ヒューマンエラーと経営戦略
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
「気付く」人材を育てる社内教育には、意地悪が必要だ
ヒューマンエラーと経営戦略(8)質疑応答編3
岡田有策(慶應義塾大学理工学部管理工学科 教授)
「気付く」人を育てる教育とは、どのようなものか? 職場の外国人に向けて、ヒューマンエラーをマネジメントする際のポイントとは? ヒューマンエラー・マネジメントにおいて、日本にはどのような特色があるか? 慶應義塾大学理工学部管理工学科教授の岡田有策氏が、講演後、会場からの質問に答える。(全10話中第10話)
時間:8分06秒
収録日:2017年9月1日
追加日:2018年2月25日
≪全文≫

●全員が「気付く」人になる必要はない


質問 「気付く」人を育てるためには、どうすればいいでしょうか。

岡田 「気付く」人を育てるには、教育も学習もしないことです。そのためのポイントは4つあります。第1に、「気付く」ことは才能です。全員が「気付く」人になる必要はありません。社員の2割が気付ければ十分です。気付ける人が1人いれば、後の人はそれに付いていくだけでいいでしょう。ただし、社長が気付く人でなければおしまいです。つまり、船頭となるような人が何人いればいいのか、計算すればいいのです。

 例えばアメリカのように、マネジメント層がヘッドハンティングで「気付く」人を取ってくるというのであれば、教育は全く必要ないでしょう。しかし、日本の場合には、ほとんどの会社が、ある程度、自社でマネジメント層を育てていきます。にもかかわらず、アメリカ式の「気付かせる」ためのチェックリストやマニュアルを持ち込みすぎたために、いびつなことが生じてきたのです。

 ただし、全員がマネジメント層になる必要はありません。自分たちの会社で将来の幹部候補がどれだけ必要なのかを考え、それに応じて「気付く」人を育てればいいのです。


●幹部候補生には、集団指導的にみんながちょっと意地悪になる


 第2のポイントは、フィルターです。将来の幹部候補なのかどうかは、最初からは分かりません。ある程度、少し意地悪に思われるようなこともしながら、フィルターを徐々にかけていかなければいけません。したがって、入社10年目になってはもう手遅れです。それまでに管理職の人たちが、「こいつは気付くポジションに行けばいい」とか、「もうちょっとでうまく育つな」と、見ていくのです。入社して4、5年もたてば、こうしたことは見えてくるでしょう。

 そこで、他の人には丁寧に教えるけれど、上に上げたい人については時間をかけさせたり、少し意地悪だと思われるようなことを通じて負荷をかけるというように、上の人たちで相談しておくのです。多少失敗しても、みんなでフォローすればいいから、失敗を経験させてあげよう、と。幹部候補生である2割の人には、集団指導的にみんながちょっと意地悪になるといいでしょう。もしその人がそれで腐っていくようであれば、そこで切ってしまえばいいし、乗り越えてくれば、また次のフィルターを掛けるということになります。こうして、他...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「経営ビジネス」でまず見るべき講義シリーズ
バブル世代の現実とこれからの生き方
バブル世代は「バブル崩壊世代」、苦労の先に見えるものがある
江上剛
キャリア転換で人生を成功させる方法(1)2つの大きな潮流
なぜ40歳でキャリアについて一度考え直す必要があるのか
為末大
マザーテレサとの出会い
人生を変えたマザーテレサの言葉…あの人たちはキリストだ
上甲晃
ハラスメント防止に向けた風土づくり(1)ハラスメントの概要
増え続けるハラスメント…その背景としての職場の特徴
青島未佳
メンタルヘルスの現在地とこれから(1)「心を病む」とはどういうことか
なぜ「心の病」が増えている?メンタルヘルスの実態に迫る
斎藤環
野獣の経営、家畜の経営(1)経営センスが育つ土壌
ファーストリテイリングで経営者が育つ理由
楠木建

人気の講義ランキングTOP10
内側から見たアメリカと日本(1)ラストベルトをつくったのは誰か
日本でも中国でもない…ラストベルトをつくった張本人は?
島田晴雄
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(4)全てをつなぐ密教の世界観
密教の世界観は全宇宙を分割せずに「つないでいく」
鎌田東二
編集部ラジオ2025(28)内側から見た日米社会の実状とは
島田晴雄先生の体験談から浮かびあがるアメリカと日本
テンミニッツ・アカデミー編集部
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(3)認知バイアスとの正しい向き合い方
知ってるつもり、過大評価…バイアス解決の鍵は「謙虚さ」
今井むつみ
経験学習を促すリーダーシップ(1)経験学習の基本
成長を促す「3つの経験」とは?経験学習の基本を学ぶ
松尾睦
「宇宙の創生」の仕組みと宇宙物理学の歴史(1)宇宙の階層構造
「宇宙の階層構造」誕生の謎に迫るのが宇宙物理学のテーマ
岡朋治
歴史の探り方、活かし方(1)歴史小説と史料探索の基本
日本は素晴らしい歴史史料の宝庫…よい史料の見つけ方とは
中村彰彦
習近平―その政治の「核心」とは何か?(1)習近平政権の特徴
習近平への権力集中…習近平思想と中国の夢と強国強軍
小原雅博
デカルトの感情論に学ぶ(1)愛に現れる身体のメカニズム
デカルトが注目した心と体の条件づけのメカニズム
津崎良典
習近平中国の真実…米中関係・台湾問題(4)トランプ大統領VS.中国
トランプ政権は実は与しやすい?…ディールで「時間稼ぎ」
垂秀夫