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そもそもどのような構想か、住民投票をどう考えるべきか

大阪都構想

曽根泰教
慶應義塾大学大学院教授(政策・メディア研究科)
情報・テキスト
大阪都構想は2015年5月に住民投票が行われ、僅差ながら否決となった。そもそも大阪都構想とはどういったものなのか、住民投票をどう考えるべきなのか、ここで整理しておく必要があると政治学者・曽根泰教氏は言う。政令指定都市問題をはじめ、道州制論や大阪自体の話も含め、今回の結果から見えてきた問題点を曽根氏が解説する。
時間:13:53
収録日:2015/05/25
追加日:2015/05/28
大阪都構想は2015年5月に住民投票が行われ、僅差ながら否決となった。そもそも大阪都構想とはどういったものなのか、住民投票をどう考えるべきなのか、ここで整理しておく必要があると政治学者・曽根泰教氏は言う。政令指定都市問題をはじめ、道州制論や大阪自体の話も含め、今回の結果から見えてきた問題点を曽根氏が解説する。
時間:13:53
収録日:2015/05/25
追加日:2015/05/28
≪全文≫

●住民投票の具体的方法を考える必要がある


 大阪都構想では、橋下徹さんが代表を務めた維新の党が敗れたわけですけれども、結果は非常に僅差でした。この大阪都構想と住民投票はどういうものであったのか、少し整理してみたいと思います。

 まず住民投票は、基本的に賛成の人も居るのですが、今回のように、その結果によって決定につながるという住民投票は例が少なく、参考にするという住民投票が多いわけです。片方では、投票率が高かったこともあり、「民主主義は素晴らしい」という評価がありながら、「いやいや、この住民投票というものはかなり危ないぞ」と考えている人も居るわけですね。

 そもそも住民投票をどう考えるべきなのか。これについては、憲法改正に至る国民投票の予行演習だったのではないかと見る人も居ます。そうなると、国民投票、あるいは、住民投票はもっといろいろな条件が必要で、つまり、「国民、住民、市民が参加できるからいいのだ」「民主主義なのだ」という説は、もう少し付属する条件が必要だという話につながってくるわけです。例えば、論点は十分に整理されて、選択肢が明確に示されているのか。十分な情報と議論が前提にならなければいけないけれども、情報提供と討論の場は十分に確保されていたのか。あるいは選択肢、つまり、大阪都構想の選択肢は、これが本当の選択肢だったのかなど、反省材料はたくさんあるわけです。

 そういう意味で、今後国民投票を行うためには、住民投票や国民投票の仕方、つまり、法的にどうするかということもさることながら、具体的な運営の方法を相当に考えなければいけないということが、今回の結果から一つ分かったことなのです。


●道州制論にもつながる政令指定都市問題


 二番目は大阪都構想についてです。これは政令指定都市問題、とりわけ二重行政問題ということで問題が提起されたわけですが、ただ、政令指定都市というのは大変厄介で、道州制を考えるときにも政令指定都市という巨大都市をどう扱ったらいいのかという問題もあります。また、われわれは、地方分権はいいことだと言っているけれども、地方分権を政令指定都市を中心に発達させるべきなのか、つまり、基礎自治体というけれども、100万人を超えた規模はやはり巨大すぎるのではないかなど、いろいろな問題があるのです。

 今までも、例えば、宮城県における仙台であるとか、あるいは最近一番新しいもので言えば、熊本県と熊本市の関係がありますが、一番深刻なのは神奈川県だろうと思います。実は政令指定都市が、横浜、川崎、相模原と三つもあるわけです。ですから、大阪とは違った形で政令指定都市問題を考えなければいけません。とりわけ370万人のいわば国家のような巨大な規模を持つ横浜市があります。この横浜市をどう扱うのか。例えば、税収でいえば40パーセントほど横浜市から入ってくると思いますが、その権限は横浜市に委ねられています。では、神奈川県議会は一体何を決めればいいのか。そういう問題があるわけです。それから、人口規模でいくと、370万人は大きすぎる。では、100万人ならいいのか。ここはなかなか難しい点です。

 われわれは、財政的にもある程度自立して、政策的にも手を打つことができ、かつ目が行き届く規模ということで、30~40万人を考えていますが、では100万人を超える都市を経営するにはどうしたらいいか、当然ながら、地域内の分権が必要になってくるわけですね。

 それは、今回、大阪都の中でいくつかの特別区を...
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