●アンチエイジング情報が氾濫する中、求められる健康リテラシー
―― アンチエイジングがこれから大事なんだ、ということを先生は相当早い段階から説かれておられました。男性ホルモンの補充をすることで、随分その後の人生が変わってくるということですよね。
堀江 アンチエイジングというのは非常に面白くて、一種のイノベーションなのですけど、ローエンドなイノベーションなのですね。例えば、サプリメントというものがありますけど、これは誰が見ても従来の薬より性能が下がるはずですよね。だけど、自分で選べる、と。
例えば、「私は医者に行かないで、血圧が高いときに胡麻麦茶を飲んでいる」という方の場合、医者からしたら、胡麻麦茶を飲むよりも降圧薬を一錠飲んだ方が血圧が下がるのではないかと思うのですが、そこはやはり選択ができるということが大きいのですね。ですから、ライフスタイルの中で、それを取り入れて健康にしていきたい、という意欲がありますよね。
―― 自らの意思がそこに入っている、と。
堀江 ですから、アンチエイジングというのは、抗老化、抗加齢という意味がありますけど、基本的には自立をしていきたい、と。その自立をするための医学・健康学がアンチエイジングだと思います。ただ、今、アンチエイジングは情報が非常に氾濫していまして、それが闇雲に増えている状態になっています。これがだんだん整理されていけば、誰もが健康リテラシーを持つようになるでしょう。
面白いデータがあります。日本人の場合、女性はこの30年間ほどで肥満の人はどんどん減っている一方、男性は肥満の人がどんどん増えているそうです。女性は、毎日少なくともBSなどを見たりして、健康リテラシーをかなり入手して蓄えているけれども、男性は、そういうものを全然蓄えず、50年前とあんまり変らない生活をしているということです。
そういう意味で、自立をするということがこれからの高齢化社会ではすごく大事かと思います。
●男性ホルモンとコミュニティの関係性
堀江 僕は男性が専門ですので、テストステロンという男性ホルモンに興味を持っているのですが、これは簡単にいうと「外に出て獲物を取って帰ってくるために必要なホルモン」なのですね。ですから、このホルモンがゼロでも生存には関係ないのです。朝起きて、「よし今日は獲物を取りに行くぞ」という意欲と、「どこ...