世界と日本の医療~課題と未来
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
医療従事者の犠牲のもとに成り立つ日本の医療制度
世界と日本の医療~課題と未来(3)日本の医療の生産性を上げるために
日本の医療費は国際的に比較してそこまで高くはないが、その背景として医師あるいは医療従事者が低収入で働いていることが大きいという。ただ、彼らの収入を上げるということに賛同する者は少ないだろうと堀江重郎氏は話す。そこで必要となるのは、医療現場で生産性を上げることだが、そのための新たな仕組み作りについて、他国の医療モデルなどを参考にしつつ、模索してみる。(全6話中第3話)
※インタビュアー:神藏孝之(10MTVオピニオン論説主幹)
時間:8分19秒
収録日:2019年9月17日
追加日:2019年10月4日
≪全文≫

●医療現場の犠牲のもと成り立つ保険制度


―― そもそも日本の医療費は、国際的に比較して安いのか、高いのか。そこはどのいうに見ればよいでしょうか。

堀江 それはGDPの中で見ますと、10パーセントを越えると高いということになっています。アメリカは圧倒的に高いのですが、OECD加盟国ではだいたい8パーセントくらい前後ですね。日本もその程度ですので、極端に高くはないのです。これは、一つにはわれわれ医療従事者(あるいは医師)が非常に少ない給料でがんばっていることで、人件費を抑えているという部分もあります。

―― お医者さんにしても、看護師さんにしても、圧倒的に長時間労働で安い賃金で我慢している、と。医療現場の犠牲のもとに今の保険制度はかなり成り立っているのかな、と思いますが。

堀江 そうですね。もともと1960年代の制度設計の段階では、医師の給料というのはどの国も非常に低くて、それは例えば中国やロシア(ソ連)などその当時の社会主義国、共産党国家も似ています。ですから、僕も大学に入学する時、「医学部にいく」と言ったら、父親がものすごく反対して、「医者と芸者と役者みたいなやくざの商売はやめてくれ」と言っていました。当時はそういう感覚があったと思うのですね。


●生産性向上が求められる医療現場


堀江 ただ、医師あるいは医療従事者の収入を上げるということには、賛同するという国民の方はおそらくほとんどいないでしょう。そうすると、労働時間の中で本当に重要な時間は何か、ということが問題になってきます。これまでにもお話ししましたが、形式的なドキュメンテーションに大きな時間を使わないとか、そういった方向性は一つあるのではないか、と思います。

―― 本当に大事なことに時間を割く、生産性を上げていく。そのために制度を見直す、ということが大きいのですね。

堀江 そうですね。今、医師の働き方改革といわれているのですが、調べてみると、月の残業時間が180時間とか、めちゃくちゃなケースも出てきます。ですから、そのあたりを精査していきながら、中身をいろいろ見直していく、ということが大事だと思いますね。


●参考になる北欧の医療モデル


―― 北欧の医療モデルが最近、ものすごくもてはやされています。先生からご覧になって当然いいところも悪いところも両面あると思いますけど、どのようにお考えになっていますか。
...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「健康と医療」でまず見るべき講義シリーズ
熟睡できる環境・習慣とは(1)熟睡のための条件と認知行動療法
熟睡のために――認知行動療法とポジティブ・ルーティーン
西野精治
ウイルスの話~その本質と特性(1)生物なのか、そうではないのか
きわめて特異的な「ウイルスと宿主の関係」
長谷川眞理子
睡眠:体、脳、こころの接点(1)睡眠とは?
なぜ睡眠は生きるために必要?脳にある覚醒中枢と睡眠中枢
尾崎紀夫
認知症とは何か(1)疾患の種類と対応
多くの認知症の原因は「脳のゴミ」の蓄積
遠藤英俊
睡眠と健康~その驚きの影響(1)睡眠が担う5つのミッション
寝ないとよく食べる…睡眠不足が生活習慣病を招く理由
西野精治
オートファジー入門~細胞内のリサイクル~(1)細胞と細胞内の入れ替え
ノーベル賞受賞「オートファジー」とは?その仕組みに迫る
水島昇

人気の講義ランキングTOP10
内側から見たアメリカと日本(5)ヒラリーの無念と日米の半導体問題
大統領選が10年早かったら…全盛期のヒラリーはすごすぎた
島田晴雄
習近平―その政治の「核心」とは何か?(1)習近平政権の特徴
習近平への権力集中…習近平思想と中国の夢と強国強軍
小原雅博
熟睡できる環境・習慣とは(1)熟睡のための条件と認知行動療法
熟睡のために――認知行動療法とポジティブ・ルーティーン
西野精治
歴史の探り方、活かし方(1)歴史小説と史料探索の基本
日本は素晴らしい歴史史料の宝庫…よい史料の見つけ方とは
中村彰彦
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
習近平中国の真実…米中関係・台湾問題(7)不動産暴落と企業倒産の内実
不動産暴落、大企業倒産危機…中国経済の苦境の実態とは?
垂秀夫
経験学習を促すリーダーシップ(1)経験学習の基本
成長を促す「3つの経験」とは?経験学習の基本を学ぶ
松尾睦
日本の財政と金融問題の現状(1)財政赤字の何が問題か
日本の財政は本当に悪いのか?将来世代と金利の問題に迫る
木下康司
戦争と暗殺~米国内戦の予兆と構造転換(1)内戦と組織動乱の構造
カーク暗殺事件、戦争省、ユダヤ問題…米国内戦構造が逆転
東秀敏
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(4)全てをつなぐ密教の世界観
密教の世界観は全宇宙を分割せずに「つないでいく」
鎌田東二