●親の介護を一つの「プロジェクト」と見て取り組むべし
「50代からの親の介護」第2話でございます。
「もしかして、介護?」というタイトルのAさんです。「両親、元気だと思っていたが…」と言われる50代の男性には、岡山県の実家で暮らす両親(父80代・母70代)がいました。
父親が「最近、疲れる」と元気がなかった。母親は「歳のせいよ」と言っていたけれども……。心配していたところ、父親は脳梗塞で倒れた。幸いもうすぐ退院だけれども、この先、両親二人だけでだいじょうぶなのだろうか、ということです。
Aさんは何ができるでしょうか。Aさんのできることとは何でしょうか。
私は介護を一つの「プロジェクト」と考えていただくのがいいのではないかと考えています。
介護というと、おそらく皆さま、入浴・排泄・食事の介助のあたりをお考えになると思います。けれども、お風呂というと日に1回かもしれませんが、お食事は日に通常3回、トイレに関しては日に複数回。それらのお世話をしようと思うと、ずっと親のそばにいないとできません。
それはお忙しい50代には無理です。そう考えると、直接介護は専門のプロに頼んで、皆さまにはマネジメントを行っていただくのがいいのではないかと思います。
●マネジメントという介護
もちろん直接介護は非常に大事な介護です。しかし、マネジメントも同じぐらい重要な介護だと考えていただきたいのです。
まず、老親の状況把握。この親は何ができて、何ができないのかというようなことを考える。そして、できないところには支援が必要です。それは家族がするのか。家族ができないのであれば、代わりにやってくれるサービスを探すということになってまいります。
今は介護保険を含むいろいろなサービスがございます。ただ、それは全て契約が必要になってきます。親に契約行為ができないのであれば、そこを代わって行うのも子どもの役割になってくると思います。
あるいは、がんになるというケースもあると思いますが、いろいろな治療法の中から選択をするとき、病院から「どういう治療をしますか」と聞かれることがあります。親本人が判断できないのであれば、子どもが代わって決断をすることになってきます。つまり、その場合、治療法の選択やサービスの契約などは子どもが行うということです。
そして、サービスやその制度を使うことになると、通常お金がかかることになってくるわけですが、何も皆さまに支払えというわけではありません。通常、親のお金をそれに充てることになりますが、それを親のどのお金から支払うのか。銀行の引き落としにするのか、直接払うのか、そういうことを考えて代わりに手続きをする。これがマネジメントです。仕事のマネジメントととても似ているところだと考えていただいていいのではないかと思います。
(またその都度、)親の状況は変わりますので、変わるたびに最初から考えて、やり直して行っていくということになってまいります。
●介護は「情報戦」かつ「チーム戦」
プロジェクト感覚で親を支えるには、まず今の課題を探ること、そして基本は公的介護保険を使っていただくことがいいだろうと思います。
けれども、介護保険以外にもいろいろなサービスがあるわけです。私は、介護は「情報戦」だと考えています。よって、情報収集をしていただくことが大切です。
そして、チームを組む。決して家族だけで行おうとしないでください。いろいろな専門職、場合によっては親戚やご近所などにちょっとだけ手伝っていただく。
最後に介護資金をプランするということで、それを行っていただくことになります。
こうしたマネジメント全般を手がけていただくのが、子どもの役割ということになってまいります。
●「地域包括支援センター」は高齢者問題のよろず相談所
マネジメントを始めると、介護保険や介護全般の相談ごと、その他いろいろな心配ごとや悩み、分からないことなどが出てきます。特に介護保険はややこしいので、ちょっと理解できないと思われることもあるでしょう。そんなとき、高齢者のいろいろな問題のよろず相談所ともいうべきところが、今はあります。「地域包括支援センター」というところで、だいたい中学校区に1か所ほど設けられています。それは親が住んでいる地域を管轄するもので、だいたい住所地ごとで決まっています。ですので、(そうした場合、)親が住んでおられるところの地域包括支援センターに相談していただくのがいいと思います。
直接行かなくても、お電話でも結構です。所在地が分か...