DATE/ 2016.09.12
第24回 たびちゃんの避妊手術
ねず美ちゃんが2回目の出産で3匹の子どもを産み、3匹ともまだうちにいたころのことです。
美子ちゃんが、ねず美ちゃんが5ヵ月の間に2回出産したことを友だちに話すと、「そのままにしてたら、あっと言う間に猫屋敷になっちゃうよ」と脅かされたようです。
それと、ねず美ちゃんやたびちゃんが、隣の広い庭に遊びに行っているようなので、「猫が行くかもしれませんが、よろしくお願いします」と挨拶しておこうと思って、隣のご主人に「実はうちに猫がいまして…」と言いかけたとたん、「俺、猫大っ嫌いなんだよ」と言われてしまいました。
何も言えなくなってポカンとしていると、「で、何匹いるの?」と訊かれたので「3匹です」と言うと、「あっ、そう」と言ったあと、「俺、猫大っ嫌いなんだよ」ともう一度同じことを言いました。
その様子があまりにも可笑しかったので、美子ちゃんに報告すると、「訊いててよかったよ。ねず美ちゃんとたびちゃんに、あっちに行ったらダメって教えなきゃ」と言います。言ってわかれば世話がないのですが。
ねず美ちゃんのオッパイに吸い付くたびちゃん。
いずれにしても、これ以上猫が増えると困るので、避妊を考えなくてはいけなくなりました。
避妊するとなると、ねず美ちゃんよりたびちゃんです。たびちゃんは、どう見ても母親になる猫のように見えません。体が大きくなっても甘えん坊で、子猫と一緒にいつまでもねず美ちゃんのオッパイに吸い付いています。
子育てをしているねず美ちゃんは慈しみ深く、子どもを舐めたりオッパイをあげたりしているときは至福の時間のようです。メス猫にとって、子育てはかけがえのない時間のようですが、たびちゃんは意気地がなく、いつまでもお母さんに甘えていて独立心がないので、子どもができてもちゃんと育てられるか怪しいものです。
しかし、ねず美ちゃんの子育てを手伝うように、3匹の子猫を可愛がっているときもあったので、子育てのまねごとは経験しているから、それでいいのではないかということになったのでした。
いつも予防注射をお願いしている獣医さんに、たびちゃんの避妊手術をお願いして、たびちゃんをキャリーバッグに入れて車に乗せようとすると、何かを察知したかのように大きな声で鳴き出し、キャリーバッグの中で暴れ出しました。美子ちゃんが車を運転し、僕がキャリーバッグを抱えていたのですが、いつまでも鳴いたり暴れたりしているので可哀想になりました。
会社から帰ると、なんだか洋服のようなものを着せられたたびちゃんが、ソファーの下で丸まっていました。頭を撫でても、まったく反応がありません。
手術をしたたびちゃんに子猫たちが寄り添っていた。
美子ちゃんに訊くと、手術が終わったたびちゃんを連れて帰ると、3匹の子猫たちはたびちゃんを庇うように寄り添っていたそうです。美子ちゃんの両親にもらわれて行ったキキちゃんは、特にやさしく寄り添っていたようで、美子ちゃんは「たびちゃんに特別愛着があるのかなぁ」と言っていました。
3匹の子猫のうち、黒猫が島本さんにもらわれて行き、キキちゃんがお父さん、お母さんのところに行ったあと、うちに残ったタバちゃん、たびちゃん、ねず美ちゃんの小競り合いが絶えなくなったので、もしかしたら、たびちゃんはキキちゃんとだったら仲よく暮らすかもしれないと美子ちゃんは思い、たびちゃんを連れて両親のマンションに行ったことがありました。
ところが、たびちゃんが手術したとき、あんなにたびちゃんに寄り添っていたキキちゃんが、そんなことは微塵も覚えていないような行動に出たそうです。
仲よしのたびちゃんとキキちゃん。
あわよくば、たびちゃんも両親にもらってもらおうという美子ちゃんの企みを察したかのように、たびちゃんがキャリーバッグから出るや否や、ものすごい唸り声を出してたびちゃんを威嚇し始めたそうです。自分のテリトリーに侵入してきた外敵という認識しかなく、仲のよい姉妹だったことはとっくに忘れていたのです。
猫は、仲がよい姉妹であっても、成長するにつれてただのメス猫同士になるようです。
美子ちゃんが、ねず美ちゃんが5ヵ月の間に2回出産したことを友だちに話すと、「そのままにしてたら、あっと言う間に猫屋敷になっちゃうよ」と脅かされたようです。
それと、ねず美ちゃんやたびちゃんが、隣の広い庭に遊びに行っているようなので、「猫が行くかもしれませんが、よろしくお願いします」と挨拶しておこうと思って、隣のご主人に「実はうちに猫がいまして…」と言いかけたとたん、「俺、猫大っ嫌いなんだよ」と言われてしまいました。
何も言えなくなってポカンとしていると、「で、何匹いるの?」と訊かれたので「3匹です」と言うと、「あっ、そう」と言ったあと、「俺、猫大っ嫌いなんだよ」ともう一度同じことを言いました。
その様子があまりにも可笑しかったので、美子ちゃんに報告すると、「訊いててよかったよ。ねず美ちゃんとたびちゃんに、あっちに行ったらダメって教えなきゃ」と言います。言ってわかれば世話がないのですが。
いずれにしても、これ以上猫が増えると困るので、避妊を考えなくてはいけなくなりました。
避妊するとなると、ねず美ちゃんよりたびちゃんです。たびちゃんは、どう見ても母親になる猫のように見えません。体が大きくなっても甘えん坊で、子猫と一緒にいつまでもねず美ちゃんのオッパイに吸い付いています。
子育てをしているねず美ちゃんは慈しみ深く、子どもを舐めたりオッパイをあげたりしているときは至福の時間のようです。メス猫にとって、子育てはかけがえのない時間のようですが、たびちゃんは意気地がなく、いつまでもお母さんに甘えていて独立心がないので、子どもができてもちゃんと育てられるか怪しいものです。
しかし、ねず美ちゃんの子育てを手伝うように、3匹の子猫を可愛がっているときもあったので、子育てのまねごとは経験しているから、それでいいのではないかということになったのでした。
いつも予防注射をお願いしている獣医さんに、たびちゃんの避妊手術をお願いして、たびちゃんをキャリーバッグに入れて車に乗せようとすると、何かを察知したかのように大きな声で鳴き出し、キャリーバッグの中で暴れ出しました。美子ちゃんが車を運転し、僕がキャリーバッグを抱えていたのですが、いつまでも鳴いたり暴れたりしているので可哀想になりました。
会社から帰ると、なんだか洋服のようなものを着せられたたびちゃんが、ソファーの下で丸まっていました。頭を撫でても、まったく反応がありません。
美子ちゃんに訊くと、手術が終わったたびちゃんを連れて帰ると、3匹の子猫たちはたびちゃんを庇うように寄り添っていたそうです。美子ちゃんの両親にもらわれて行ったキキちゃんは、特にやさしく寄り添っていたようで、美子ちゃんは「たびちゃんに特別愛着があるのかなぁ」と言っていました。
3匹の子猫のうち、黒猫が島本さんにもらわれて行き、キキちゃんがお父さん、お母さんのところに行ったあと、うちに残ったタバちゃん、たびちゃん、ねず美ちゃんの小競り合いが絶えなくなったので、もしかしたら、たびちゃんはキキちゃんとだったら仲よく暮らすかもしれないと美子ちゃんは思い、たびちゃんを連れて両親のマンションに行ったことがありました。
ところが、たびちゃんが手術したとき、あんなにたびちゃんに寄り添っていたキキちゃんが、そんなことは微塵も覚えていないような行動に出たそうです。
あわよくば、たびちゃんも両親にもらってもらおうという美子ちゃんの企みを察したかのように、たびちゃんがキャリーバッグから出るや否や、ものすごい唸り声を出してたびちゃんを威嚇し始めたそうです。自分のテリトリーに侵入してきた外敵という認識しかなく、仲のよい姉妹だったことはとっくに忘れていたのです。
猫は、仲がよい姉妹であっても、成長するにつれてただのメス猫同士になるようです。