テンミニッツTV|有識者による1話10分のオンライン講義
ログイン 会員登録 テンミニッツTVとは
テンミニッツTVは、有識者の生の声を10分間で伝える新しい教養動画メディアです。
すでにご登録済みの方は
このエントリーをはてなブックマークに追加

「終の住処」をどうするか、施設選びは消費者視点で慎重に

50代からの親の介護~その課題と準備(5)終の住処と施設選び

太田差惠子
介護・暮らしジャーナリスト/ファイナンシャルプランナー(AFP)
情報・テキスト
介護施設の選定は、親の終の住処をどうするかという問題と重なってくる。「可能な限り自宅で」と多くの親は考えるが、介護度が進むとそのための施設について考えざるを得なくなる。施設には、種類によってできる介護とできない介護があることを頭に入れ、施設を選ぶ目的を明確にしたい。(全5話中第5話)
時間:10:27
収録日:2021/08/26
追加日:2021/11/03
≪全文≫

●「親の終の住処をどう考えるか」という問題


 「50代からの親の介護」ということで、最終回は施設のお話をさせていただこうと思います。

 「親の終の住処をどう考えるか」ということですが、皆さま、どう考えていらっしゃるでしょうか。

 「元気なうちにシニア住宅や施設に」移りたいと考えていらっしゃる親は、見ているとかなり少数派です。

 多くの親は「可能な限り自宅で」と考えています。でも、そうなった場合、自宅は段差だらけというようなことはないでしょうか。そういうことも確認していただいて、段差などがあれば可能な範囲で手すりを付けるようなことも考えます。

 しかし、「可能な限り」といっても、「トイレに一人で行けなくなっちゃった」ということになってくると、多くの場合、施設に入ることになってきます。

 施設には「住宅型」と「介護型」があります。「住宅型」の施設に一旦入られると、介護度が重くなってきたときに、そこでは面倒を見てもらえないということが起こってきて、もう一度介護付きの施設に移らなければいけないというようなことが起こるケースもあります。

 このように、高齢者施設は結構複雑で難しいということを覚えておいていただければと思います。ですから、施設選びをされるときには時間をかけていただくことが必要になってくると思います。

 また、施設に入られてから、「こんなはずではなかった」と言っている方をかなり見受けます。よって、ここは慎重に、介護休業制度などを使って、しっかりと見学などをして選んでいただくことが必要ではないかと思います。


●「介護型」と「住宅型」で介護体制は違う


 そもそも自宅ではなく高齢者住宅や施設を選ばれるとき、なぜそうするのかということを親としっかり話していただきたいと思います。

 「介護をしてほしい」からなのか、「安心・安全なところで暮らしてほしい」からなのか。お元気なうちに移りたい方の中には、「シニアライフを満喫したい」という親の気持ちを応援したいからという方もいらっしゃると思います。

 この中では「介護をしてほしい」という方が一番多いと思いますが、そうであれば、介護をしっかりとしてくれる施設を選んでいただきたいと思います。

 先ほど「施設は複雑で難しい」と申し上げましたが、パッと見ていただくだけでもこんなにたくさん種類があります。

 介護保険施設、福祉施設、民間施設、地域密着施設などに分かれています。赤字にしているところは、一応24時間体制で介護してくれる施設です。

 黒で書いている、例えば「住宅型有料老人ホーム」「サービス付き高齢者向け住宅」もかなり多くあります。このあたりに関して、多くの方は「施設」だと思っていらっしゃいます。「住宅型」に施設だと思って入られて、重度になってきたときに「出ていってください」と言われてしまい、「ああ~」と困られる方が非常に多いということです。

 ですから、施設には結構な種類があるということ、そして施設によってできることは違うということを覚えておいていただきたいと思います。

 「介護型」と「住宅型」の介護体制には、かなり違いがあります。介護型だと、介護に対しては24時間体制です。住宅型だと、介護は契約した時間のみということになります。

 例えば、入居したときには自分でトイレに行けた父親、母親が自分でトイレに行けなくなったときどうするか、ということが問題になってきます。住宅型だと、介護には少なくない追加料金がかかってくるか、もしくは「出ていってください」となります。

 これは認知症の場合でもそうです。契約した時間だけという施設に入って認知症が進んでくると、やはり大抵「うちでは見られません。出ていってください」と申し渡されることになってくるのです。


●住宅型では「終の住処」になり得ないことが多い


 結果として、住宅型では「終の住処」になり得ないケースがあるということです。介護型だと、そうなり得るケースが多いのですが、結局24時間切れ目なく介護をしてくれるところなのか、必要な分だけ介護してくれるのかが問題になってきます。

 ただ、住宅型も悪くはありません。必要なサービスだけをしてもらえるので合理的といえば合理的です。だから、まずは住宅型に入って、介護度が重くなったら介護型に移る、と皆さまが計画的にやってくださる分には何の問題もございません。

 よって、最初は住宅型で、介護度が進んで寝たきりに近くなってきたら、そのときは費用の安い公的施設(特別養護老人ホームなど)に移る。そのように考えてされる分...
テキスト全文を読む
(1カ月無料で登録)
会員登録すると資料をご覧いただくことができます。