしっかりとつくり、そこでがん医療を行い、その結果として、がん死亡率が下がるということを狙いました。

 ですから、先ほども言いましたが、その他の問題も含め、さまざまなことをしようと思えば、当然しっかりとしたがんの研究が必要です。同時に、がんにも、例えば、たばこ、肺がんという単語が出てきますが、喫煙によるがん、あるいはその他にC型、B型肝炎やピロリ菌による胃がんなど、さまざまな原因がはっきり分かっているものがあります。このようなことから、予防も大切だということです。

 そういったようなことで、その他のさまざまな項目も挙げました。そのようにして進...
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