ヒューマンエラーと経営戦略
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
人事異動があっても継続できるシステムを作るべき
ヒューマンエラーと経営戦略(8)質疑応答編1
岡田有策(慶應義塾大学理工学部管理工学科 教授)
安全・安心のブランドイメージの醸成はどのようにして可能なのか? 「良い仕事」を目的とした安全活動を継続していくためには、どんなフォローアップが必要か? 「ありがとう」と言える文化をつくっていくために、まず始めるべきこととは? 慶應義塾大学理工学部管理工学科教授の岡田有策氏が講演後、会場からの質問に答える。(全10話中第8話)
時間:8分43秒
収録日:2017年9月1日
追加日:2018年2月23日
≪全文≫

●人事異動があっても続くシステムをつくるべきだ


質問 事故を起こさないためには、「良い仕事」を目的にすべきだというお話でした。こうしたお話を聞いた直後は意識しているとしても、次第にその目的を忘れてしまいがちです。どのようにフォローしていけばいいでしょうか。

岡田 フォローする必要はありません。安全対策はトップマネジメントだと述べましたが、「良い仕事」を意識させるということは、基本的には、何回も何回もそれを刷り込んでいくしかありません。つまり、トップマネジメントとして、上から何度も言い続けていくことです。

 一方で、事故が起きれば、その対策を個別に取ることも必要です。したがって、「良い仕事」と個別の対策とのバランスをどのように保つのかということも、会社の戦略として長期的スパンで考えていくべきです。しかし、これはトップマネジメントの問題で、中間管理職の人が考えるべき問題ではありません。それぞれの部署の課長が、違うことをバラバラにやっていけば、社内の統一は図れないからです。

 ここで一番重要なのは、人事異動があっても続くシステムをつくるということです。会社には人事異動があります。課長Aのやり方が良かったと思っていても、それは課長Bが異動してくれば壊れてしまいます。つまり、1人の工夫や才能に依存しないシステムづくりが必要なのです。

 同様に、トップマネジメントも、今の社長だけで成り立つものであってはなりません。むしろ、社長が変わっても存続するものでなければならないのです。つまり、その人の資質や個性に依存するマネジメントではいけません。

 別の言い方をすれば、1代目の社長がやり始めたことが本当に意味を持つのは、3代目の社長になってからです。3代目になっても続けていれば、社員はそれについてくるでしょう。本当に変わらないのだと思うからです。社員からすれば、今の部長のやり方はこうだが、次の部長はどうなるか分からないとなれば、そこにはついていきません。それが面白ければ一緒にやろうと思うでしょうが、つまらなければ、「どうせ、この部長は3年ぐらいでいなくなるだろう」と思うはずです。これが当たり前です。ところが、同じやり方が3代続けば、社員も会社は本気なのだと理解します。

 となると、工夫するとは何かといえば、言い続けること、やり続けることだといえます。社長も部長も3代続け...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「経営ビジネス」でまず見るべき講義シリーズ
ブランド戦略論をどう読むか(1)ブランドとは何か
ブランドとは何か…企業の本質的な部分に与えるインパクト
田中洋
エンタテインメントビジネスと人的資本経営(1)ソニー流の多角化経営の真髄
ソニー流「多角化経営」と「人的資本経営」の成功法とは?
水野道訓
ストーリーとしての競争戦略(1)当たり前の重要さ
柳井正氏の年度方針「儲ける」は商売の本筋
楠木建
経験学習を促すリーダーシップ(1)経験学習の基本
成長を促す「3つの経験」とは?経験学習の基本を学ぶ
松尾睦
メンタルヘルスの現在地とこれから(1)「心を病む」とはどういうことか
なぜ「心の病」が増えている?メンタルヘルスの実態に迫る
斎藤環
イノベーションの本質を考える(1)イノベーションの定義
イノベーションの定義はパフォーマンスの次元が変わること
楠木建

人気の講義ランキングTOP10
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
ケルト神話の基本を知る(1)ケルト地域と3つの神話群
ケルト神話とは…ダーナ神族、アルスター神話、フィアナ神話
鎌田東二
エンタテインメントビジネスと人的資本経営(5)「チーム戦と新規ビジネス」の要点
「土地勘のあるところ、自分たちの武器を持っていく」
水野道訓
学力喪失の危機~言語習得と理解の本質(2)言葉を理解するプロセスとスキーマ
なぜ子どもは教えられても理解できないのか?鍵はスキーマ
今井むつみ
徳と仏教の人生論(1)経営者の条件と50年間悩み続けた命題
宇宙の理法――松下幸之助からの命題が50年後に解けた理由
田口佳史
経験学習を促すリーダーシップ(1)経験学習の基本
成長を促す「3つの経験」とは?経験学習の基本を学ぶ
松尾睦
「集権と分権」から考える日本の核心(1)日本の国家モデルと公の概念
日本は集権的か分権的か…地理と歴史が作る人間の性質とは
片山杜秀
いま夏目漱石の前期三部作を読む(1)夏目漱石を読み直す意味
メンタルが苦しくなったら?…今、夏目漱石を読み直す意味
與那覇潤
教養としての「人口減少問題と社会保障」(1)急速に人口減少する日本の現実
毎年100万人ずつ減少…急降下する日本の人口問題を考える
森田朗
ショパンの音楽とポーランド(1)ショパンの生涯
ショパン…ピアノのことを知り尽くした作曲家の波乱の人生
江崎昌子