●医療の国際比較からビジネスとしてのヘルスケアまで
中央大学大学院で教えている真野俊樹と申します。ビジネススクールで教えています。一般的に「ヘルスケア」というと、ビジネスにはなかなかそぐわないと思われているかもしれません。そこでその点を、われわれビジネススクールはどのように考えていくかということを、順を追ってお話ししていきたいと思います。したがって、テーマは「医療の問題を健全なビジネスの視点で解決できるのだろうか」という内容になります。
はじめに、私のプロフィールを簡単に述べておきます。私はもともと医師で、医学の勉強をずっと続けてきました。医学博士の学位を取り、アメリカに留学したのですが、その時、日本とアメリカで医療制度や医療のビジネスに対する考え方がまったく違っている、もっというと医師の思考方法にも違いがあるということに、気が付きました。そこで、医療とビジネスにおける国際的な比較を始めました。
そうこうするうちに、製薬会社に入ったり、MBAを取得したりしました。また、中身は経営学なのですが京都大学で経済学の博士号を取得したりして、医療の国際比較や、経営学的に医療経営をどのように考えるか、ビジネスとしてどのようにヘルスケアを見ていくか、こういったことを、ずっと研究してきたというのがこれまでの状況です。
現在、いくつかの職務に就いていますが、基本的にビジネスの方ではビジネススクールで、医療の方では藤田保健衛生大学や東京医療保健大学など両方の分野で教えたりしています。
●「ヘルスケア」をどう捉えるか
今回、ビジネスという視点でお話を始めるに当たって、テンミニッツTVの視聴者にはビジネス界の方が多いのか医療界の方が多いのか分かりませんが、一応以下のことを説明しておきます。
私はここでヘルスケアとビジネスということをお話ししますが、もちろんビジネスといってもお金儲けの要素はそもそも少なく、弱い人からお金をむしりとろうとか、大儲けをしようなどといった話ではありません。ただ、実際にヘルスケア分野でIPO(Initial Public Offering、新規公開株)に成功した企業も増えているので、結果的に非常にリッチになったりして大儲けできるといったことがあるのは事実です。もしかすると、今後他の分野よりもヘルスケアの分野ではそういった機会が多いのかもしれません。
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