編集長が語る!講義の見どころ
「進化」への大誤解…実は「良くなる」ことではない!/長谷川眞理子先生【テンミニッツ・アカデミー】
2026/01/13
いつもありがとうございます。テンミニッツ・アカデミー編集長の川上達史です。
さて、「進化」という言葉に、皆さまはどのようなイメージを抱かれるでしょうか?
「物事が良くなることだ」「進歩していくことだ」……。そのようなイメージをお持ちの方も多いと思います。
しかし実は、それは必ずしも「進化」ということについて、正しく理解しているとはいえないのです。では「進化」とは、本当は何か。
そのことを、生物学での進化を学ぶことで理解できるのが、本日紹介する長谷川眞理子先生(総合研究大学院大学名誉教授)の講義です。
さらに、長谷川先生の「進化」のお話を聞くと、「本当に大切なこととは何か」も見えてきて……。
古代ギリシアの哲人たちや、ラマルク、ダーウィンはじめ有名な学者たちの議論を、エピソード満載の長谷川先生のわかりやすいお話で学べて、しかも未来も展望できる、とっておきの講義です。
◆長谷川眞理子先生:「進化」への誤解…本当は何か?(全9話)
(1)進化の意味と生物学としての歴史
実は生物の「進化」とは「物事が良くなる」ことではない
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=6092&referer=push_mm_rcm1
まず最初に、「進化」を英語でいうと、その単語は何でしょうか?
「evolution」という言葉をパッと思いつかれた方もいらっしゃるかもしれません。しかし実は、ダーウィンなどの時代でよく使われていたのは「transmutation」だといいます。
「transmutation」というと、どちらかというと変化、変質、変性など「変わっていく」という意味あいが強まります。
そして、実はその点でいうと、古代ギリシアでは「生物(種)は時間とともに変わる」という考え方のほうが優勢だったのだといいます。これはあるいは、日本古来の考え方とも通じるところがあるかもしれません(『古事記』などのイメージでは、万物は「産霊(むすび)」の力で、どんどんと成りましていくという発想ですから)。
それが大きく変わっていくのは、皆さまのご想像のとおり、キリスト教の影響です。
キリスト教では、全知全能の神が万物を創造したのだと考えます。そのため、古代ギリシアの哲人たちのなかでも、そのようなキリスト教のイメージにもっとも近かったアリストテレスの考え方が重んじられるようになっていくのです。
ところが近代になり、科学が発展していくにともなって、だんだんとそのようなキリスト教的な世界観を覆す説が現われてくるのです。
そのような説をいち早く唱えた一人として、ラマルクの名前を記憶している方もいらっしゃると思います。ところで、ラマルクとダーウィンの「進化論」の考え方がどう違うか、何となくであれイメージをお持ちの方はいらっしゃるでしょうか?
ラマルクは「使えば使うほどその器官が発達して、それが子に伝わる。だから変わるのだ」と主張しました。
たとえばライオンなども、走れば走るほど足が速くなり、その子どもも足が速くなる。キリンは高いところの草を食べようとすればするほど首が長くなり、その子どもの首も長くなる……。
しかし、この考え方はダーウィンの考え方とは、まったく違うのです。
そう聞くと、「えっ、進化ってそういうことではなかったですか?」と思うかもしれません。実は、なんとなく、上述のようなイメージを持っている人は、現代においても多いと思います。
たとえば「擬態」をどう考えるか。
「擬態」とは、虫が木の枝のような姿になったり、チョウや蛾の羽の模様が岩や木々と見分けがつきづらくなったり、イカやカレイが色を変えたりするなど、いろいろな生物の色や姿が環境に紛れるように変わることです。
これは「生物が、そのように紛れたい」と思わなければ、そうならないのではないか? ついつい、そのように考えてしまいがちです。
ところが、それはダーウィンの発想からすると違うのです。では、何がどう違うのか?
さらにダーウィンの進化論の発展に寄与した人々は何を考えていったのか。たとえば、そこに日本人の科学者も大きく寄与しているのだけれども、その発想とは?
そのような内容にも触れながら、長谷川先生の講義はさらに「進化」の深奥に迫っていきます。
では、本来の「進化」が見えてくると、何に気づくことができるのでしょうか。実は、社会や人間のあり方に対する見方も大きく変わっていくのです。
一昔前は、マルクス主義などが典型例ですが、人類の歴史は一本道であるべき未来へと進歩していくのだという思想もありました。また、日本をはじめ先進国に追いつき、追い越すことをめざす国々では、すでにできているモデルに向かって一心不乱に進んで、その質を高めていくことで、キャッチアップが可能でした。
ところが、未来への最先端のポジションに立ち至ったとき、そこから先に何が見えるのか。そこで何をすべきなのか。
そこがまさに問われるのです。
そのことを考えるうえで、「進化」のことを正しく理解することは、とても大事なことなのです。それは、はたして……。
自分自身の発想も、ガラリと変わりうる講義です。ぜひご覧ください。
(※アドレス再掲)
◆長谷川眞理子先生:「進化」への誤解…本当は何か?(1)
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=6092&referer=push_mm_rcm2
----------------------------------------
今週の人気講義
----------------------------------------
2026年大河ドラマ『豊臣兄弟!』秀吉と秀長の実像に迫る
黒田基樹(駿河台大学法学部教授/日本史学博士)
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=6051&referer=push_mm_rank
逆境にどう対峙するか…西洋哲学×東洋哲学で問う知的ライブ
津崎良典(筑波大学人文社会系 教授)
五十嵐沙千子(五十嵐哲学研究室主宰/ソクラテス・サンバ・カフェ主宰)
板東洋介(東京大学大学院人文社会系研究科 准教授)
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=6077&referer=push_mm_rank
戦略的資本主義とは?日本再生へアメリカに学ぶ5つの提言
片瀬裕文(I-Pulse取締役副会長)
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=6091&referer=push_mm_rank
2026年頭所感~循環文明の「三つの柱」…いよいよ実現へ
小宮山宏(東京大学第28代総長/テンミニッツ・アカデミー座長)
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=6087&referer=push_mm_rank
MAGA内戦勃発…なぜトランプがMAGAの敵になってしまうのか
東秀敏(米国大統領制兼議会制研究所〈CSPC〉上級フェロー)
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=6063&referer=push_mm_rank
公式X(@10mtv_opinion)では、毎日独自コンテンツを配信中!
https://x.com/10mtv_opinion
人気の講義ランキングTOP10
高市政権の今後は「明治維新」の歴史から見えてくる!?
テンミニッツ・アカデミー編集部