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ヒューマンエラーと経営戦略
ヒヤリハットを収集する際に注意すべき点とは?
ヒューマンエラーと経営戦略(4)中間管理職の役割
経営ビジネス
岡田有策(慶應義塾大学理工学部管理工学科 教授)
慶應義塾大学理工学部管理工学科教授の岡田有策氏が、お客さまのヒヤリハットを収集する際に注意すべき点について解説する。中間管理職の役割は、レピュテーションリスクの大きさに合わせてヒヤリハット対策を練り、クレームや苦情を現場のプラスになるように翻訳することである。安全の考え方を経営戦略の選択肢の一つとして捉えることが重要だ。(全10話中第4話)
時間:10分33秒
収録日:2017年9月1日
追加日:2018年2月16日
収録日:2017年9月1日
追加日:2018年2月16日
≪全文≫
●対策を打つよりも、まずはたくさん事象を集めよ
さらに、気を付けるべき点がいくつかあります。第1に、お客さまにとってのヒヤリハットをたくさん集めても、その全てに対策ができるわけではありません。しかしだからといって、集める事象を少なくする必要はありません。対策を打たなくてもいいから、どんなことがお客さまの気になることなのかを、情報として係員がシェアすることが、ものすごく役に立ちます。
どんな人でも、能力や仕事は95点です。それぞれに、色々な部分が足りません。だからこそ、ヒヤリハットを集めれば集めるだけ、95点の不足を補っていくためのヒントが得られるのです。また、ヒヤリハットの対策は社員全員に聞かなければいけない、という勘違いもよくあります。しかし、そうではありません。100人の社員がいれば、2人の情報が参考になるだけで十分です。95点の残りの5点がどのようなものかは、人によって違うわけですから、ヒヤリハットの使い道も人によって違ってきます。みんなが役に立つヒヤリハットなんて、これこそ神業です。
したがって、対策を打つことよりも、まずはたくさん事象を集めることです。100個なり1,000個なりのヒヤリハットの中から、各人が自分にとってヒントになるものを見出せばいいのです。レピュテーションリスクに関していえば、そのリスクをそれぞれが理解するようになれば十分でしょう。自分の仕事から見たときに、レピュテーションリスクになるものは何かを考えるのです。他者の情報、他者が集めてくれたヒヤリハットの中から、これを考えていくということが、まず重要になってきます。
●ポイントは、自分たちで決めないということ
第2に、ヒヤリハットというと、その全てに対策を打たなければいけないようなイメージがありますが、しかし、ここでもレピュテーションリスクが効いてきます。リスクには強弱があります。したがって、リスクの大きさに合わせて、つまり、より多くのお客さまにより大きな悪いインパクトを与えるものから、対策を打てばいいのです。マネジメントする人は、レピュテーションリスクの大小を評価して、ヒヤリハットの大きいものだけに対策を打つようにし、それを係員に定着させて、現場の次の活動につなげていくことができるでしょう。
その際、ポイントになるのは、自分たちで決めないということです。自分たちだけで考えてし...
●対策を打つよりも、まずはたくさん事象を集めよ
さらに、気を付けるべき点がいくつかあります。第1に、お客さまにとってのヒヤリハットをたくさん集めても、その全てに対策ができるわけではありません。しかしだからといって、集める事象を少なくする必要はありません。対策を打たなくてもいいから、どんなことがお客さまの気になることなのかを、情報として係員がシェアすることが、ものすごく役に立ちます。
どんな人でも、能力や仕事は95点です。それぞれに、色々な部分が足りません。だからこそ、ヒヤリハットを集めれば集めるだけ、95点の不足を補っていくためのヒントが得られるのです。また、ヒヤリハットの対策は社員全員に聞かなければいけない、という勘違いもよくあります。しかし、そうではありません。100人の社員がいれば、2人の情報が参考になるだけで十分です。95点の残りの5点がどのようなものかは、人によって違うわけですから、ヒヤリハットの使い道も人によって違ってきます。みんなが役に立つヒヤリハットなんて、これこそ神業です。
したがって、対策を打つことよりも、まずはたくさん事象を集めることです。100個なり1,000個なりのヒヤリハットの中から、各人が自分にとってヒントになるものを見出せばいいのです。レピュテーションリスクに関していえば、そのリスクをそれぞれが理解するようになれば十分でしょう。自分の仕事から見たときに、レピュテーションリスクになるものは何かを考えるのです。他者の情報、他者が集めてくれたヒヤリハットの中から、これを考えていくということが、まず重要になってきます。
●ポイントは、自分たちで決めないということ
第2に、ヒヤリハットというと、その全てに対策を打たなければいけないようなイメージがありますが、しかし、ここでもレピュテーションリスクが効いてきます。リスクには強弱があります。したがって、リスクの大きさに合わせて、つまり、より多くのお客さまにより大きな悪いインパクトを与えるものから、対策を打てばいいのです。マネジメントする人は、レピュテーションリスクの大小を評価して、ヒヤリハットの大きいものだけに対策を打つようにし、それを係員に定着させて、現場の次の活動につなげていくことができるでしょう。
その際、ポイントになるのは、自分たちで決めないということです。自分たちだけで考えてし...
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