ヒューマンエラーと経営戦略
この講義シリーズは第2話まで
登録不要で無料視聴できます!
第1話へ
▶ この講義を再生
この講義の続きはもちろん、
6,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
リスクを許容しなければリスクマネジメントは不可能
ヒューマンエラーと経営戦略(6)未然防止とリスクの許容
岡田有策(慶應義塾大学理工学部管理工学科 教授)
慶應義塾大学理工学部管理工学科教授の岡田有策氏が、事故の分析で日本企業が陥りやすい誤謬について解説する。事故の分析といえば、すぐにレアファクターばかりが検証されるが、未然防止にとって重要な事は、普段の状態、すなわち定常作業の分析である。リスクを許容しなければ、リスクアセットもマネジメントも不可能だ。(全10話中第6話)
時間:9分14秒
収録日:2017年9月1日
追加日:2018年2月18日
≪全文≫

●レアファクターばかり分析する傾向が強い


 要因をしっかり見て分析し、対策を取るということは、安全に関わる問題だけでなく、色々な形で世の中の改善を考える場合に、必ず行われるものです。要因分析をする場合には、定常作業と非定常作業を区別しなくてはなりません。定常作業が事故の起きていない場合、非定常作業が事故の起きた場合です。

 さて、事故の分析をするためには、本来ならば、スライドにあるようにコンスタントファクターからレアファクターまで、まんべんなく出すことが必要です。しかし、レアファクターばかり分析する傾向が大変強くなっています。目に付きやすいからでしょう。

 例えば、今、100ミリリットルしか入らないコップが2つあるとします。Aのコップには60ミリリットル、Bのコップには80ミリリットルの水が入っています。雨が降ってきて、両方のコップに30ミリリットル入ってしまいました。Aのコップは90ミリリットルで我慢できました。Bは110ミリリットルになって、10ミリリットルこぼれました。

 Bのコップの持ち主は、得てして、降雨量の30ミリリットルを分析したがります。もし降雨量が20ミリリットル以下であれば、こぼれなかっただろうというわけです。30ミリリットルを、どうにかして20ミリリットル以下にできないかと考えてしまうのです。これが、ここでいうレアファクターです。あるいは、雨が降っていて滑ってしまった場合、普段の歩き方を考えるのではなく、雨でも大丈夫な靴や傘、通路はどうすればいいのかと考えてしまうのが、レアファクターです。

 このように、人間は要因分析をする場合に、事故のときだけのものを扱いたくなってしまうのです。事故の要因さえ排除すれば、事故は起こらないだろうと、こうしたロジックを組んでしまいます。確かに間違ってはいないことですが、しかし本当は、コップの例でいえば、80ミリリットル入っていたものを60ミリリットルにしておけば、雨が降っても水がこぼれなかったはずなのです。


●未然防止で大事なことは定常作業だ


 したがって、未然防止で大事なことは、定常作業の段階、つまり普段の事柄なのです。未然防止とは、将来起こり得る事故を想像して対策を取ることではありません。普段のコップの水を減らしておくことが、未然防止なのです。

 ところが、未然防止というと、あたかも超能力のように、将来起こり得る事...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「経営ビジネス」でまず見るべき講義シリーズ
認知バイアス~その仕組みと可能性(1)認知バイアス入門
誰もが陥る「認知バイアス」…その例とメカニズム
鈴木宏昭
「発想力」の技法を学ぶ(1)発見と探究(前編)
“なぜ”を繰り返せ!『発想力の全技法』に学ぶ原因探究法
三谷宏治
「重要思考」で考え、伝え、聴き、議論する(1)「重要思考」のエッセンス
重要思考とは?「一瞬で大切なことを伝える技術」を学ぶ
三谷宏治
「ものがたり」のあるコンプライアンス(1)その本質とは
なぜ企業はコンプライアンスの本質から外れてしまうのか?
國廣正
不便益システムデザインの魅力と可能性(1)「便利・不便」「益・害」の関係
便利を求めるだけのいいの?…「不便益」で発見できる新たな魅力
川上浩司
営業の勝敗、キリンの教訓(1)やる気のない社員になる理由
なぜ「やる気のある社員」が日本では6%しかいないのか?
田村潤

人気の講義ランキングTOP10
「重要思考」で考え、伝え、聴き、議論する(1)「重要思考」のエッセンス
重要思考とは?「一瞬で大切なことを伝える技術」を学ぶ
三谷宏治
ロシア人の見る「ロシアの歴史」(1)会ってみたプーチン…その実像
ロシア人の見る「ロシアの歴史」を知るとロシアがよくわかる・・・実際に会ってみたプーチンの印象とは?
上月豊久
民主主義の本質(1)近代民主主義とキリスト教
なぜ民主主義が「最善」か…法の支配とキリスト教的背景
橋爪大三郎
『万葉集』と律令社会~官僚の心得と歌宴(4)郡家の発掘と新田山を詠んだ東歌
「東歌」に刻印された奈良時代の真実とは?…地方に気をつかい地方のパワーを取り込んで中央政権はできていた
上野誠
プラトン『ポリテイア(国家)』を読む(14)ポリスと魂の堕落過程〈下〉僭主の末路
僭主制は欲望の奴隷…過度の自由が過度の隷属に転換する
納富信留
数学と音楽の不思議な関係(2)リズムと数の不思議と変拍子
童歌「あんたがたどこさ」は何拍子?変拍子の不思議な魅力
中島さち子
小澤開作と満洲事変・日中戦争(1)少年時代の苦労と五族協和の夢
満洲で「五族協和」に命を懸けた小澤征爾の父・小澤開作
小澤俊夫
高齢者のフレイル・認知症とその予防対策(1)老年病科と高齢者の疾患・病態の特徴
頻尿、低栄養、転倒、誤嚥、フレイル…増える老年症候群と高齢者の疾患・病態の特徴
小川純人
オリエント 東西の戦略史と現代経営論に学ぶ(1)ビジネスのヒントは歴史にあり
『失敗の本質』、中国古典…ビジネスのヒントを歴史に学ぶ
三谷宏治
文明語としての日本語の登場(1)古代日本語の復元
なぜ「てふてふ」が蝶々?日本語の変遷を追う…まずは万葉仮名から
釘貫亨