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アルツハイマー型は生活習慣病との合併症が多い

認知症とは何か(2)初発症状と検査

遠藤英俊
国立研究開発法人国立長寿医療研究センター 長寿医療研修センター長
情報・テキスト
国立研究開発法人国立長寿医療研究センター長寿医療研修センター長の遠藤英俊氏は、認知症の初発症状を早期発見し、それに適した検査を行うことの重要性を指摘する。認知症か否かの判断は、どのような検査によって行われるのだろうか。(全7話中第2話)
時間:12:06
収録日:2018/05/26
追加日:2018/09/02
ジャンル:
≪全文≫

●認知症の早期発見のため身近に適切な医療期間を見つけることが重要


 このセッションでは、われわれが認知症の相談を受けたとき、どのように考えてどのような検査をするかという、認知症の診断についてお話しします。

 第1回目でもお伝えしましたが、認知症は早く見つけた方が良く、早期発見および早期診断が重要です。そのため日頃から認知症のことを知り、身近に相談できる方や適切な医療機関を見つけることが大事です。さらに、良い医師、良いケアマネージャー、良い看護師を見つけることも非常に重要なポイントです。そのため、友人や地域での評判を聞くことが有効でしょう。


●予備軍のうちに初期症状を見つけ、早めに検査を行うべき




 認知症だと気付くために注意しなければならない症状として、同じことを何度も繰り返すというものが挙げられます。例えば、「今度病院に行くのはいつだったっけ」と、先ほど行ったばかりなのにまた行こうとするものです。5分前のことを忘れてしまうというのが目安になるでしょう。日付や年齢が言えなくなるという症状も挙げられます。年齢を尋ねると、生年月日を答える方が多いのですが、年齢は毎年変わるものなので、年齢が言えない場合は認知症を疑いがあるので、一度検査をした方が良いでしょう。

 趣味や物事への関心がなくなるというのも初発症状に挙げられます。それまで好きだったカメラや写真、書道、散歩など、いろいろな趣味をしなくなるのは、非常に典型的です。また、スマホやビデオの操作ができなくなるというものもあります。私の患者さんの中には、車の運転が分からなくなったという方もいます。初発の症状として、機械の使い方が分からなくなるというものもあるのです。

 前回のセッションで、認知症と予備軍は異なるということを説明しました。予備軍は年間で約10パーセントが認知症に移行し、5年たつと50パーセントが発病するといわれています。それに対して最近の研究では、運動によって発病を遅らせることができるというデータが出てきています。そのため、いかに予備軍のときに症状に気付き、有酸素運動や食事、知的活動を頑張って行うかがポイントになるのです。これらを行うと、少なくとも1年~3年ほど発病を遅らせることができるということが分かってきています。やはり認知症かどうか、予備軍かどうかということに早く気付くのが重要なのです。


●長谷川式テストと除外診断で認知症かどうかが判断される




 私たちは、患者さんが相談に来られたとき、まず「長谷川式テスト」を実施します。これは昭和35年に長谷川和夫先生(精神科医)が作ったものです。簡単にいうと、特定の日付や場所を質問したり、「100-7」といった簡単な計算をしてもらったり、野菜の名前をたくさん言ってもらったり、5つの物品を示した上でそれを隠し、いくつ覚えているかなどをテストします。30点満点で20点以下を認知症と見なすという、補助診断です。非常に良いスケールなので、どこの診療所や医療機関の入口でも、これを実施しています。また昨今では、高齢者運転免許の診断基準にもなっています。



 これは、2017年に出た認知症診断のためのガイドラインです。約5年毎に更新されるのですが、フローチャートになっています。医師は、物忘れが多いと行って来られた方について、このフローチャートに従い、甲状腺の病気はないか、ビタミン欠乏はないか、薬の飲み過ぎはないか、アルコールは飲み過ぎていないか、などで除外診断をしていきます。


●疾患ごとで違う、特徴的な症状を確認する必要がある




 物忘れの特徴を見ていく中で、先ほどお話ししたように日付が言えない、被害妄想がある、取り繕い反応がある、ということが認められれば、最終的にアルツハイマー病かどうかが判断されます。

 前回少し言及したレビー小体型認知症の場合は、幻覚やパーキンソン症状が特徴的な病気です。また、前頭側頭型認知症に関していえば、同じ時間に同じ行動をするという常同行動が特徴的です。また認知症の中には、社会的常識や規範がなくなり、コンビニやスーパーで万引きしてしまうタイプの病気もあります。記憶に関わるものだけではなく、いろいろなタイプの認知症があるということもポイントです。

 アルツハイマー型認知症、血管性認知症、レビー小体型認知症、前頭側頭型認知症という、認知症のメジャーな4つの病気には、それぞれ異なる特徴があり、それによって検査も異なります。アルツハイマー型であれば物忘れ、特にエピソード記憶の障害があります。検査としてはCT、MRI、SPECT検査があります。専門医...
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