認知症とは何か
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
重要なのはコミュニケーション技法!認知症ケアの基本とは
認知症とは何か(5)多角的視点による支援
健康と医療
遠藤英俊(元国立研究開発法人国立長寿医療研究センター 長寿医療研修センター長/いのくちファミリークリニック院長)
認知症ケアにおいては、介護を受ける本人だけでなく、介護する側の支援も必要である。国立研究開発法人国立長寿医療研究センター長寿医療研修センター長の遠藤英俊氏は、認知症の支援は地域サービスを用い、多角的に行っていくことが重要であると指摘する。(全7話中第5話)
時間:12分18秒
収録日:2018年5月26日
追加日:2018年9月20日
カテゴリー:
≪全文≫

●人間関係を維持し、病状についての丁寧な説明を行うことが大事


 認知症の人を支援する際に重要なのは、物忘れなどがあっても、なるべく趣味を続けるなどして、その人らしく暮らせるようにすることが重要です。例えば、動物療法は特に一人暮らしの男性に有効だといわれています。一人暮らしの男性は、閉じこもりになって友人が少なくなってしまう傾向にありますが、犬がいると散歩に行くので、そこで知り合いができます。また地域によっては、喫茶店にモーニングを食べに行くと、そこにグループができており、会話サロンになっているケースもあります。そうした際には、喫茶店に行くのも良いでしょう。

 どうしても高齢になってくると、人間関係を閉じてしまい、外に出なくなりがちです。この点を意識して生活されると良いでしょう。一人暮らしの人であっても友人を作り、外へ出ていくことが大事です。

 スライドの2つ目にあるように、物忘れを自覚するのには辛く、寂しさや辛さ、困難を伴います。その場合には、残された能力を伝えたり、本人の状況について病状説明を丁寧に行い、家族が寄り添っていることを説明すると良いでしょう。


●対応の仕方で一番重要なのはコミュニケーション技法


 対応の仕方で一番重要なのは、コミュニケーション技法です。例えば、目をじっくりみる、ゆっくり声をかける、ゆっくり触る、抱っこして支える、などが挙げられます。要するに、言葉が通じず記憶がなくなっていても、「味方だよ」というメッセージを出して、相手の懐に入る、関係性を作ることが求められます。認知症の方と付き合っていくには、コミュニケーションを大事にすることがポイントなのです。家族の場合、怒ってしまうケースも多いのですが、怒っても始まらないので、絶対に怒ってはいけません。

 また最近では、日本にも「認知症カフェ」が増え、全国で数1000軒あります。そこでは認知症同士が話し合う「本人ミーティング」ができるようになってきました。本人の困っていることや、やりたいことを聞き、個々の対応や国の政策に持っていくことが進められています。

 昔は「ボケたら何もできない」と思われていましたが、実際にはそうではありません。むしろ本人が...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「健康と医療」でまず見るべき講義シリーズ
健診結果から考える健康管理・新5カ条(1)血管をより長く守ることが重要な時代
健康診断の結果が悪い人が絶対にやってはいけないこと
野口緑
和食の深い秘密~なぜ身体に良いのか(1)和食の特徴と日本人
日本人は地球上最もベジタリアンだった?和食の7つの基本
小泉武夫
感染症予防・がん治療に使えるmRNAワクチン(1)mRNAとは何か
コロナだけでなく個別化医療の可能性を秘めたmRNAワクチン
内田智士
認知症とは何か(1)疾患の種類と対応
多くの認知症の原因は「脳のゴミ」の蓄積
遠藤英俊
新しいアンチエイジングへの挑戦(1)患者と伴走する医者の存在
だべったら生存期間が倍に…ストレスマネジメントの重要性
堀江重郎
今どきの若者たちのからだ、心、社会(1)ライフヒストリーからみた思春期
なぜ思春期は大事なのか?コホート研究10年の成果に迫る
長谷川眞理子

人気の講義ランキングTOP10
ヒトは共同保育~生物学から考える子育て(1)動物の配偶と子育てシステム
ヒトは共同保育の動物――生物学からみた子育ての基礎知識
長谷川眞理子
未来を知るための宇宙開発の歴史(7)米ソとは異なる日本の宇宙開発
日本の弾道ミサイル開発禁止!?米ソとは異なる宇宙開拓の道
川口淳一郎
「集権と分権」から考える日本の核心(3)中央集権と六国史の時代の終焉
天平期の天然痘で国民の3割が死亡?…大仏と崩れる律令制
片山杜秀
数学と音楽の不思議な関係(1)だれもがみんな数学者で音楽家
世界は数学と音楽でできている…歴史が物語る密接な関係
中島さち子
モンゴル帝国の世界史(2)チンギス・ハーンのカリスマ性
自由な多民族をモンゴルに統一したチンギス・ハーンの魅力
宮脇淳子
DEIの重要性と企業経営(4)人口統計的DEIと女性活躍推進の効果
日本的雇用慣行の課題…女性比率を高めても業績向上は難しい
山本勲
睡眠から考える健康リスクと社会的時差ボケ(5)シフトワークと健康問題
発がんリスク、心身の不調…シフトワークの悪影響に迫る
西多昌規
「アカデメイア」から考える学びの意義(1)学びを巡る3つの危機
「学びの危機」こそが現代社会と次世代への大きな危機
納富信留
知識創造戦略論~暗黙知から形式知へ(1)イノベーションと価値創造
価値創造において重要なのは未来から現在を見るという視点
遠山亮子
トランプ政権と「一寸先は闇」の国際秩序(3)これからの世界と底線思考の重要性
同盟国よもっと働け…急激に進んでいる「負担のシフト」
佐橋亮