テンミニッツTV|有識者による1話10分のオンライン講義
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DATE/ 2016.10.17

第29回 ねず美ちゃん3回目の出産

 思いがけないタバちゃんの妊娠・出産であと回しになってしまいましたが、ねず美ちゃんも妊娠して、タバちゃんの出産より2ヵ月前に子どもを産みました。もうこの年は、わが家は猫まみれでした。

妊娠中のねず美ちゃん。


 ねず美ちゃんは3回目の出産になりますが、今回は妊娠中に相当イラだっていました。たびちゃんやタバちゃんが近づいてくると、唸り声をあげて近づけさせません。

 神経性のハゲにもなりました。その原因は、顔デカくんの気持ちがタバちゃんに向いているからではないかと、美子ちゃんは言っていました。

 猫の世界にも嫉妬の感情があるのかどうかわかりませんが、確かに顔デカくんがタバちゃんに乗っかっていたころからねず美ちゃんにストレスが溜まってきたようで、頭に2ヵ所ハゲができたのもそのころです。

 顔デカくんも、ねず美ちゃんに見つからないように気を遣っているようで、いつもねず美ちゃんがいないときを狙って、タバちゃんに接近していました。たびちゃんがいる前では、平気でタバちゃんにすり寄ったりしていたので、顔デカくんはねず美ちゃんの嫉妬を感じていたのかもしれません。美子ちゃんがお父さんにその話をすると、「やっぱり猫でも、若いのがいいんだな~」と笑っていたそうです。

 ねず美ちゃんにとって、顔デカくんは初恋の相手です。黒ホッカくんも来ていましたが、顔デカくんに比べてだいぶオジサンなので、やはり本命は顔デカくんです。その顔デカくんに裏切られたことは、相当ショックだったのかもしれません。しかも相手は自分の娘です。

 家に帰ってこない日もあったので、このままでは外で子どもを産んでしまうのではないかと心配していました。ハゲを診てもらいに獣医さんに行ったとき、獣医さんが「自分の居場所がないからイライラするんだと思いますよ」と言っていたこともあって、庭に面した一番いい部屋をねず美ちゃん専用にして、猫トイレもねず美ちゃん用に新しいのを買ってきて、他の猫が入ってこないように部屋を閉めておくと、やっと落ち着きを取り戻しました。

 そのうち犬のように口でハーハー息をするようになったので、美子ちゃんは押し入れを片づけ始めました。お客さん用の真新しい布団を干してカバーをかけ替え、三つ折りにして押し入れの一番上の段に仕舞いました。そして、以前ねず美ちゃんが子どもを産んだ2段目の段に新聞紙を敷いて、出産の準備をしました。

 ところがねず美ちゃんは、美子ちゃんが「この布団の上では産んでもらいたくない」と思って、隙間がないようギュウギュウに詰め込んでいたお客さん用の布団の一番上をお尻でグイグイかき分けて、わずかな隙間を作ってそこに産みました。猫は干した布団が大好きです。気持ちのいい布団の上で子どもたちを育てたいと、ねず美ちゃんは思ったのでしょうか。

産まれた子猫は3匹。


 産まれた子どもですが、布団の奥のほうにいてよく見えません。懐中電灯を照らして見ると、子猫が3匹いました。黒ホッカくんそっくりの黒と白の子が1匹、顔デカくんと同じキジ柄が2匹でした。

 ねず美ちゃんが出産したのは夏だったので、押し入れの中で子猫と抱き合っているのはさすがに暑いのか、ねず美ちゃんはちょいちょい押し入れから出てきてダラーッとしていました。クーラーがあればいいのですが、その部屋にはエアコンがついていません。とにかくねず美ちゃんを冷さないといけないと思って、氷枕をねず美ちゃんの頭に置いて冷やしたりしました。美子ちゃんは、アルミ板でできたようなペットの冷え冷えシートを何種類か買ってきました。

ヘタったねず美ちゃんを氷袋で冷やす。


 それもあまり効果がなかったので、隣のリビングのエアコンを強くして部屋を冷やしたら、ねず美ちゃんは押し入れの布団に入って、子猫にオッパイをあげていました。部屋が涼しいと子育てに専念できるようです。

 子猫はみんな小ぶりだったけど、元気に育っていきました。

第1回 マキ・キュー

第2回 猫の駆け引き

第3回 ネズミのような猫

第4回 黒ホッカおじさん

第5回 騒々しい庭

第6回 猫に話しかける

第7回 チーコ物語

第8回 猫の乗っ取り

第9回 ねず美ちゃんの母性

第10回 猫の癒し