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戦後ダメになったのは日本だけでない、欧米はより堕落した

価値と人間(5)欧米社会の堕落

概要・テキスト
現代の政治・社会を動かしている民主主義の考え方は、全面的にダメなのではない。しかし、下が上を選ぶ現在の選挙制度がある限り、多数派にしか正義はない。そうなると、エリートが生まれなくなるから、やがて国が滅びてしまう。日本では、戦後、占領軍が憲法を押しつけ、戦後改革が行なわれたから社会がダメになったという意見がある。だが、考えてみればヨーロッパはもっと酷い国になってしまっている。戦後レジームが日本をダメにしたのではなく、第二次世界大戦後に世界中がダメになっているのだ。(全8話中第5話)
※インタビュアー:神藏孝之(テンミニッツTV論説主幹)
時間:10:39
収録日:2024/01/31
追加日:2024/04/26
カテゴリー:
≪全文≫

●フランスをはじめ戦勝国は日本以下になってしまった


―― 先生に薦められて(ダグラス・マレーの)『西洋の自死』を読みました。やはりすごくいい本でした。けれど、あれを書いた人がどこかに行ってしまったのですね。

執行 社会から抹殺されました。あれだけ売れてしまうと……。

―― 30万部も売れてしまったから。

執行 売れなかったら見逃してもらったでしょうが、あそこまで売れるとダメです。

―― でも書いてある内容はすごかったですね。

執行 そう。真実だから。

―― 選挙で選ばれるために「票だけ欲しい」となってしまうと、あのようになるわけですね。

執行 私は選挙のことも前から言っていますが、民主主義がダメというのではありません。ただ、選挙制度がある限り、絶対に多数派にしか正義はないのです。だから、必ず国は滅びます。エリートが作られないのだから、しょうがない。

―― そうですよね。

執行 システムがもうダメです。私は小学校で、選挙制度が国を潰すと気づきました。本を読み、いろいろ勉強して確信を持ちました。だから、選挙は一回もしたことがありません。反対だから、人から何と言われようと。

 民主主義は選挙がなくても作れます、エリート層があれば。エリートがいろいろ考えて、いろいろな政治システムを作らないとダメです。エリートというのは、やはり教育システムなのです。

―― ヴィクトリア朝は、それがすごくうまくいっていたわけですね。

執行 だから、英国は18世紀、19世紀に成功しました。あれだけ膨大なシステムでも、ジェントルマンと認められている人たちは、一番いたときでも2万人です。

―― わずか2万人。

執行 今の選挙の票で言えば2万票です。それでもエリートになるような人は、2万票で大英帝国をつくれたのです。

―― 本当にすごいですよね。

執行 その英国ですら、今はパブリックスクールやオックスフォード、ケンブリッジのエリート教育は、民主主義の名のもと、できないのです。

―― 本当に出なくなりましたね。イートン(校)に行って、オックスフォード(校)に行って(といった人たちから)。

執行 ヨーロッパ人は今、最悪です。直接会うと日本人以下。私はずっと戦後レジーム(体制)がこの日本をダメにしたと思っていました、60歳まで。でも違います。

―― 違うのですか。

執行 私は間違っていまし...
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