テンミニッツTV|有識者による1話10分のオンライン講義
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DATE/ 2016.12.19

第38回 トホホなクリスマスイブ

 クリスマスイブを一人ぼっちで過ごすことを「クリぼっち」と言うそうです。若い女の子にとって、それは絶対避けなければいけないことで、そのための準備を12月に入ったらしなければなりません。いや、もっと前からしているのかもしれませんね。

 ここ何年か、美子ちゃんは「クリぼっち」です。僕はペーソスという歌謡バンドに所属していて、毎年クリスマスイブにそのバンドのライブがあるからです。(今年も12月24日に下北沢・La Canaで19時30分からありますので、よろしかったらお越しください。http://www1.ttcn.ne.jp/lacana/live/1212.html)

ねず美ちゃんサンタ。


 話が逸れましたが、美子ちゃんは「クリぼっち」も悪くないと思っているようで、ライブにも来ないで毎年一人で静かなクリスマスを迎えています。

 数年前のクリスマスイブのことです。そのときも僕がいなくて、美子ちゃんは静かに過ごそうと思っていたようですが、猫たちのおかげでとんでもないクリスマスイブになったそうです。

 わが家の玄関のドアの下には、猫の出入り口があります。うちの猫たちは、昼夜を問わず外によく出るので、いつも開けっ放しです。当然その穴からノラも出入りします。

 猫の首輪に磁石のようなものを付け、それで出入り口を開ける仕組みのものがあるのですが、誤作動するみたいだし、重い磁石のようなものを首にぶら下げるのも可哀想なので、うちの出入り口はただの穴です。

 以前、顔デカくんが入ってきてオシッコを撒き散らしていたときは、出入り口のことをあれこれ考えました。うちの猫たちはみんな小ぶりで、顔もみんな小顔です。それに比べて顔デカくんの顔は、うちの猫たちの1.5倍くらいあるので、その差を利用して、うちの猫は通れるけど顔デカくんはつっかえて通れない大きさに作り直そうと思ったのですが、顔デカくんの顔の大きさを測ったりしないといけないので、面倒だからやめました。

 そういうわけで、ノラたちが世代交代しながら、うちの中にやって来ては消え、やって来ては消えというサイクルを繰り返しています。強いノラ同士が同時にやって来るときは、ねず美ちゃん、たびちゃん、タバサちゃんたちに緊張が走り、文句を言ったり威嚇したりすることもあるようですが、そんなことはおかまいなしにノラたちはやって来ます。

たびちゃんサンタ(左は蒲生さんにもらわれた子)。


 そのクリスマスイブに美子ちゃんは早く布団に入り、うとうとしていたら、猫の唸り声に起こされたそうです。寒い夜、暖かい部屋でゴハンにありつこうと思ったノラ同士がかち合い、リビングで激しいケンカになり、美子ちゃんが飛び出して行くと、2匹とも慌てて逃げたそうです。1匹はボロらしかったようですが、もう1匹は新顔の黒い猫だったようで、どういうケンカだったかわからないのですが、リビングの床にウンコがなすり付けられていたそうです。

 美子ちゃんの静かな「クリぼっち」は、なすり付けられたウンコの始末に追われることになりました。ウンコまみれになった床を這いつくばって掃除する、トホホなクリスマスイブになってしまいました。

 クリスマスには、美子ちゃんがチキンを丸ごと焼きます。猫たちにも当然お裾分けするのですが、うちの猫たちは食べつけないものには飛びつきません。美味しいローストチキンがあっても、お刺身があっても、見向きもしないでいつものカリカリや猫缶を食べています。その猫缶もすぐに食べなくなるので、美子ちゃんは手を変え品を変え、いろんな猫缶を買ってきます。それでもいつも残しているので、それを狙ってノラたちが来るのです。美子ちゃんはときどき、ノラたちのことを考えて残しているんじゃないかと思うそうですが、猫はそんなに気は回りません。

ねず美ちゃんは小顔だから帽子が大き過ぎる。



第1回 マキ・キュー

第2回 猫の駆け引き

第3回 ネズミのような猫

第4回 黒ホッカおじさん

第5回 騒々しい庭

第6回 猫に話しかける

第7回 チーコ物語

第8回 猫の乗っ取り

第9回 ねず美ちゃんの母性

第10回 猫の癒し