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介護離職は最後の手段、介護休業制度を上手に活用すべし

50代からの親の介護~その課題と準備(3)仕事と介護の両立のために

太田差惠子
介護・暮らしジャーナリスト/ファイナンシャルプランナー(AFP)
概要・テキスト
介護や看護を理由に離職する人の数は、総務省の調査(2017年度のデータ)によると10万人近くに上っている。そうなると、その後の生活設計を崩してしまうため、離職は最後の手段と考えたほうがいい。そこで今回は、離職をせずに仕事と介護の両立のための体制づくりとして、介護休業制度の活用について解説する。(全5話中第3話)
時間:09:01
収録日:2021/08/26
追加日:2021/10/20
≪全文≫

●介護離職を考えたBさんの事例


 「50代からの親の介護」ということでお話をさせていただきます。

 介護していた母親がガンになられたBさんの事例です。大阪にお住まいの50代の方で、両親と同居されていたシングル(独身)の方です。

 この方は、もともと父親に介護が必要でした。父親のことは母親が介護されていました。その肝心な母親がガンを発症して入院、手術をすることになりました。

 もう仕事を辞めて介護をするしかないのではないか。万事休す、とBさんは考えておられます。

 Bさんにできることとは、何でしょうか。

 会社を辞めることはない、と私は思います。これからBさんにはBさんの長い人生があります。Bさんの老後もやがては来ます。仕事を辞めると、ご自身のこれからの生活設計が完全に崩れてしまうことになります。

 仕事は辞めないで親の介護をしていくことが重要ではないかと思うわけです。


●「辞めるのは最後の手段」という上司の言葉


 Bさんの場合は、上司が本当にいい方でした。皆さまも上司の立場だったら、ぜひこのように言っていただきたいですね。

「辞めるのは最後の手段。とりあえず、介護休業を取り、体制を整えれば何とかなる」

 こう言われたことによって、Bさんは介護休業を取られました。とりあえず40日間お休みを取られたそうです。そして、一時的に仕事から離れ、冷静になれたといいます。

 父親は介護サービスを絶対使いたくないと言われていたのですが、Bさんは「私を助けると思って介護保険を使って」とおっしゃいました。まさに訴えられたわけです。

 母親は入院後、手術を経て3週間で退院されました。結構早かったですね。以後、日中は両親二人で生活がまわるようになり、Bさんは仕事に復帰することができたということです。

 3週間(21日間)入院されたのですが、Bさんが長めに介護休業を取られたので、母親が退院されてからご自分で少し様子を見たり、体制を整えて介護サービスを使えたりしています。もしかすると、母親にも介護保険を使われているかもしれません。

 とにかく体制が整って、仕事に復帰できたということです。辞めなくて良かったですよね。このように、きっとなんとかなるのです。
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